企業風土の変革に向けた取り組みをスタートした〈みずほ〉。その一つとして、2022年4月「社員参加型ワーキンググループ」(以下、WG)を発足しました。
そのWGで2022年7月、みずほアルムナイと「価値観・行動軸」をテーマとした意見交換会を実施。会社を離れたアルムナイとの意見交換には、どのようなメリットがあるのでしょう?
WGメンバーの岩崎秀信さんと、意見交換会に参加したアルムナイの岩城亮介さんにお話を聞きました。
株式会社WellsPartners/元・みずほ銀行(2008-2021)岩城亮介さん (写真左)
2008年 みずほ銀行入行、主に個人RMとして、会社オーナー、富裕層のお客さまに対する資産運用コンサルティングに携わる。その後、みずほプライベートウェルスマネジメント(現:ウェルスアドバイザリー部)にて超富裕層ニーズ対応、事業承継、非金融サービスに従事した後、営業店の課長としてマネジメントを経験。2021年にみずほを退職し現在に至る。
みずほ銀行 社会・産業基盤第三部 WGメンバー 岩崎秀信さん(写真右)
2008年 みずほ銀行入行、成増・浜松・日本橋支店と3カ店で法人営業を担当。その後、取引先企業の経営企画部門に出向し、コロナ禍での経営改革への取組みに従事。
2021年より、現所属部署にて金融法人グループの営業を担当。
将来〈みずほ〉に戻るかもしれない。だから、良い会社じゃないと困る
——まずはWGについて教えてください。
岩崎(WGメンバー):〈みずほ〉はここ1〜2年、システム障害を立て続けに起こしてしまっています。その背景として、「言うべきことを言わない」という〈みずほ〉のカルチャーへの指摘があり、現在はグループ全体で企業風土の変革に向けた取り組みを行っています。
その一つとして、2022年4月に社員参加型のWGが立ち上がりました。メンバーは7万人を超えるグループ全社員を対象に公募され、グループ各社の業務内容、立場も異なる約150名が手を挙げました。
テーマは「価値観・行動軸」「コミュニケーション変革」「業務スタイル変革」「主体的行動サポート」の4つがあり、私は「価値観・行動軸」をテーマにしたWGに参加しました。
——岩崎さんが参加した「価値観・行動軸」のWGでは、主にどのようなことをしてきたのですか?
岩崎(WGメンバー):〈みずほ〉がこれまで企業理念として掲げてきた、基本理念やビジョン、バリューについて改めて話し合い、検討し直してきました。具体的には、社員一人ひとりがお客さまや社会に向き合うために、〈みずほ〉の価値観・行動軸はどうあるべきか、そしてそれをどのように社員に浸透させるのか議論しました。そして先日、〈みずほ〉は新たにパーパス「ともに挑む。ともに実る。」を制定しましたが、WGの立場としてパーパス策定に向けた議論にも参画してきました。
——WGは公募とのことですが、岩崎さんはなぜ応募しようと思ったのでしょうか。
岩崎(WGメンバー):私は最近まで2年間、取引先に外部出向しており、出向当時からそこでの経験を〈みずほ〉に還元したい想いを持っていました。
個人的な意見ですが、〈みずほ〉は真面目で優秀な社員が多い一方で、組織になると言うべきことがあっても周りの空気を気にするあまり口に出さなかったり、その場がうまくまとまることを優先してしまったりする傾向があるように思います。ミーティングで率先して発言をする人も少ない印象です。
一方、出向先の会社では、部長や役員の前であっても誰もが当たり前のように意見を交わしていました。私のお世話になった部署がたまたまそうだったのかもしれませんが、その姿を見て私自身が刺激を受けたからこそ、出向を終え改めて〈みずほ〉の姿を内側から見て、「何かできることはないのだろうか」という漠然とした課題意識がありました。
そのような中でWGの募集を目にし、「外を見てきた自分だからできることもある」と思い、手を挙げました。
——正直、環境を変えるという選択肢もあったのではと思います。WGに参加してカルチャーを変えようと思ったのはなぜでしょう?
岩崎(WGメンバー):私は、「お金には色がないからこそ、お金を扱う金融機関であれば、多くのヒトや企業と関わり、支援することができる。そして、〈みずほ〉であれば、一個人としてではなかなか出会えない方々にも自らアプローチができ、社会にも大きなインパクトを与えられる」と希望を抱いて〈みずほ〉に入社しました。
そのため、「〈みずほ〉より他の会社の方が企業カルチャーが良いと感じる、という理由だけで、自分の身を置く環境を変えたい」とは思いませんでした。
それに〈みずほ〉をより良い組織にすることを考えたら、自分のように外部を経験した人だからこそ気付ける課題もあります。また、何より〈みずほ〉の社員がそれぞれの強みを最大限発揮して力を合わせればより良い組織になるという確信もあるので、自分が納得できるまでやり切りたいと思っています。
——岩城さんは〈みずほ〉のWGの取り組みを聞いて、どう思いましたか?
