近年、日本でもアルムナイネットワークをつくろうと取り組む例が増えています。
有志の退職者がFacebookグループを立ち上げたり、企業が正式な制度として導入したりと、運営元やスタンスは各社さまざまですが、共通しているのは「活性化が難しい」という課題。
せっかくできたアルムナイネットワークを形骸化させず、ネットワークを通じた交流を促すにはどうしたらいいのか。交流を活性化させるまでのステップを見てみましょう。
アルムナイネットワーク活性化までのステップ
ステップ0. 会社の辞め方
大前提として、参加するアルムナイが辞めた会社に愛着を持っていなければ、アルムナイネットワークは成り立ちません。
アルムナイネットワークは「同じ会社出身」という共通点で運営される場であり、その会社への関心がない中で積極的に交流をしようとはならないもの。もっと言えば、そもそも嫌いな会社のネットワークに参加する動機はありません。
在籍時の体験はもちろんですが、辞める会社への印象を大きく左右するのが、辞め方。「退職者=裏切り者」ではなく、卒業生として温かく送り出すための対応を、上長や人事担当者が把握し、適切な退職対応をする必要があります。
また、最終日に送別のセレモニーを行う、寄せ書きや花束などプレゼントを用意するなど、現場のメンバーが退職者に感謝の気持ちを伝えることも大切です。
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ステップ1. つながる
アルムナイとつながるには、ネットワークの存在を周知し、関心を持ってもらう必要があります。ネットワークの目的や実現できることを伝え、参加を促しましょう。
企業が正式な制度としてアルムナイネットワークを運営するのであれば、退職時に案内をする、企業ページに登録ページのURLを記載するなど、アルムナイネットワーク登録までの適切な導線を設定することが重要です。
有志メンバーで運営する場合は、自分たちで周囲のアルムナイに声をかけたりSNSで告知したりといった動きと同時に、参加者のクチコミで新規参加者を増やすことがポイントに。
いずれのケースも鍵を握るのは、顔の広い人。古巣企業への愛が強く、交友関係が広い人を巻き込むのが理想です。
なお、アルムナイネットワークに積極的な個人の傾向は以下の表の通り。属性としては新卒入社で3年以上勤務していること、特性としては学生時代の友人と仲が良いなどビジネスに限らず社交的であることが、調査結果からわかっています。
ステップ2. 知る
次の「深める」「創る」のステップにつなげるためには、「アルムナイネットワークにどのような人が参加しているのか」を知ることが第一歩になります。
参加者のプロフィール情報は使用ツールによりますが、参加時に自己紹介を行うルールを設ける、アンケートをとって属性や関心事を把握するなど、お互いを知るための動きが活性化のベースをつくります。
なお、自己紹介をした人が次に自己紹介をする人を指名すると「知る」と活性化を同時に行うことが可能です。
ステップ3. 深める
アルムナイネットワーク参加者同士の関係を「深める」と、交流がしやすくなります。そのためにはネットワーク内での交流だけではなく、顔が見えるかたちでのイベントが効果的。
イベントはオフラインが理想ですが、少人数でオンライン交流会を開催するのもオススメです。人数が限られるぶん深くコミュニケーションが取れますし、育児・介護中の方や遠方に住んでいる方も参加しやすいのがメリット。
なお、初対面の人が多い場合は「コロナ禍の働き方の変化」「おうち時間の楽しい過ごし方」など、誰でも関心を持てる簡単なテーマを決めると、参加者全員が話しやすくなります。年齢や現在の職種・業界、子育て中といった属性など、共通項を持たせたグループ分けをするのも盛り上げるポイント。
ステップ4. 創る
参加者同士がお互いを知り、関係性を深めると、参加者同士での新たな提案や働きかけがしやすくなります。アルムナイネットワーク内で自発的にイベントや企画が立ち上がるといった動きも。
また、現在やっている仕事や得意分野、それぞれのニーズを把握できれば、アルムナイ同士、あるいはアルムナイと古巣企業との間で副業や業務委託などのビジネス協業、オープンイノベーションなどに発展するなど、多くの成果を「創る」ことができます
まとめ:生きたアルムナイネットワークをつくるには
アルムナイネットワークを有意義なものにするためには、ただネットワークを用意するだけでは不十分。「創る」に至るまでのステップを意識し、交流を促す工夫が必要です。
また、目指すアルムナイネットワークの姿を踏まえた上で、最適なツールを選ぶこともポイントの一つ。
>>SNS、メーリス、採用管理システム……アルムナイネットワークに使えるツールまとめ【比較表あり】
個人の転職が当たり前になり、居場所が移り変わるこれからの時代は、企業も個人もつながりを持つ重要性が高まります。退職しても終わらない関係性を実現するために、生きたアルムナイネットワークをつくっていきましょう。