さまざまな企業のアルムナイをその想いとともにご紹介していく企画「アルムナイ・アルバム(ALUbum)」。今回は、オランダに本拠を置く、人材サービスにおいて世界最大級のランスタッド株式会社アルムナイの村山理紗さんにご登場いただきました。
退職した私とランスタッドをつなぐ3つのポイント
- ランスタッドへの感謝:戦略人事のあり方を学び、大きく視座を引き上げていただいたこと
- 退職後も活きるランスタッドで得たもの:採用戦略の立案から実行までの圧倒的な実務経験
- 退職後の関係性:気心の知れた安心感のある、親戚のような関係
ランスタッド(2016年〜2018年)への入社経緯
話は大学時代の就職活動に遡るのですが、当時から私の大義は変わらず「誰もが生きがいを持って輝ける社会を創る」です。その原体験は、父との関わりからきています。私の父はプロドラマーで、幼い頃はTVやコンサートでいきいきと働く父の姿を見ていました。しかし、バックバンドのカラオケ化が進み、TVなどの仕事が減っていく中で新しい活路を見いだせず、そのまま他界した姿を見て、「働くということが、こんなに人の人生に影響を与えるのか」と痛感したのです。
そんな思いがあり、新卒では、当時の理念だった「はたらくを楽しもう」に共感し、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社を決めました。インテリジェンスでは3年ほど中途採用支援に従事し、多くの方の人生の決断にかかわり、大きなやりがいを感じていました。
一方で、転職支援をしているうちに「点」ではなく、もっと人や事業の成長を「線」で支援したいと思うようになりました。また、主に担当していた消費財メーカー特有のブランドビジネスに興味を持ち、いつか自分もそのようなビジネスをしている会社で、人事として貢献したいと思うようになったのです。
そんな時に、知人に誘われてまずは人事としての経験を積むチャンスをいただき、転職を決意しました。それが、ランスタッドでした。
ランスタッド時代に携わった仕事
ランスタッドでは、HR部門の責任者である志水静香さんのもとで、戦略人事のあり方を学び、大きく視座を引き上げていただきました。この時の経験で、「人事は経営のパートナーとして会社を変えていける」ことを体感しました。
具体的には、「活躍人材の採用(Attraction)」「人材開発(Development)」「正当な報酬(Reward)」の3軸から社員のエンゲージメントを上げ、より良い会社を創っていくことをミッションに、HRが中心となって大改革を行いました。私はタレントアトラクションチームで、年間400名の新卒・中途採用を戦略立案から実行まで行い、圧倒的な実務経験を積めました。
人事はオペレーショナルな部門と思われがちですが、実は一番クリエイティブな仕事だと思っています。ランスタッドでは、常に新しい発想をもった採用戦略の立案を求められました。そこで、従来の求人広告だけではなく、ダイレクトソーシングやリファラルなど新しい手法を提案し取り入れていきました。
また、社員一人ひとりに自分のキャリアオーナーシップを持ってほしいと思い、いつでも誰でも手を挙げられる社内公募制度を導入しました。それまで会社都合の異動しかなかったのですが、この制度を利用して年間100名弱が主体的に新しい業務にチャレンジする成果につながりました。
ランスタッドでは10カ国以上の社員がいる環境だったので、バックグラウンドの違う人と協業していく難しさを感じながらも、多様な価値観を相互理解し尊重する、貴重な経験になりました。
ランスタッドを退職した経緯
人事が中心となって会社を変革し、強い会社を創っていく経験を積んだ先に、元々目指していたブランドビジネスに身を置きたい強い想いがありました。そんな時に、オルビスからご縁をいただいたのです。
オルビスは2017年に創業30周年を迎え、今後の成長を見据え通販ビジネスからブランドビジネスに事業ドメインの舵をきったところでした。40歳のベンチャー出身の代表のもと、売上500億の規模の企業が本気で変革をしていくというダイナミックなフェーズに参画できるのは滅多にないチャンスだと思い、入社を決めました。