岩城(アルムナイ):とても良い取り組みだと素直に思いました。アルムナイネットワークも含め、会社自体を変えようとしているのを感じます。
——意見交換会の参加者募集はアルムナイネットワークを通じて行われました。岩城さんが参加しようと思った理由を教えてください。
岩城(アルムナイ):私自身が将来〈みずほ〉に戻る可能性も0では無いと考えているからです。〈みずほ〉が嫌で辞めたわけではありませんから、退職時から「再入社の可能性もゼロではないだろう」という想いがありました。
私は現在〈みずほ〉で支店勤務をしていた頃の同僚がつくった会社で働いています。力試しのつもりで転職しましたが、この先何が起きるかはわかりません。
そのときに〈みずほ〉が良い会社でいてくれないと困りますから(笑)、私にできることがあれば協力したいと思っています。
「その施策は外から見てどうなのか」アルムナイの意見を取り入れたい
——実際に意見交換会に参加してみていかがでしたか?
岩城(アルムナイ):いろいろな職種、立場のWGメンバーの方がいたのが印象的でした。私が参加した時は支店長の方もいらっしゃいましたね。
〈みずほ〉を離れたからこそ、中にいた時には気づかなかった良さや改善すべき点も見えてきたので、そこは率直にお話させていただきました。
例えば、グループ力を結集したリソースやノウハウは〈みずほ〉一番の強みです。〈みずほ〉時代当たり前のように得ていた情報の価値を、外に出た今痛感しています。
一方、支店長の交替や方針変更があった際に、組織の目指す方向性やビジョンの説明がないまま、業務が変わる点は改善の余地があるところだと感じています。本来の自分の担当業務の範囲外のことまでやらざるを得ないこともあり、「自分はどんな仕事がしたかったんだっけ?」という疑問を持ちやすくなってしまう。
岩崎(WGメンバー):そのような声は社員からも出ており、改めて課題として受け止めるきっかけになりました。また、岩城さんがおっしゃった通り、〈みずほ〉を離れた皆さんの目にもグループ総合力が強みとして映っているのを確認でき、自信にもなりましたね。
長く在籍していると、メガバンクグループが持つインパクトの大きさや豊富なリソース、社会的な意義や責任など、どうしても意識が薄れてしまうところがあります。入社前やその直後は社員の誰しもがそれを強く感じていたはずなのに、いつしか当たり前になってしまう。
アルムナイの皆さんの声を聞いて、そういった〈みずほ〉の存在意義を再確認できたのは大きかったですね。
——運営側として、アルムナイが率直な意見を言いやすくするために工夫したことがあれば教えてください。
岩崎(WGメンバー):まずは、私たちWGメンバーから出た意見を、ネガティブな内容も含め包み隠さず提示しました。「私たちはこう思っています」と率直に伝えたことで、アルムナイの皆さんも話しやすくなったかなと思います。
——意見交換会を通じて得たアルムナイの意見は、今後どのように生かしていく予定ですか?
岩崎(WGメンバー):2022年7月にアルムナイとの意見交換会を行い、9月にはWGとして経営への提言を行いました。その中の「価値観・行動軸」WGとしての提言に、意見交換会のエッセンスを入れ込んでいます。
提言内容は「〈みずほ〉の価値観そのもの」と「それをどう浸透させるか」の2つの軸を中心にまとめましたが、WGから「〈みずほ〉の価値観に必要な要素」として出した「自由」「挑戦」「ワクワク」といったキーワードは、アルムナイの皆さんからいただいたご意見の影響が大きいと思います。例えば、「業務量が多く、本当にやるべきことにフォーカスを当てることができなかった。前例踏襲も多く、なぜその業務が必要なのかをきちんと考えたうえで、必要のないものはやらない、と言うべきだった」「現職は、自ら考えて行動し、自ら社内でやりたいことも探しているから、忙しいがワクワクしている」といった声はとても印象に残っています。
また、〈みずほ〉全体としては、企業風土の変革とコミュニケーション活性化に関するグループ全体の企画・推進責任者として、2022年12月に「コーポレートカルチャー担当(グループCCuO/Chief Culture Officer)」が新設され、企画・推進する組織として「カルチャー変革推進PT」も立ち上がりました。カルチャー変革に向けて、これから具体的な施策を検討し、実施するフェーズに入ります。WGも並走し、〈みずほ〉の企業理念を浸透させる動きを加速させたいと思っています。
——WGとして、今後アルムナイの皆さんとどのような連携をしたいですか?
