「アルムナビ」編集長の勝又啓太です。
今、こうして「アルムナビ」という、企業のOB/OG・卒業生に関する情報に特化したメディアを運営しているわけですが、いつか自分自身アルムナイである、古巣のアルムナイ・リレーションやネットワークを活性化したいと、その機をうかがっていました。
また、皆さんから寄せられる「アルムナイ・ネットワークの重要性はわかるけれども、そのコミュニティを継続的に、活性化させられるものなの?」とか、「アルムナイ・リレーションって、言わば元カレ・カノとヨリ戻すみたいなもので、気まずいんじゃない?」といった疑問や不安の解消を実践していく義務もあるんじゃないかと、自ら動き出してみることにしたのです。
憧れの「○○マフィア」
私は大学卒業後、レッドフォックス株式会社に新卒入社し、2年半務めた後、1年間の個人事業主を経て起業したので、自分自身がアルムナイである古巣企業は1社のみです。
下記は、私のプロフィールのうち、サラリーマン時代を抜粋したものですが、いろいろなことを経験し、ビジネスパーソンとしての礎を築くことができた、濃密な体験でした。
2002年4月、レッドフォックス株式会社(ソフトハウス)に入社。システムエンジニアとして、携帯電話会社企業統合システム(ファイナンス機能)開発・運用・保守に従事。2003年より同社の人財開発室長として、約70名の新人教育、既存社員教育を行う。独自の教育手法・ノウハウを確立し、2004年3月、ソフトバンクパブリッシング株式会社(現SBクリエイティブ株式会社)より著作『サーバーサイドJavaプログラマー養成講座』を出版。営業企画室を経て、同社退職。
さて、そんなレッドフォックス株式会社ですが、私の同期だけ見ても、25人のうち(確認できているだけでも)5人以上が起業しているという、知られざる起業家人材輩出企業なんです。単にアルムナイ・ネットワークを構築するだけじゃなく、せっかくですから目標高く、「レッドフォックス・マフィア」と名乗りたいところです!
「千里の道も一歩から 千里の道も一歩から」ということで、まず、レッドフォックス・アルムナイのうち、誰か一人(しかもなるべく同期じゃないネットワーク)に会いに行こう、と決意した次第です。
伝説のレッドフォックス・アルムナイ
そんな折、タイミング良く、一通のお知らせが届きました。レッドフォックス・アルムナイであり、私の営業企画室時代の上司でもあり、株式会社EVERRISEを起業し、代表取締役を務める倉田宏昌さんからです。聞けば、社内バー「Ebar」が完成したので、そのお披露目会があるというではないですか。
倉田宏昌さんは、私のレッドフォックス入社時点で、最年少の管理職として大活躍しており、数々の伝説を誇り(誰も取得していない難関資格を先陣切って受けて真っ先に合格したり、数億規模の案件を獲得してきたり)、最終的には役員(CMO)にまで登りつめた方です。
東北地方でユルく生きてきた、お上りさんだった私にとって、「本当に東京のベンチャーに来てしまったんだ」感を与えてくれるに十分な存在だったと言えます。ちなみに、私は倉田さんの部下の時に退職したので、最初に辞意を伝えたのは倉田さん。そういう意味でも私のアルムナイ企画としてはうってつけだったかもしれません。
実は起業後もやりとりは断続的にあり、まさにアルムナイ・ネットワークとして、共同で Web サービスの構築プロジェクトをこなしたり、私も EVERRISE の社員向けにデザイン研修を実施したりしたことも(あとはオフィス移転時には花を贈りあったり)。
Ebar に潜入
というわけで、EVERRISE 社内バー「Ebar」お披露目会に駆けつけてきました。
「十年」
勝又:社内バーオープン、おめでとうございます。昨年夏に、十周年パーティーにもお招きいただきましたが、いつも倉田さんたちは華やかだなあ、その成功にあやかりたいなあと思っていますよ。
倉田:いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます。EVERRISEも「デジタルマーケティング」という路線をようやく固めることができたところですよ。ここまで実に十年かかったんだなあと。
勝又:十年、言葉にすればわずか二文字ですが、十周年パーティーといい、今回のお披露目会といい、懐かしい顔ぶれが集まるので、なんだか一角がレッドフォックスの同窓会みたいに感じることがあります。
