「会社を通じてつながる価値が生まれつつある」レジェンダが退職者との関係構築を強化して得たもの

人事・採用コンサルティング・アウトソーシングを展開するレジェンダ・コーポレーション(以下、レジェンダ)と、アルムナイ・リレーション特化型システム「Official-Alumni.com」を運営するハッカズークによるウェブセミナーが、7月28日に行われました。

登壇者はレジェンダの採用支援事業部部長・樋口新さんと、今年3月に同社に再入社した三宅康子さん、ハッカズーク代表の鈴木仁志の3名。

レジェンダがアルムナイとの関係構築に力を入れている理由や、三宅さんが再入社に至った経緯など、セミナーの一部をご紹介します!

レジェンダの採用支援事業部部長・樋口新さん(写真左)
今年3月に同社に再入社した三宅康子さん(写真中央)
株式会社ハッカズーク代表・鈴木仁志(写真右)

アルムナイとの関係構築に取り組んだ理由

ハッカズーク・鈴木:レジェンダはアルムナイ・リレーション特化型システム「Official-Alumni.com」を使ってアルムナイとコミュニケーションを取っています。アルムナイとの関係構築に力を入れようと思った理由についてお聞かせください。

レジェンダ・樋口:当社は人事業務のアウトソーシングを請け負っています。これはアウトソーシング事業の宿命でもありますが、サードパーティーとして人事業務を支援した経験を持って、次は当事者として人事業務をやりたいと考えるのは自然なこと。

実際に当社から転職をする人は、企業人事になるケースが多いです。つまり、退職者が先々のユーザーになる可能性が非常に高いのです。

「一緒に働いていた人が明日のお客さまになる」ことが珍しくない世界であり、そういう事例はこれまでに少なからずありました。それに対して、当社の代表もポジティブに捉えていましたね。

ハッカズーク・鈴木:元々退職後にもアルムナイとの関係性が続くカルチャーがあったのですね。

レジェンダ・樋口:そうですね。いくつか事例はあったので、そこを仕組みとしてちゃんと整えようということで、今は会社としてアルムナイとの関係構築に力を入れています。

ハッカズーク・鈴木: 最近では「終身雇用ではなくなることを考えれば、アルムナイと関係構築する方が合理的」と考える人も増えてきています。ただ、上の世代はまだまだ「辞めた人は裏切り者」という考えが根強いように感じますが、そういうのはどうやったら変わっていくと思いますか?

レジェンダ・樋口:会社の根幹、いわば“レジェンダスタンダード”を理解している人が会社にとってどれだけ有益か、上層部が理解することが一番だと思います。

例えば再入社した人が仕事の成果を上がれば、その情報は上層部にも伝わりますよね。だからこそ、再入社された方がもともと携わっていた仕事や現場に配属することを心がけています。

即リモートに対応できたのは、再入社だったからこそ

ハッカズーク・鈴木: 実際にレジェンダに再入社した三宅さんにお話を伺いたいと思います。まず、なぜ退職したのでしょう?

レジェンダ・三宅:一言で言うと、キャリアアップのためです。当時私はクライアント企業の人事領域の業務効率を上げるための取り組みをしていましたが、システムを使えばもっとセルフサービス化していけるのではないかと考えるようになりました。

そういうチャンスが外にありそうだと思って、転職をしたのが経緯です。不満があったというよりは、もっといろいろな可能性を追求したいというのがありましたね。

ハッカズーク・鈴木:そこから再入社に至った理由は?

レジェンダ・三宅:大きく2つあって、一つはレジェンダのことを率直に「いい会社だな」と思ったこと。システムを入れた後もつながっていくようなクライアントとの関係性の良さや、人事の会社ならではの社員の評価に対する熱い思いなどは、外に出たからこそ気付けた点です。

そしてもう一つは、「実はまだレジェンダでできることはあるのかも」と気付いたことです。これも自分の視野が広がったからこそ思い至ったことですね。

そう考えた頃には、転職時の目的は最低限クリアできていましたし、子どもへのフォローをするためにはもっと自分に余裕がないとダメだと思ったこともきっかけの一つです。そういうことがいろいろ重なって、レジェンダに戻ることを考えるようになりました。

ハッカズーク・鈴木: 再入社しようと思った時、もう一度頑張ろうというポジティブな気持ちと、どう思われるんだろうっていうネガティブな気持ちがあると思います。そこはどうでしたか?

レジェンダ・三宅:上司からのウェルカム感はありましたし、「あなたにこれをお願いしたら、こういうことができそうだと思って声をかけている」と言ってもらって、絶大なる信頼関係を感じました。

ただ、私のことを知らない人たちはどう思うんだろうっていう不安は確かにありましたね。

レジェンダ・樋口:再入社をしたメンバーは何人かいますが、やはり再入社した当初は身構えている部分もあると思います。2〜3年ブランクがあれば知らない人も増えますし、社内の様子も変わっていますから。こちらとしてはできる限り違和感なく仕事ができる状態をつくりたい思いがありますね。

ただ、今回三宅さんが戻ってきてくれたのは、コロナで出社する人が減った時期だったんですよ。三宅さんも即リモートでしたし、難しいタイミングだったなと思います。

レジェンダ・三宅:そうですね。でも信頼関係があったからこそ、入社して3日後にはフルリモートで問題なくやっていけたと思います。また、私が再入社後にあまりギャップを感じなかったのは、レジェンダがアルムナイに対して情報発信をしてくれていたおかげだと思っています。

ハッカズーク・鈴木: 再入社する・しないでいうと、ライフイベントなど本人の状況に寄るところが大きいですよね。だからこそつながりを持ち続けて、転職を考える時に最初に思い出してもらえる状態を作るのが重要なんだと思っています。

「レジェンダという会社を通してつながる」価値が生まれつつある

ハッカズーク・鈴木:退職する側に対して、「こうやって退職してくれるとその後つながりやすい」と思うことはありますか?

レジェンダ・樋口:できる限り本当のことを言ってほしいですね。退職交渉ではどうしても利害が一致せず、対立してしまう瞬間があると思います。だからこそ根幹の部分を明かさず、手続き的に退職交渉を済ませようと考える方もいると思いますが、そういうのは避けたいですね。

レジェンダ・三宅:お互いを理解し合ってから辞めるというのは大切だと思いますね。

ハッカズーク・鈴木:「Official-Alumni.com」を通じて情報発信ができるようになって、変わったことはありますか?

レジェンダ・樋口: 実利の話になってしまいますが、営業活動や採用支援のプロジェクトの中で、アルムナイとの協働体制を取ることが多くなりました。それによって「こういう商品を考えているんだけど、どう思う?」と意見をもらいやすくもなりました。

また、最近入社した人でも経歴を見てアルムナイに連絡が取れる体制が作れたのはよかったと思いますね。

ハッカズーク・鈴木: 人事や採用コンサル、HR テック運営企業など、レジェンダ・アルムナイはHR系を中心にいろいろなところで活躍していますもんね。

レジェンダ・樋口:そうですね。そういった人たちと「レジェンダという会社を通してつながれる」という価値が生まれつつあるのを感じています。

文/天野夏海