岩崎(WGメンバー):私の個人的な考えですが、今後施策を進めていく際も、「この施策は外から見て、また〈みずほ〉をよく知っている立場から見てどうなのか」といったご意見をアルムナイの皆さんからいただけるといいのではとイメージしています。
7万人超の大きな組織を一つの方向性にまとめる難易度は高く、内部の人間はどうしても最大公約数の選択肢を取ってしまいがちです。だからこそ、〈みずほ〉の中と外を知るアルムナイの皆さんからご意見いただくことで、より良い施策にしていけるのではと思います。
岩城さん含め、〈みずほ〉のことを想ってアルムナイネットワークに入っていただいている方も多くいらっしゃると思うので、引き続き皆さんと意見交換をする機会をつくりたいですね。
アルムナイは身近な相談相手であり、アドバイザーでもある
——今回の意見交換会を経て、〈みずほ〉とアルムナイがつながるメリットをどう感じていますか?
岩崎(WGメンバー):実際に意見交換会をやって感じたのは、アルムナイの皆さんは身近な相談相手であり、アドバイザーであるということ。
アルムナイの方々の一番の特徴は、〈みずほ〉の中と外の双方の知見を持っている点です。現役社員たちが考えていることに対して、アルムナイは内部の事情を理解した上で客観視し、フラットに外部と比較できる。
〈みずほ〉の価値観がどうあるべきかを考えるとき、外部の視点は重要ですが、〈みずほ〉の内情が分からないゆえにどうしても表面的な意見になってしまうという側面もあると思います。だからこそ、〈みずほ〉をよく知るアルムナイの方々の意見は貴重であり、大切な存在だと実感しています。
岩城(アルムナイ):外の立場から思うことを、率直に現社員の方にお伝えする場があるのは良いことだと感じています。〈みずほ〉を離れ、外と〈みずほ〉を比較しやすくなった分、〈みずほ〉のやり方を「もったいない」とはがゆく思うことも増えましたから。
また、現役社員の方には、今当たり前にできていることがすごいことなんだと知ってほしいです。それに慢心することなく、〈みずほ〉のリソースを最大限活用して、〈みずほ〉を支えてほしいなと思います。
岩崎(WGメンバー):アルムナイの皆さんと現役社員が接点を持つ意義はとても大きいと思います。外の風を取り入れられる一番身近な存在であり、フラットに意見を言い合えるという点で出向時の体験に近い感覚が得られています。それは現社員にとって、大きな財産になると思いますね。
お互いのビジネスを知ることで生まれるアイデアもあるでしょうし、昔話に花を咲かせることで、初心に帰ったり、「〈みずほ〉だからこういう仕事ができる」と再確認したりするきっかけにもなる。今後もWGに限らず、全社的にアルムナイとの接点を増やしていくべきだと感じています。
岩城(アルムナイ):アルムナイネットワークにはビジネスチャンスも多いですよね。今の会社でも〈みずほ〉アルムナイがいる会社と提携をしていますし、せっかくの「元同僚」ですから、つながりをフル活用して、現社員と〈みずほ〉アルムナイ、そしてアルムナイ同士で頑張っていけたらWin-Winかなと思います。
岩崎(WGメンバー):ただ、現状はまだまだアルムナイネットワークの存在が社員に認知されていません。私も恥ずかしながらWGに参加する前は「アルムナイ」という言葉自体を知らなかったので、そこは課題ですね。
現社員の中には、「中途退職した元みずほ社員」に対して後ろ向きな印象を持つ人もいるかもしれません。でも、決してそうではなく、〈みずほ〉をよく知る、自分たちにない視点を持つ良き相談相手なのだと一人でも多くの社員に知ってほしいです。
岩城(アルムナイ):今は〈みずほ〉を離れて活動をしていますが、十数年勤めた会社でもありますから、〈みずほ〉愛はあります。だからこそ〈みずほ〉にはより良い会社になってほしいですし、できるかぎりの協力をしていきたいと思っています。これからの〈みずほ〉を楽しみにしています。
岩崎(WGメンバー):ありがとうございます。〈みずほ〉が今後どう変わっていくか、一番身近な存在として見守っていただき、時には厳しい言葉をいただきながら、一緒に〈みずほ〉を良い会社にしていければうれしいです。
(こちらは、みずほフィナンシャルグループ(※)のアルムナイ専用です)
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