三菱UFJ信託銀行 人事部 竹山さん(右)
2024年、「ジャパン・アルムナイ・アワード(※1)」の個人部門で審査員特別賞(※2)を受賞された岡田さん。三菱UFJ信託銀行株式会社(以下、三菱UFJ信託銀行)のアルムナイ(退職者)として、アルムナイ同士のネットワーク形成や、企業とアルムナイの新たな関係構築に尽力されています。
今回は、三菱UFJ信託銀行アルムナイネットワークの運営に関わる三菱UFJ信託銀行 人事部 竹山さんも交えて、三菱UFJ信託銀行アルムナイネットワーク立ち上げの背景や岡田さんの取り組み、それぞれの今後の展望を伺いながら、企業とアルムナイの関係が生み出す新たな価値について迫ります。
※1 ジャパン・アルムナイ・アワード
「組織とアルムナイの新しい関係」をつくるために、先駆者として取り組む人や組織に焦点を当て、優れた取組みや模範となる関係性を評価、表彰します。
※2 審査員特別賞
過去在籍した企業・団体、アルムナイ同士と良好な関係を築き、価値に繋がる取り組みを推進し新たな関係構築に貢献された方を表彰します。2024年は2名のアルムナイが表彰されました。
参考:ジャパン・アルムナイ・アワード2024受賞組織・受賞者
※こちらは過去に三菱UFJ信託銀行に在籍していた方専用のネットワークです
受賞を受けて
ーー岡田さん、まずは受賞おめでとうございます。受賞を受けて、今どのように感じられていますか。
岡田さん:ありがとうございます。恥ずかしながら、受賞するまでこのような賞があることすら知らなかったのですが、大変うれしく思っています。
私はこれまでアルムナイネットワークは、退職者と企業の”両方”にメリットがあるものと考えて活動してきました。今回はその活動を評価いただけたということで、この受賞をきっかけに、さらにネットワークの活性化に貢献していきたいですね。
竹山さん:岡田さんには、2024年6月に開催した三菱UFJ銀行との合同アルムナイイベントにも登壇いただきました(イベントの様子はこちら)。当社のアルムナイ活動において、頭ひとつ、ふたつ抜けた活躍をしてくださっている存在です。なので、受賞にそれほど大きな驚きはありませんでした。
このような賞を受賞された方が当社から出たことを大変うれしく思いますし、当社のアルムナイ活動に弾みをつける良い出来事になったと感じています。
場づくりを通じて、アルムナイ同士の交流を促進
ーーそんな岡田さんが活動している三菱UFJ信託銀行のアルムナイネットワークですが、改めて立ち上げた背景について教えてください。
竹山さん:一言で言えば、「三菱UFJ信託銀行の多様性を高めるため」です。当社では、多様な価値観を持つ人材の採用や、多様なバックグラウンドを持つ社員が活躍できる職場づくりに取り組んでいます。その一環として2023年3月、アルムナイネットワークを立ち上げました。
社外で成長した方々と再び一緒に仕事をする機会が増えたり、再び会社に戻ってきてくれることは、会社にとって新たな活力となり、成長を促す重要な要素だと考えています。
実際にネットワークの運営を始めて驚いたのは、会社とアルムナイのつながりだけでなく、アルムナイ同士の交流ニーズが想像以上に高かったことです。面識がなくても、同じ会社で働いていたという共通点があるだけで、自然と親近感が生まれます。それが、新たなビジネス機会や可能性の創出にもつながっていく。
共通のバックグラウンドを持つ人同士がつながるネットワークが広がることは、ビジネスパーソンのコミュニケーションを豊かにし、日本のビジネス全体の活性化にも貢献するかもしれません。そういった観点からも、アルムナイネットワークの運営は、非常に意義のある取り組みだと感じています。
ーーそのなかで、 岡田さんは具体的にどのような活動をされてきたのでしょうか?
