アルムナイネットワークを用意するなど、アルムナイ(退職者)に向けた取り組みを行う企業が増えています。
では、企業はアルムナイに対して具体的に何ができるのでしょう?各社の取り組みをご紹介します。
企業から「独立したアルムナイ」への支援
双日
双日アルムナイが創業したスタートアップ・カンリーに双日が出資。カンリーのプレスリリースでは双日役員からのコメントも発表されています。
■双日株式会社
常務執行役員 山口 幸一 氏コロナ禍により「新しい生活様式」への移行が進む中、B to CビジネスにおいてSNSを通じたマスリテール層とのコミュニケーションチャネルの強化及び双方向化を推進するカンリー社のサービスは、今後、多くの業界において必要不可欠なツールになるものと確信しています。弊社はアントレプレナーシップを持つ社員を支援しており、辰巳さんにおかれては、弊社から独立した起業家として更に飛躍されることを期待しています。
株式会社カンリー プレスリリースより
Googleアルムナイ、通称Xoogler(ズーグラー)の起業家支援を目的に「The Xoogler.co Community」を創設。
参加者はコミュニティーを通じて仲間や出資者を探すことができ、他に投資家へのプレゼンテーションができる機会や勉強会など、各種イベントに参加が可能です。
>>ユニコーン率10倍! 6000人の元グーグル集団「Xooglerズーグラー」
DeNA
2019年9月、DeNAはデライト・ベンチャーズを設立。「日本における起業のハードルをとことん下げ、起業家が世界で活躍するのを全力で支援するベンチャーキャピタル」として、主にDeNAから独立する社員への出資を行なっています。
DeNA太鼓判人材及び、他企業の飛び抜けた人材の起業を全力で後押しします。
DeNAの社員や、優秀な社外の人材の独立起業を全力でサポートするプログラムです。事業案を固めるための調査、会社設立や資本政策等のサポート、経験豊富な起業家や投資家等のメンター陣による事業アドバイス、起業後の出資など、あらゆる方法で起業家としてのスタートダッシュを支援します。
デライト・ベンチャーズウェブページより
他に、横浜DeNAベイスターズの食事にはDeNAアルムナイが創業したベースフードの完全食が採用されています。
>>DeNA球団管理栄養士の小泉氏が栄養面からみたBASE PASTA®
>>ITと食で、世界を健康にする|ベースフード×DeNAヘルスケア対談
企業とアルムナイの協業・提携
NTT東日本
NTT東日本アルムナイが代表を務めるスペースマーケットとの業務提携を発表しました。
アルムナイへの社割・福利厚生の提供
臨海セミナー
同社が展開するセミオーダースーツショップで割引が受けられるなど、福利厚生の一部を退職後も利用できます。他に英会話教室などの割引適用も調整中。
>>学習塾・臨海セミナーがアルムナイネットワークを発足「“共育”できる、新たな居場所をつくりたい」
スープストックトーキョー
「バーチャル社員証」を希望者に発行。退職後もスープを社割で購入できたり、新商品をいち早く試したりするほか、ライフステージに応じて再入社も可能です。
マクドナルド
退職後も医療保険に加入できる仕組みを用意。詳細や手続きについてもウェブページで詳しく説明をしています。
海外の取り組み
Microsoftは自社製品の割引のほか、アルムナイ向けのキャリアフェアなど行っています。
>>アルムナイ向けのキャリアフェア
>>自社製品の割引
>>その他特典について
以下企業は福利厚生サービス『Perks at Work』を退職者にも提供。
>>Deloitte
>>HSBC US
>>Staples
>>US Bank
他にも各社が次のような動きを退職者に対して行っています。
・LinkedIn
>>アルムナイに自社プラットフォームのプレミアム会員権を無料提供
・Airbnb
>>アルムナイの転職を支援
・ネスレ