今回は、そんな限定的なものからアルムナイ・ネットワークを発展させて、ゆくゆくは「レッドフォックス・マフィア」を結成しようという、壮大な野望の第一歩ということで、私たち世代のアルムナイ・ネットワークの中心にいて、かつ、事業的にも拡大している倉田さんに真っ先にお話を伺わなくては、ということでやって来ました。
倉田:勝又さんにもいろいろお世話になっているのもそうですし、今でこそ「デジタルマーケティング」にどっぷりですが、未経験だったその世界に踏み込んだのも、メディアレップに転職した同じくレッドフォックス・アルムナイからの依頼がきっかけでしたし、金融系SIへ転職したアルムナイにはリーマンショックで大変な頃に案件発注してくれましたし、振り返ってみると、今のEVERRISEがあるのも、アルムナイ・ネットワークあってこそ、と言えるかもしれません。
勝又:一方で、アルムナイ・リレーション、つまり、レッドフォックスと倉田さん自身との関係性ですけど、別所さん(別所宏恭: レッドフォックス株式会社 代表取締役社長)の結婚式で、倉田さんが余興を務めたり、十周年記念パーティーにもいらっしゃったりと、こちらもかなり良好だと感じています。
EVERRISEは、倉田さんとその右腕左腕である伊藤さん・成田さんによる、言わば「スピンアウト型」の起業ですよね。私が先に退職したこともあって、倉田さんの退職の経緯ってよく知らないんですけど、ぶっちゃけどうだったんでしょう?
倉田:ちゃんと円満退社なんですよ(笑)。起業の一年前にちゃんと、別所さんに「3人で一緒にやります」って宣言して。
勝又:当時、取締役 CMO・営業部長ですもんね。ちゃんと筋を通したんですね。
倉田:そこからしばらくは、立ち上げで必死だったこともあって、没交渉でした。でも、どうにか3周年を迎えた節目に、意を決してワインを持ってご挨拶に赴いたんですね。起業してみてわかる、3年間生き残ることの難しさをかみしめて、改めてレッドフォックス、そして別所さんのすごさを再認識したことによる、こみ上げてきた想いからかもしれません。
勝又:それ、わかります。当時、別所さんが「○○年には社内の公用語を英語にする」とかおっしゃっていても、誰も本気にしていなかったのに、実際に楽天が2010年に実行したじゃないですか。レッドフォックス・アルムナイなら皆、「あ、別所さんが十年も前から言っていたこと!」ってハッとしたはずですもんね。
倉田:別所さんの抱いている大きなビジョン、当時の私たちでは計り知れなかっただけなんですよね。
それで、2010年くらいに、別所さんのご紹介で、EO(Entrepreneurs’ Organization)に入会することになったんです。その月例会などでちょくちょくお話しするようになりました。EOの中でも、「別所さんのところ出身なんです」と言うと、みんな「おぉ~」って言ってくれるくらい、別所さんらしい存在感は健在でした(笑)。
勝又:想像できます(笑)。今回の「レッドフォックス・マフィア」企画についても、「お前たち、早く『マフィア』って胸を張れるようにしろよ、ふがいないぞ」っておっしゃるでしょうね。
お互い私たち世代以降のレッドフォックス・アルムナイとの接点ってあまりないと思うんですが、知る限り私たち世代の起業率が突出しているのは、当時組織が小さかったゆえに経営、つまり、別所さんの近いところにいられたからかもしれませんね。
倉田:はい。二十歳前後にして生きる方向性を見失っていた私をフックアップしてくれた別所さんは私の恩人だと思っています。健全な競争下の真の実力主義、結果さえ出せば評価してくれる、そして、同じように人生に迷いがあった仲間たちとともに切磋琢磨する、そんなおもしろい環境でした。だからこそ、私たちに起業家精神が同時多発的に芽生えたんでしょう。
勝又:ますます「レッドフォックス・マフィア」の名に恥じない存在にならないと、ですね。それが別所さんにできる恩返しのひとつだと思いますし。今後も倉田さんにはいろいろご協力いただきたいので、よろしくお願いします!ありがとうございました。
次回予告: レッドフォックス・アルムナイを集め、その想いを測る
倉田さんとは昔話に花が咲き、かつての仲間たちの今もいろいろ追うことができました。こうして、「レッドフォックス・マフィア」結成の意を新たにしたところで、続くフェーズは、アルムナイ・ネットワークの仲間集め。そして、古巣とのリレーションシップ再構築のため、その仲間たちとともに、実際にレッドフォックス株式会社へ赴いてみようと思っています!
