GSKグループ(以下、GSK)は2024年8月にアルムナイネットワークを立ち上げました。アルムナイと継続的な関係性を持つことを重要視し、そうしたつながりを再入社やブランディング、社外コミュニケーションなど多様な価値創出につなげることを目指しています。
これまでも多様な人財を受け入れてきたGSKでは、アルムナイネットワークを立ち上げる前から、社員個人間のつながりをきっかけにして再入社した方が複数名いました。そんな“元GSKアルムナイ”3名をお招きしてお話を伺いました。
今回お話を伺ったのは、MRとして活躍した後、がん領域での専門性を高めるために一度はGSKを離れたSさん。SさんはGSK退職後に外資系・日系の大手製薬メーカー2社での経験を経て、再びGSKへ戻ってきました。そんな退職から再入社に至るまでの経緯を掘り下げます。
※過去にグラクソ・スミスクライン株式会社及びヴィーブヘルスケア株式会社に在籍していた方専用のネットワークです。
製薬業界未経験からの挑戦
ーーGSKに入社した経緯をお聞かせください。
実は新卒で入社した会社は製薬業界ではありませんでした。学生時代からずっと打ち込んでいたテニスを社会人実業団でも続けたいという理由から選んだ会社でしたが、入社後すぐにテニス部が廃部してしまいました。当時はショックでしたが、キャリアを考える良いきっかけになり、「将来も必要とされる」業界で働きたいという想いから、医療や製薬業界に興味を持つようになりました。
そのような背景から業界未経験でも学べる環境に行きたいと転職活動している中で出会ったのが、GSKでした。教育体制も整っていて、なおかつ面接時にお会いする社員の皆さんの人柄も自分に合っていたので、自然とGSKを志望するようになりました。
ーーGSKに入社してからはどのような業務を担当されていたのでしょうか。
最初は千葉エリアに配属され、MR(医薬情報担当者)としてうつ病などの疾患に対応する中枢神経領域の薬剤を扱っていました。その後に呼吸器領域へ異動し、エリアの中ではかなり規模の大きな病院を担当するなど、貴重な経験もさせてもらいました。
製薬未経験での入社だったので不安なこともたくさんありましたが、医師に最新の薬剤情報を届けることで適切な治療につなげるという業務内容はやりがいも大きく、かなり充実した日々を過ごせていました。一方で、当時は全国的にMRの人数が増えていた時期であり、自分の市場価値やキャリアを見つめ直すようになっていきました。
ーーキャリア観にどのような変化があったのでしょうか。
オンコロジー*¹領域の道に進みたいと考えるようになりました。がんは日本人の死亡原因の上位を占めており*²、現在は新薬の研究開発もかなり進んでいます。しかし、それだけに専門性が非常に高いです。MRとしての市場価値を高めるには専門性を高める必要性を感じていたこと、そして多くの患者さんの命を救えるやりがいのある領域だということから、オンコロジーに強みを持つMRを目指そうと考えました。
しかし、当時のGSKはオンコロジー領域への強化については会社として検討している時期で、自分自身が希望するオンコロジー領域ではキャリアを拡げることができませんでした。GSKでの働き方や周囲の環境に不満は一切ありませんでしたが、望むキャリアを歩むため転職することを決意しました。
*¹ オンコロジー:がんを主体に腫瘍の原因や治療などを研究する学問
*² 厚生労働省,令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況,
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/index.html#
新たに得たがん治療領域での専門性とマネジメント経験
ーー転職後のキャリアについてお聞かせください。
GSK退職後、最初に転職したのは外資系製薬企業です。希望していたオンコロジー領域の中でも、肺がんや大腸がんといった固形がんを対象とした製品を担当しました。
オンコロジー領域は、医師と1対1で深く対話することが求められる分野です。がんは患者さん一人ひとりの症状が特に異なります。それに伴い治療方針も異なり、現場のニーズに対する理解や知識の深さが必要でした。自分の仕事が患者さんのがん治療の状況を左右するという緊張感の中、取り組む仕事には大きなやりがいがありました。
ーーその後は、どのようなキャリアを歩まれたのですか?