>>商品・サービスを割引価格で提供する「NESTLE ALUMNI DISCOUNT PROGRAM」を提供
アルムナイの再雇用制度
フローレンス
2018年に退職者の再雇用制度「サーモンチケット」を導入。チケットを使うと書類選考なしで面接から選考をスタートすることが可能に。直近の1年間で5〜6名から制度の利用があり、3人が再入社に至ったそうです。
>>フローレンスの再雇用制度が順調な理由「退職しても、根底の価値観は一緒」
中外製薬
形骸化していた退職者再雇用制度を「アルムナイ制度」として刷新。
>>退職者再雇用制度を「アルムナイ制度」として刷新。中外製薬が退職者との関係づくりに取り組む狙いとは
再雇用に限らず、アルムナイ(退職者)とゆるやかに関係性を持ち続けることを目的とした制度ですが、結果的に1年間で3名の再雇用が生まれています。
クラレ
2019年9月「カムバック採用制度」を導入。同時にアルムナイとのネットワークづくりを開始し、再入社希望者のみならず、「再入社を希望しないけれどクラレとのつながりを持ちたい」人とも交流を持っています。
>>クラレの「カムバック採用制度」と「退職者とのネットワーク創り」が社員・アルムナイの双方から好評な理由
b-monster
2019年、アルムナイに向けて再雇用の案内をスタート。アルバイトか社員として再びb-monsterで働くことができ、約1年でアルバイト7人、社員3人の合計10人の再雇用を実現しています。
>>再雇用を始めたb-monster代表・塚田姉妹の葛藤「長く働いてほしいけど、それは私たちのエゴでもある」
TIS
2015年から5年間で約30名の再雇用を実現。再雇用以外にも「新しいビジネスを展開していくための積極的なアルムナイとの協業」を目的に、2021年にアルムナイネットワークを立ち上げました。
>>「IT業界全体で人と人がつながることを考えたい」TISが退職者との関係構築に取り組む理由
>>「退職者ネットワーク」は人材不足のIT企業を救うのか? TISの取り組みは
その他
以下で現役世代の退職者再雇用の制度がある会社をまとめています。対象者やネーミングの参考にご覧ください。
交流会・イベントの実施
デロイト トーマツ グループ
著名人を招いて行われる年2回の講演会「デロイト トーマツ未来塾」と情報交換を目的としたイベント「ナナメのつながり」を定期開催。後者は在職時の上司・部下といった「タテ」でも、同期・同僚といった「ヨコ」でもない、世代・業種・専門性などの垣根を越えた「ナナメ」の関係を持つことを目指して行われています。
>>約5000人が所属する「デロイト トーマツ アラムナイ」事務局&アルムナイ コアメンバーのアドバイス
住友商事
住友商事の退職者を対象とした「SC Alumni Network」を設立し、総会を実施。「社内外の多様な知見・人的ネットワークの融合による新たなビジネスチャンスの創出」を目的に行った退職者と現社員との懇親会には、約250名が参加しました。
>>「SC Alumni Network」の設立および第一回総会の実施について
ヤフー
オープンコラボレーションスペース「LODGE」を通じて、モトヤフ(退職者)とイマヤフ(現社員)の交流を促進。現社員が副業でモトヤフの会社を手伝うことも。
>>辞めてもサヨナラじゃない。ヤフー流アルムナイ「モトヤフ」が注目のワケ
モバイルファクトリー
アルムナイが社員に向けて行う「卒業生講演会」を定期的に開催。毎回異なるキャリアを歩むゲストを招き、企業とアルムナイがつながる機会として社員からも好評のイベントです。
>>モバイルファクトリー: アルムナイによる「卒業生講演会」潜入レポート
その他
電通
県内企業の経営課題解決のために、都市部ビジネス人材の移住就職やIJUターン就職、副業・兼業を促進している鳥取県と、電通アルムナイが連携。電通アルムナイに鳥取県内企業の副業案件を紹介し、2020年度は8名の電通アルムナイと7社の鳥取県内企業のマッチングが成立しました。