とはいえ、いきなり押しかけてもわけがわからないはず。そこで、「今、アルムナイたちはどんな状態なのか、どう考えているのか」を定量・定性でスコアリングできるツール「GAUGE powered by Official-Alumni.com」(言わば、アルムナイ向けのNPS®だと思ってください)を活用しながら、レッドフォックス・アルムナイの想いを、見える化していく予定です。
注: ネット・プロモーター® 、ネット・プロモーター・システム® 、ネット・プロモーター・スコア®及び、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
株式会社EVERRISE
広告代理店やインターネットでマーケティングを行う企業に対して、デジタルマーケティングに関する技術をソフトウェアや情報システム等の形で提供。高度な技術を必要とし、対応できる企業が国内でも限られている分野であり、数少ないデジタルマーケティングITに関するリーディングカンパニー。
オリジナル広告配信を実現するプライベートアドサーバー「ADmiral(アドミラル)」
ADmiralは非常にカスタマイズ性の高いアドサーバー。オリジナル広告商品の開発を可能にし、より効果的でより高い収益を得られる広告配信を実現。
4Rコミュニケーションを実現するCDP「INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)」
INTEGRAL-COREは、マーケティングプラットフォームの中核となるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)。顧客データを中心に、オンライン/オフラインを問わずあらゆるデータの蓄積と統合。
運用型広告レポート自動化ツール「アドレポ」
アドレポは多数のプラットフォームにまたがる複雑なデータを一元管理し、レポートを自動生成できるツールです。リスティング広告、ディスプレイ広告、サイト解析などの結果数値を全てひとつのレポートにすることで、統合的な分析を実現。
採用サイト(もちろん出戻りも大歓迎だそうです)
https://www.ever-rise.co.jp/recruit/ / https://www.wantedly.com/companies/EVERRISE/projects
編集後記
経営や人事って、すごく合理的な側面と、理屈ではない感情的な側面、両方あると思うんですけど、辞めた会社との関係性って、特に後者が強く押し出されますよね。誤用じゃない意味で「敷居が高い」、勘当とか破門に近い感覚なのかもしれません。
でも、極めて感情的な壁があるだけで、そこに本当の断絶があることはそこまで多くはないはずです。
個人的な話で恐縮ですが、私は20代まで偏食で、魚介類を食べることができませんでした。これは単なる食わず嫌いで、アレルギーなどがあるわけではなく、極めて感情的なものだと気付いた私は、なんらかのきっかけがあれば乗り越えられると考えました。
それが28歳くらいの時。きっかけは何でも良かったのですが、私は古くからのライフハック、「通過儀礼」を活用することにしました。具体的に言えば、勝手に「30代は魚介類を食べる」という節目を設定したのです。事業計画でも「エイヤ」で切りの良い数字を設定するように、節目は思いのほか効果があるもの。29歳の誕生日から徐々に魚介類に身体を慣らしていき、今ではほぼ完全に克服することに成功しました。
余談はこれくらいにして、今回の倉田さんも、創業3年の「節目」に、古巣の社長に挨拶に行った話をされていました。その時の倉田さんたちの心境ですが、内心相当緊張していたことでしょう。そして、挨拶を終えた時、良い意味での「あっけなさ」を感じたことでしょう。幻の壁や霧が晴れる感じ。
私自身、「アルムナビ」を立ち上げても数ヶ月動かなかったわけですし、改めて倉田さんにアルムナイ同士として会いに行くのは気まずさや恥ずかしさみたいな感覚があったのは事実です。
だけど、こうして意を決して、一歩を踏み出すと、当時のことをいろいろ思い出して初心に返れたり、アルムナイ・ネットワークでコラボが生まれそうだったり、アルムナイ同士ゆえのシンクロ感が心地良かったり、そして何より、「古巣・レッドフォックスで働くことができて良かった!」という想い・感謝の気持ちを新たにしました。
私のアルムナイ・リレーション/ネットワーク構築ドキュメントはまだまだ始まったばかりですが、皆さんも、これを期に古巣の戦友たち、上司や同僚、同期、部下、そして、古巣の会社へふらっとコンタクトしてみてはいかがでしょうか。この記事が皆さんにとってのアルムナイ・ネットワーク/リレーションへつながるきっかけになれば幸いです。(アルムナビ編集長・勝又 啓太)