岡田さん: アルムナイ交流の場の企画を担当しました。
もともと私の周りにアルムナイの方が多く、「情報交換の機会がほしい」 という声をよく耳にしていました。そこで約1年半前、アルムナイ同士が集まる場を企画し、現役社員も交えて約50名が参加する会を開催しました。
当日は、会社の制度や取り組みについての質問が多く寄せられ、アルムナイの皆さんの関心の高さを実感しました。これを機に、定期的な交流の場を設けることになったんです。
特に印象に残っているのは、竹山さんも仰っていた銀行と信託銀行のアルムナイが一堂に会した銀信合同イベントです。開催前は「本当に成功するのだろうか」と不安もありましたが、共通の経験や価値観を持つ者同士、すぐに打ち解けて充実した時間を過ごすことができました。
竹山さん: 内部にいると業態の壁を感じがちですが、同じMUFGグループであることに変わりはありません。アルムナイの方々が、そうした垣根を超えてつながりを築けるのは、とても意義のあることだと思います。
外に出て気づいた三菱UFJ信託銀行での経験の尊さ
ーー三菱UFJ信託銀行時代の経験で、現在に活きていることはありますか?
岡田さん: たくさんありますが、特に糧になっているのは事務手続きやリスクチェックのルールです。在籍していた当時は正直面倒くさいと思うこともありましたが(笑)、いざ会社を離れてみるとその重要性を痛感しました。
今は自分で会社を経営しています。当然ですが、自分で作るまではルールがない状態なんですね。新しいことに取り組む際、どこにリスクがあるのか。社員に仕事を任せる際、どのような手順で進めるべきか。すべて自分で考え、決めていかなければなりません。
こうした状況に置かれて初めて、「手続きやリスクチェックのルールは、会社の長い歴史の中で培われたものであり、大きなミスを防ぐために設計されていたのだ」と、身をもって知ることができました。
今でこそこう話していますが、在籍当時は新規事業担当としてこれまでのルールを壊そうとしていた側だったので、「こんなルール意味ないですよ!」なんて言っていた時期もありましたが、今になって「あれは本当に大事だった」と痛感しています。
竹山さん: リスク管理部門の人が聞いたら、泣いて喜ぶかもしれませんね(笑)。
岡田さん: ほかにも、社内調整力は今の仕事でも大きく活きています。在籍時は面倒だと思うこともありましたが、各部署や上司・部下を巻き込みながら期待値等を調整する能力は、ビジネスパーソンとして非常に重要で普遍的なスキルだったんだなと、改めて感じています。
アルムナイネットワークで縁をつなぐ
ーー最後に、今後のアルムナイネットワークについて、それぞれの考えをお聞かせください。
竹山さん:当社は 毎年100名以上が退職されていることもあり、アルムナイはとても貴重な資本だと考えています。アルムナイの方々としっかりとつながりを持ち、チャンスがあれば再入社いただくことはもちろん、会社とのコラボレーションなど、さまざまな形で関係を築いていきたいと思っています。
また、アルムナイ同士のコミュニケーションも、より活性化させていきたいですね。興味関心が合う人たちが集まる小さなグループでの交流の場を作ることで、より深い対話が生まれるのではないかという仮説を持っています。これも今後、積極的に試していきたいと考えています。
岡田さん: アルムナイに限らず、ネットワーク運営で何より大切なのは「楽しさ」 だと思います。楽しい場であれば自然と続き、広がっていくものです。
そして私は、人生の幸福度を高めるのは「出会いの縁」 だと考えています。人生には多くの出会いと別れがありますが、何かのきっかけで再会し、「今、何してるの?」「それなら一緒にできそうだね」と新たなつながりが生まれることは、人生をより豊かにするものです。
そうした縁が重なり、双方がハッピーになれる場をつくる。そんな機会を提供できるネットワークにしていければと思います。
※こちらは過去に三菱UFJ信託銀行に在籍していた方専用のネットワークです
<プロフィール>
Trust株式会社 代表取締役社長
一般社団法人金融データ活用推進協会理事
岡田 拓郎さん
2016年、三菱UFJ信託銀行に入社。
金融の横の繋がりを創る、をミッションにTrust株式会社 代表取締役社長、
一般社団法金融データ活用推進協会理事を務める。
三菱UFJ信託銀行株式会社
人事部 次長 兼 ダイバーシティ推進室長
竹山 敦さん
2003年、三菱UFJ信託銀行に入社。
証券代行部や海外アセットマネジメントでの経験を経て、
2017年から約5年間英国で勤務。2022年に帰国後、人事部に所属。