
東洋エンジニアリング株式会社は、退職後もつながり続ける関係を目指し、2025年3月にアルムナイネットワークを立ち上げました。その取り組みの一環として、同年7月に現役社員とアルムナイが集う交流会イベントを開催。
当日は、昨年末に移転したばかりの新しいオフィスツアーや、事業の最新トピックス紹介を通じて会社の“いま”を共有しながら、懐かしい再会や新たな出会いが生まれる時間となりました。
本記事では、当日の様子とともに、東洋エンジニアリングが描く未来像、そしてアルムナイとの新たな関係性をご紹介します。
※こちらは過去に東洋エンジニアリングに在籍していた方専用のコミュニティです
アルムナイにとってホームのような存在でありたい
イベントの冒頭では、代表取締役社長・細井栄治さんがマイクを握り、参加者への感謝の言葉とともに、東洋エンジニアリングの現在とアルムナイネットワークへの思いを語りました。
「皆さんが新たな職場で得た知見や経験は、私たちにとって非常に貴重なものです。会社にない視点を持った方々と意見交換できる機会は、価値の向上にもつながると感じています」
そう語る細井さんは、2023年6月に代表取締役社長に就任。経営の安定化を最優先に掲げ、これまでのEPC(設計・調達・建設)ビジネスを強化しつつ、「ストック型」の継続収益型モデルへの転換を進めてきました。変化の必要性を実感しながらも、少しずつ手応えを感じていると、力強く語ります。

「これまでのEPCビジネスは一過性の側面が強かったですが、今後は、より持続的な収益が見込めるシステムや事業に挑戦していく必要があります」
こうした動きは、後の登壇で詳しく紹介された技術・組織面での改革と深く関わっています。細井さん自身も、「今夜は富永(CTO)からの説明を楽しみにしてほしい」と笑顔を見せながら、最後にアルムナイに向けてこんな言葉を贈りました。
「東洋エンジニアリングは、皆さんにとって“ホーム”のような存在でありたいと思っています。ふらっと遊びに来てもらえる場所であり、皆さんの経験や視点を、ぜひ私たちにシェアしてもらえたら嬉しいです」
アルムナイを“共に未来を創るつくるパートナー”として、アルムナイの存在に大きな期待を寄せる細井さんの姿勢が、会場全体に温かな空気をもたらしました。
イノベーションを生み出すのは”人とのつながり”

続いて登壇したのは、常務執行役員CTOの富永賢一さん。技術と経営の両面を担う立場から、東洋エンジニアリングの変化と挑戦について語りました。
富永さんは、近年の変革を「グリーン戦略」と「ブルー戦略」という二軸で説明。既存ビジネスの強化と並行して、新たな領域への挑戦を進めていると語ります。
「特に、外部との連携・共創に力を入れており、例えば、大学やスタートアップとの共同開発、国内外の企業との技術連携など、かつて想定されなかったパートナーシップが次々と生まれています」
こうした取り組みを支えているのは“人のつながり”であり、組織の内外で自由に発想し挑戦できる風土が欠かせないと強調されました。上下の階層を越えて「やってみたい」という声をあげやすい社内環境も整いつつあり、ネットワークを活かした活動が広がっています。
富永さんは「イノベーションは、既存の要素の新しい組み合わせによって生まれる」という言葉を引用しながら、技術だけでなく人と人のつながりこそが新たな価値創造の源泉であると語りました。その文脈で、アルムナイとの関係性も重要な位置づけを持ちます。異なる業界や立場で培った経験やネットワークは、まさに新しい価値を生み出す“再接続”の源だからです。
富永さんのプレゼンは、東洋エンジニアリングが「技術と人を融合させた共創型の企業」へと進化していく姿を強く印象づけるものでした。
新規事業創出プログラム「WILL計画」第一弾はトマト事業

富永さんのプレゼンに続いて登壇したのは、入社4年目の宮田さん。エンジニアとしての経験や起業挑戦を経て東洋エンジニアリングに入社し、現在は新規事業創出プログラム「WILL計画」における第1号案件を推進しています。
WILL計画は、社内に眠る起業マインドや挑戦意欲を持つ人材を掘り起こし、事業創出を通じて育成・活躍につなげることを目的としたプログラムです。社員が自らのアイデアをもとに、ビジネスモデルの検証から実証実験、事業計画の策定、そして実行までを一貫して担うのが特徴。既存の事業領域に縛られず、「本当にやりたいこと」を起点にテーマを設定できる点が大きな魅力です。
その第1号案件として採択されたのが、宮田さんが挑むトマト農業事業。拠点は沖縄県糸満市に置かれ、ビニールハウスでの施設栽培に環境制御技術や給水の自動化といったスマート農業の仕組みを導入。効率的で高品質なトマト栽培をめざし、ブランド名「ぽかぽかトマト」として展開しています。寒暖差の少ない沖縄の気候を活かし、年間を通じて安定生産が可能な体制を整備。設計から設備導入、栽培、販売までを一気通貫で担い、農業にとどまらずブランディングや販路開拓にも挑戦しています。
当日会場では、空輸した「ぽかぽかトマト」が参加者にふるまわれました。「新規事業は、成功するかどうかよりも、挑戦から何を学ぶかが大切です」。宮田さんの言葉には、かつての失敗を経てなお挑み続けるリアリティがにじみ出ています。現在は第2号案件の公募も進行中で、農業に限らず多様なテーマが寄せられているとのこと。
「トマトもWILL計画も、まだ道半ばです。ただ、自分のやりたいことを本気で応援してくれる場所がここにはある」。宮田さんの挑戦は、現役社員だけでなく、かつて東洋を巣立ったアルムナイにも、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるようでした。

ネットワークが育む未来
プレゼン終了後は歓談の時間が設けられ、アルムナイと現役社員が部門や年代を越えて交流を深めました。「久しぶり」「はじめまして」といった声が飛び交い、旧交を温める姿と新たな出会いが交錯する会場には、活気と温かさが同時に広がっていました。
今回のイベントを通じて感じたのは、単なる懐かしさを超えた、未来志向のネットワークの可能性です。参加者からは、自身が携わるプロジェクトや取り組みを紹介する声も多く聞かれ、今後どのような共創が生まれるのか期待が高まりました。
開催後のアンケートには、「元社員と現役社員が気軽に話せる場は貴重」「次は自分のプロジェクトも紹介したい」といった声が寄せられ、当日の空気感を裏づけています。
東洋エンジニアリングのアルムナイネットワークは、現役と元社員をつなぐ架け橋として、さらに新しい価値を育んでいくことが期待されます。
※こちらは過去に東洋エンジニアリングに在籍していた方専用のコミュニティです