ランスタッドの退職にあたっては、チームメンバーが心から私の新しいキャリアを応援してくれたのが、とても印象に残っています。最終出社日には、在籍時にかかわった100名近くの方々からの寄せ書きをいただき、本当に周りに恵まれた環境だったと実感しました。
現在の仕事/取り組み
オルビスで取り組んでいることは大きく2つです。
1つ目は、採用チームリーダーとして、今後激化してくる採用市場を想定し、持続的に優秀な人材を採用すべく、採用活動の抜本的な改革を行っています。経営戦略でも人材採用は最重要項目とされており、これからのオルビスに必要な人材の獲得に向けた戦略立案から遂行までを一任されています。これまでの受身型採用から、積極的に活躍人材へアプローチしていくという新たな攻めの採用に奮闘しています。
2つ目は、組織活性です。オルビスが創りたい世界観である「ここちを美しく」を実現するには、多様な個性を尊重し、個の可能性を最大限発揮する必要があると考えています。これを自組織でも体現するため、社員一人ひとりのちがいを強みとして捉え、個性を引き出せる風土の思想を創っています。
※ブランドコンセプトについて詳しくはこちらもご覧ください!
また、本業以外では、完全紹介制コミュニティの熱会(あつかい)に参加しており、今年からより主体的に関わっています。熱会は「立場によらず、信頼をベースに繋がり、参加者の可能性を広げる」をミッションに、現在900名超の情熱ある方が参画しています。そこで私はコアメンバーの一人として、自分の看板で生きていこうとチャレンジする方々を、教育事業などを通じて支援しています。
他にも、15年以上続けている茶道の活動や、家庭との両立に日々奮闘しています!
古巣とのリレーション/アルムナイ同士のネットワーク
パーソルキャリア、ランスタッドの上司や同僚とは、今でも定期的に集まっています。現在も同社にいる方もいれば、様々なフィールドで新たな挑戦をしている方もいます。一緒に頑張っていた仲間が志を持ってそれぞれの場所で活躍している姿に、いつも大きな刺激を受けています!アルムナイが、新たな仕事のパートナーになることも。
気心の知れた安心感があり、お互いの活躍を応援し、助け合える親戚のような関係だなぁと思います。
古巣へのメッセージ
「どの会社を選んでも、決めたからには覚悟を持って、選択を正解にするのは自分」
これは就活中にある人事の方から言われたことです。
目の前の仕事に誠実に、全力で向き合っていれば、どんな仕事でも面白くなり、さらに大きなチャンスが舞い込んで来ます。その時に自分の人生の大義を持って、チャンスを見極め飛び込む勇気が、自分をさらに成長させていくのだと思います。
今、素晴らしい理念を持つ会社で、周りのサポートを受けながら、とても楽しく働いています!日々学びばかりの最高の環境にいられるのも、これまでの2社の経験があったからと確信しています。
パーソルキャリア、ランスタッドでの経験は、私のキャリアの基盤となった財産です。お世話になった方々には、心から感謝を申し上げます。
編集後記
自身のキャリアを会社任せにせず、主体的かつ能動的にキャリアを切り拓いていく村山さん。
ランスタッドに入社をする前から「ブランドビジネスに人事として貢献したい」という想いがあり、現在はオルビスの採用チームリーダーとして活躍されています。
ある種、ランスタッドへの入社は「退職することが前提」だったともいえるかもしれませんが、在籍時には実績を出すことはもちろん、積極的に新しい施策を提案・導入するなど活躍されています。やはり、結果として退職することになったとしても、目指すビジョンを持ち、自身のキャリアに対し主体的な個人は、在籍中に企業の成長に大きく貢献するのですね。
ランスタッドのアルムナイとなってからも、自身の想いを実現しキラキラと働く村山さんの姿は、現社員にとっても刺激となっているに違いないと感じました。(アルムナビ編集部・築山 芙弓)