【令和式】離職率を下げる新時代の改善策8選

離職率の改善策を考える人事担当者イメージ

人事や経営者が一度は頭を悩ませる「離職率」。せっかく採用した従業員は何故辞めてしまうのか?本記事では、離職率を改善したい時に改善すべきチェックポイントを解説していきます。

そもそも離職率とは?

ここでは最初に離職率の定義や計算方法について簡単に紹介します。すでにご存知の方はスクロールして飛ばしていただいて構いません。

離職者の定義

厚生労働省の令和2年上半期雇用動向調査結果の概況には「離職者」 とは以下のように定義されています。

「離職者」
常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇された者をいい、他企業への出向者・ 出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者を除く。

離職率の計算方法

厚生労働省では離職率は以下のルールに従って算出しています。

離職率は一定期間において退職した人の割合を示す指標であり数値が高すぎるのは改善の余地がありますが、ただ低ければ良いというわけではありません。企業のフェーズや成長に合わせて、採用とのバランスを取る必要があります。

離職率が高いとどうなる?

離職率が高いと世間からブラック企業とみなされてしまいます。また常に新しい人材を雇用しなくてはいけないため採用コストが随時かかるというリスク、またノウハウや人脈といった無形資産が社内に溜まっていかないというデメリットがあります。

データで見る昨今変化した日本の離職率

下記の表は、厚生労働省の令和2年上半期雇用動向調査結果(1月~6月)のデータです。

離職率

画像引用:厚生労働省 令和2年上半期雇用動向調査結果の概況

年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は 8.5%、離職率は 8.5% で、入職超過率は 0.0 ポイントとなっています。

前年同期と比べると、男女ともに入職率、離職率は低下したという結果になっています。また、一般労働者、パートタイム労働者ともに入職率、離職率は低下しています。

■知っておきたいポイント:
「入職超過率」とは?
入職率から離職率を引いたものです。プラスであれば入職率が離職率を上回ってます(入職超過)。マイナスであれば離職率が入職率を上回っています(離職超過)。

離職する本当の理由を確認する方法

離職率の基礎知識について簡単に確認したところで、本題に入っていきましょう。まずは離職者の本音を確認する方法についてです。

離職者はあまり本音を伝えないため、何故やめてしまうのか具体的な理由がわからない場合もあります。そういった際は、以下の施策を取り入れてみるといいでしょう。リアルな声から現状の課題を把握することが出来ます。

エグジットサーベイの活用

まず離職する本当の理由を確認する方法として「エグジットサーベイ」の活用が挙げられます。エグジットサーベイとは簡単に言えば退職者アンケートのことです。「エグジット」=出口=企業における退職で「サーベイ」=調査=アンケートをすることから、このような名前がつきました。

エグジットサーベイには色々ノウハウがあるのですが、ここで詳細に説明すると趣旨がずれるので詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

関連記事:退職者アンケート導入の重要性とは?エグジットサーベイで分かる退職者の本音

退職者コミュニティの立ち上げ

また、退職者コミュニティの立ち上げを検討することもお勧めします。退職者ネットワーク、アルムナイ向けの専門サービスも出てきています。「オフィシャル・アルムナイ・ドットコム」は、アルムナイ専門サービスとしてはシェアNo.1であり、アルムナイネットワークを構築できるツールです。退職者と継続的に関係を構築することによって、様々なメリットが生まれます。

【退職者の資産化で新たな価値を】
●退職者の再雇用
●退職者への業務委託
●退職者分析で離職率低下
●退職者採用でブランディング強化
=>アルムナイ専門ツール「official-alumni.com」の詳細を見る

離職率を改善したい際に見直すべき箇所とは?

現状の不満は具体的に何なのか?それぞれの勤続年数やレイヤーによっても様々だと思います。それぞれの部署が連携して離職率低下を目指す必要があります。

離職率改善のための手法として有効な改善策をご紹介します。

<離職率改善のための手法>
・採用計画、採用のペルソナ設計の見直し
・帰属意識の低さの改善
・働きやすい文化醸成
・有給休暇や育児休暇を取ることができるか
・育成スキームの改善
・上司と部下との信頼関係回復
・給与が低いなど条件面での不満の改善
・ハラスメントの相談窓口の設置

採用計画、採用のペルソナ設計の見直し

採用した人がすぐに辞めてしまう場合は、現場とのミスマッチが考えられます。ペルソナにあっていない人の採用をしていないか?採用コストが無駄にかかっていないかを確認しましょう。

ハイパフォーマーのペルソナの再設計をすることも重要ですが、全体のバランスを鑑みて、採用を進めていくことも重要です。

関連記事:採用計画の正しい立て方と見落としやすい5つのポイント

帰属意識の低さの改善

帰属意識の低さの改善には、経営者の思いを積極的に社員に伝えることが有効です。また会社に誇りを持つこと、会社で働く仲間が好きなことも帰属意識の高さに繋がります。

働きやすい文化醸成

働きやすい文化醸成はできているでしょうか?働きやすい文化は、組織のガバナンスや企業ブランディングにも繋がります。
価値観の共有や行動規範といった基本的なことから文化醸成は始まります。

有給休暇や育児休暇を取ることができるか

有給休暇を取得することができるかどうか?また育児休暇を積極的に推奨しているか?といった休暇に対しての全社員のスタンスは、「働きやすい会社か?」に繋がっています。
2019年4月に法改正があり、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては、企業が年5日は時季を指定し有給休暇を取得させる必要があります。もしこれを守らなければ、事業所に対して1人当たり30万円以下の罰金が課せられる可能性もあります。

育成スキームの改善

現場に配属になり、OJT(On the Job Training)と称してすぐ自走することができる社員ばかりではありません。育成を必要とする社員も中にはいて、そういった社員は取り残されたと感じ「社風に合わない」もしくは「この仕事には向いていない」と頭を抱えてしまうことになります。

上司と部下との信頼関係回復

正当な評価をされていないと感じる場合は、評価基準の明確化が必要になります。また個人に寄り添った形で長期的なキャリアを会社内で提示できているかも上司とコンセンサスを取ることで長期的な就業に繋がります。

>>失敗談から分かる上司と部下の信頼関係構築のコツとは

給与が低いなど条件面での不満の改善

退職理由には条件面での不満も多く見受けられます。
人事評価は正当に行われているか?転勤制度の見直しといった働く条件を整えることも離職率を低下させるためには必須です。特に確認されがちな条件は以下です。

・給与面
・就業時間や就業条件
・転勤制度
・評価制度やキャリアアップ制度
・福利厚生

ハラスメントの相談窓口の設置

コンプライアンス面で重要な役割を果たします。窓口は外部相談と内部相談のどちらかを企業特性によって選ぶことができます。

ハラスメントに関しては、2020年6月1日にパワハラ防止法が施行され、企業に対してパワハラ対策のための相談窓口設置が義務化されたのを皮切りに中小企業については2022年3月31日までは努力義務ですが、2022年4月1日には大企業と同様に義務化が適用されます。現在まだ設置していない企業は、セクシャルハラスメントやモラルハラスメントといったハラスメントが起きた際に通報する窓口を明確化しておきましょう。

厚生労働省 職場におけるハラスメント関係指針

まとめ:時代に沿った多様な働き方が重要

働く時間や場所、副業というさまざまな選択。テレワークやフレックス制度の導入は検討しているでしょうか。働き方改革により従業員がより自由に働くことができる権利が認められる社会の風潮があります。
時代の流れに沿った新たな制度を取り入れていくことで社員の満足度が上がり、定着に繋がります。