2025年2月12日、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)の東京表参道オフィスにて、トヨタアルムナイとしては初めてのビジネスに特化したイベントが開催されました。当日はアルムナイ30名近く、現役社員も20名を超えて参加した本イベント。新規事業をテーマにしたトヨタアルムナイ初の試みがどのような想いから開催に至ったのか、当日の様子とともにお伝えします。
※こちらは過去にトヨタ自動車に在籍していた方専用のネットワークです
トヨタが取り組む新規事業とは
昨今、Woven Cityの取り組みなど自動車製造以外にも多方面に事業を展開しているトヨタ。今でこそ世界有数の自動車メーカーとなったトヨタですが、元々、自動車事業も豊田自動織機製作所から独立した豊田喜一郎のベンチャービジネスでした。トヨタは今もベンチャーのチャレンジ精神を受け継いで、新規事業に挑戦しています。(参考記事:トヨタイムズ『トヨタはベンチャー?トヨタが取り組む新事業開発とは』)
そうした新規事業に取り組む事業開発本部のロケーションのひとつが表参道オフィス。これから訪れるだろう社会の変化を見据えて、社内外の多様な参加者と共同で新規事業を検討・推進しています。

新規事業でアルムナイと繋がりたい想い
今回のイベントは、そうしたトヨタの新規事業の取り組みを知ってもらい、
”トヨタのことも知りながら、社外の知見を身につけた”アルムナイと共同で何かを取り組むことができないか、その検討の第一歩として開催されました。
会の冒頭、事業開発本部長の中西様からはアルムナイとの本イベントに期待を込めて、メッセージをいただきました。
「私は1992年にトヨタに入社して技術部で自動車の開発に携わっていました。自身のキャリアに悩む時期にトヨタに残って何かできることはないかと考え、2000年当時の事業開発部に異動することを決めました。そこから実に四半世紀、自動車から離れて新規事業に携わっています。
今日は堅苦しいことは抜きにしてネットワーキングにつながればと思いますし、社外で様々な経験を積んでこられたアルムナイの皆様の知見を現役社員にも教えていただきたいと思っています。」
イベント中はトヨタの新規事業の取り組みをアルムナイに知ってもらうことを目的に、実際に検討が進んでいる事業も一部紹介されました。事業開発本部では、世間一般がトヨタと聞いてイメージするものとはまったく違う事業に取り組んでいます。一例として児童向けの見守りGPSサービスの「SayuU」があります。「歩行中の交通事故死傷者数は7歳が一番多い」という問題を解決するために立ち上げた本プロジェクトは、顧客起点で課題を解決しようとするプロジェクトのわかりやすい例です。

当日は他にも、材料計測データ解析クラウドサービス「WAVEBASE」、トヨタのノウハウを詰め込んだ要件定義支援サービス「トヨタのモノづくり支援サービス」など、自動車製造とは毛色の違う事業が紹介されました。
様々な領域のトヨタの新しい取り組み・挑戦について、アルムナイからも関心や応援の声が多く集まりました。
また、プレゼンの途中には豊田佐吉氏の『障子を開けてみよ 外は広いぞ』という言葉が登場しました。トヨタ社員・アルムナイにとっては非常に馴染みの深い言葉です。
トヨタ内製だけでは様々な変革をやりきれない時代になってきている中で、社外の知見を取り込みながら、同じ目線で共に変革に取り組んでいくことが大切だと事業開発本部の想いを伝えます。
現役社員として社外も巻き込みながら新規事業に取り組む事業開発本部のメンバー、そしてトヨタのDNAを学びながら新しい世界で活躍するアルムナイにとって、「外は広いぞ」という言葉は何よりも実感をもって胸に響くのではないでしょうか。
交流から生まれる今後の可能性
トヨタの最新の取り組みを知る時間を設けつつも、対面型イベントならではの参加者同士の交流の時間もイベントの醍醐味です。
初対面の人同士がほとんどですが、同じトヨタに属した仲間。同じ釜の飯を食べた仲だからこそ、乾杯のときから打ち解けた雰囲気で場が温まります。
今回のイベントは、現役社員とアルムナイがビジネスを見据えた接点を持つ第一歩として企画されましたが、今後に期待が持てる活発な繋がりが生まれる時間となりました。当日の盛り上がりを受け、アルムナイからは様々なポジティブな声もあがります。
「前向きな社員の方とアルムナイの皆様にお会いし、様々なお話をさせていただくことで、刺激とエネルギーをいただけたように思います。」
「トヨタの最近の状況、取り組みに刺激を得られた。またアルムナイの横のつながりを構築できた。」
「トヨタの価値観を持っているプロの方々とのネットワーキングができた。」
「トヨタに在籍時の事業開発本部のイメージと全く異なりました。私もメンバーとして働かせてほしい!と思います。」
在籍時に接点の少なかった事業開発本部との交流は、社外で新しい知見を身に着けたからこその意味が生まれており、会社とアルムナイの新しい関係性を象徴するものなのかもしれません。
トヨタアルムナイネットワークの今後の展望
トヨタのアルムナイネットワークは 2022年に立ち上げられ、現在では参加者も500人を超える規模に。このネットワークは実は人事関連部門の若手有志が中心となって運営しています。日本を代表する大企業ゆえ、アルムナイと会社の繋がりをいかに形にしていくか、運営事務局のメンバーは日々試行錯誤をしています。
アルムナイネットワークの運営事務局・事業開発本部の現役社員の方から、今回のイベントを終えてメッセージをいただきました。
「われわれが推進する新規事業案件の多くは、従来トヨタが持つアセットだけではまかないきれないものが殆どです。我々のパートナーである先進技術開発カンパニーと言った技術の側面から事業を推進してくれる社内の仲間や、社外の方の力を借りながら、ひとつひとつ丁寧に事業開発を進めています。トヨタの事を良く知り、社外経験のある皆様とネットワーキングができた本イベントは、非常にありがたい機会だと思っています」
今回のイベントはトヨタとアルムナイとの新しい関係性を築いていく第一歩に過ぎません。今後もより深い関わりを作っていくための取り組みが検討されていくでしょう。
また、今回は新規事業を主軸にしたイベントでしたが、アルムナイの興味関心も様々なので、今後はまた別のテーマでのイベントも開催されていくことと思います。
事業だけでなく、アルムナイとの関係性を変えていこうとしているトヨタ自動車。今後の取り組みからも目が離せません。
※こちらは過去にトヨタ自動車に在籍していた方専用のネットワークです