退職者の存在が入社の理由に | 元アクセンチュアが思う「企業がアルムナイネットワークを持つ利点」

アルムナイ(退職者)に関する取り組みが進んでいる企業といえば、外資系コンサルティングファーム。マッキンゼー、PwC、EY、KPMG、デロイト トーマツ、アクセンチュアなど、大手外資系コンサルティングファームのほとんどがアルムナイネットワークを持っています。

>>そもそもアルムナイとは

企業にとって、アルムナイネットワークを持つことの何がメリットになるのでしょう? アクセンチュア・アルムナイの2人が感じている利点から、その答えを探りました!

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山本洋大さん/写真左
神戸大学経済学部卒業後、2016年アクセンチュア株式会社に入社。システム統合プロジェクトや、官公庁の業務デジタルトランスフォーメーション推進などを担当。2019年同社を退職。山本さんの『ALUbum』はこちら

實重 遊さん/写真右
神戸大学経営学部卒業後、シンガポールにてインターンとして日本企業のシンガポール進出の支援に携わる。2016年、アクセンチュア株式会社に入社し人事コンサルティングに従事。2020年同社を退職。實重さんの『ALUbum』はこちら

「アクセンチュア・アルムナイの活躍」就職先を選ぶ決め手

——アクセンチュアといえば、2020年の東大生・京大生の就職人気企業ランキングで2位に位置するなど、優秀な学生から人気の企業です。お二人もファーストキャリアにアクセンチュアを選んだわけですが、その理由にはアルムナイの存在も影響していたと聞きました。

山本:そうですね。「ビジネスパーソンとして成長できるフィールドか」「社会的な影響力がある仕事ができるか」という2つの軸で就職活動をしていたのですが、それを満たすと判断する材料となったのが、アクセンチュアアルムナイの存在でした。

——というと?

山本:活躍している起業家や社長の経歴を調べた結果、アクセンチュア出身者が多くいることを知り、興味を持ちました。アクセンチュアには、起業家や社長を輩出できるだけの挑戦する文化や成長するフィールドがあるのかもしれない。そう思えたことが、僕にとっては非常に魅力的でした。

實重:僕も山本と似ていて、安定を求めるのではなく、ビジネスパーソンとして成長し、挑戦を重ねながら活躍できる人になりたいと思っていました。そんな学生にとって「アルムナイが活躍していること」は、企業の魅力を測るバロメーターの役割を担っているのだと感じます。

——なるほど。現役社員の話だけでなく、「退職後に元社員がどんなキャリアを歩んでいるのか」も就職先を決める上で重要なポイントだったんですね。

實重:他にも「どんな人材を求めているのか」をアクセンチュアの企業説明会やOB訪問で聞いたときに「常に次のステージを見据え、自らの開拓に貪欲である」という言葉が返ってきたのが印象に残っています。

他の企業では、あくまで自社で活躍することを前提とした人材像を話す人が多い中、採用の段階で次のステージを見据えた人を求めているのが衝撃的で。同時に、アクセンチュアアルムナイが社会で活躍していることにも納得がいきました。

自分と同じように成長や挑戦を求めている人間が集まっていて、そんな環境で切磋琢磨できる。そう思えたことで入社したい気持ちが強くなりました。

山本:僕は他の企業からも内定はいただいていましたが、内定承諾前の懇親会での社長の言葉が入社の決め手になりました。「アクセンチュアを自己実現のプラットフォームとして使ってほしい」「アクセンチュアを踏み台にして社会で活躍してほしい」といった内容で、こんなに社員の挑戦の後押しをしてくれる会社は他にないなと。

今思えば、コンサルティングファームは社員の成長が会社の成長に直結しますし、アルムナイも当たり前の存在。アクセンチュアにとっては当然とも言える考え方なのですが、当時は日系大手企業の話を多く聞いていたので、この社長の言葉に本当に衝撃を受けたのを覚えています。

アルムナイネットワークでのつながりをきっかけに出戻る人も

山本:中途採用に関しても、アルムナイをアクセンチュアはうまく使っている印象です。同期の中に入社後1年くらいで辞めてしまった人がいたんですが、アルムナイネットワークでつながりを持っていたことがきっかけになって、その後再びアクセンチュアに戻ってきたんですよ。

彼はアクセンチュアのカルチャーを気に入って入社したものの、業務内容がやりたいことと一致しなかったことを理由に一度は退職したのですが、他社で働いたことでアクセンチュアの良さを再認識したそうです。

その後、アクセンチュアのアルムナイネットワークで希望と一致するポジションの募集を見つけ、応募に至ったと聞きました。

——そういった出戻り入社はよくあることなんですか?

實重:そうですね、多かったと思います。「カルチャーは好きだけど業務内容が希望に合わない」というケース以外にも、単純に隣の芝が青く見えて転職をすることってあると思うんですよ。その結果、「実は元いた会社がすごく良かったんだな」と気付くこともある。その状態で元いた会社に戻ることができれば、より納得のいくかたちで働くことができますよね。

会社としても、アルムナイネットワークでアルムナイとの関係を持ち続けることが中途採用につながれば、低い採用コストで即戦力人材が採用できます。過去一緒に働いていた人なので、入社後のギャップも起こりにくい。双方にとってメリットは大きいと思います。

アルムナイになって実感する、アルムナイ・ネットワークの魅力

——お二人ともアクセンチュアを退職し、今は「アクセンチュア・アルムナイ」になりました。アルムナイネットワークに属する当事者として、どんな魅力を感じていますか?

山本:単純に、アルムナイネットワークがあること自体がうれしいです。アクセンチュアのアルムナイネットワークのログインページには「Once Accenture, Always Accenture」という言葉があって。辞めた今もなお、アクセンチュアの一員として認めてくれている。「いい会社だな」といつも思います。

實重:実際、辞めると直接伝えた上司がいる飲み会に普通に呼んでくれるんです。しかも全く気まずい思いをすることなく、情報交換しながら楽しく過ごせる。アルムナイ文化が根付いていることが大きいのだろうなと思います。

山本:そういう交流があるからこそ、アクセンチュアアルムナイ同士のつながりから一緒に仕事をする機会もあちこちで生まれています。僕自身、アクセンチュア・アルムナイと今一緒に仕事をしていますが、お互いに働き方や仕事の進め方が想像できて非常にスムーズ。何より、かつて同じアクセンチュアで働いていた人と、違うフィールドで再び一緒に仕事ができるのはすごくうれしいことだと感じています。

實重:こういう意識をアルムナイが持っていることは、アクセンチュアにとっても採用ブランドを高めることにつながっているのではないでしょうか。

例えば『Openwork』などの転職の口コミサイトへのポジティブな書き込みが増える効果があると思います。辞めてからも会社がつながりを持とうとし続けてくれていることによって僕も山本も退職しても変わらず愛社精神を持ち続けていますし、実際に二人ともポジティブな口コミを書きました。

山本:アルムナイネットワークを通じてアクセンチュアの情報がアップデートされ続けているので、昔は課題だと感じていたことも、今は改善されていることがわかる。最新情報を踏まえた上で口コミを書いてもらえるのは、会社側にとってプラスですよね。

友人や後輩から転職や就職活動の相談を受ける時も、「アクセンチュアは会社を辞めた後もずっと社員を大切にしてくれる会社だよ」とオススメしています。

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