日系の大手製薬会社に転職して、多発性骨髄腫という血液のがんを対象にした製品を担当しました。血液がんは固形がんに比べて進行や反応が複雑なため、さらに高い専門性が求められます。製品知識だけでなく、疾患全体に対する理解が必要になったことで、医師とのディスカッションの密度はより一層深まり、自分の視野が広がっていくのを実感しました。
その後は甲信越エリアのマネージャーに着任しました。メンバー育成や目標管理、他部署との連携などの新しい業務を通じて、自分が現場で感じてきた課題を組織としてどう改善するかを考える毎日でした。マネジメントは初めての挑戦でしたが、チーム全体で成果を出すという視点を学べたことは、貴重な経験だったと感じています。
ーー現場から管理職に移ったことで、働き方に変化はありましたか?
大きく変わりました。メンバーの時は自分の担当施設に集中していればよかったのですが、マネージャーになると部下の育成、予算管理、エリア全体の戦略立案など、求められる役割が多岐に渡ります。正直、仕事の量は倍以上になり、自分のやりたい仕事の時間がなかなか取れないことに苦しんだ時期もありました。この時期の葛藤が「自分が本当にやりたいことは何だろう」と立ち止まって考えるきっかけになりました。
再びGSKへ。外に出たからこそわかるGSKの良さ
ーーGSKへの再入社を意識するようになったきっかけは何だったのでしょうか。
GSK時代の上司とは定期的に連絡を取っていました。軽い雑談の中で「最近、GSKもオンコロジーに再注力している」という話を聞いたんです。自分がずっと追いかけてきた領域にGSKが再び本気で取り組もうとしていると知ってワクワクしました。当時はマネジメント業務に専念していましたが、MRとして現場の第一線にいるのが好きなタイプだと自覚しており、次のキャリアを考えているそのタイミングでの雑談をきっかけに、再入社を意識するようになりました。正直、「GSKへ戻る」という選択肢は、考えたことが無かったです。しかし、GSK退職後に積み上げたオンコロジーの経験やマネジメント経験を活かして、1回目の在籍時よりも活躍できると思い、GSKへの再入社を考えるようになりました。そこからは当時の上司と定期的に情報交換をして、希望するポジションの募集が出たタイミングで応募しました。
ーー再入社にあたり、不安なことはありましたか?
「10年のブランクを経て再入社した」立場を社内からどのように見られるのか不安はありました。しかし、いざ戻ってみると、社内の空気は良い意味で変わっておらず、かつての同僚が温かく迎え入れてくれました。気心知れた仲間とまた働けることの安心感を感じられるのは再入社ならではだと思います。
ーー再入社して、どのような業務に取り組んでいるのでしょうか。
現在はハイボリュームセンターと呼ばれる年間の手術件数や治療件数が多い医療機関を中心に担当しています。これまで培った経験を活かして、オンコロジー領域の最前線で医師の皆さまとお話できていることが嬉しいです。同じGSKでも1回目の在籍時とは異なる「オンコロジーの知見を持っている人財」として周囲から認知していただけているのは、不思議な感覚です。
ーー再入社したからこそわかる変わらないものは何かありますか?
GSKは「人」が強いということです。社員同士が助け合う風土が自然と根付いています。これは外を経験してみないとわからないことでした。私自身、再入社してから周囲の人間にかなり助けられました。GSKに再入社した社員が一定数いるのは、そういった助け合う風土が根付いているからだと思います。
ーー最後に、GSKへの再入社を検討しているアルムナイの方々に向けて、メッセージをお願いします。
正直、私はGSKに再入社することに対してどこか後ろめたさがありました。しかし、選考ではGSK退職後の経験をしっかり評価してくれて、再入社してからも職場の皆さんは自然に受け入れてくれました。GSKを退職してからの学びを再びGSKで活かすという選択は、決して消極的な選択ではなく、むしろ前向きなキャリアを築く良い選択だと思います。
もしGSKへの再入社を悩んでいる方がいたら、アルムナイネットワークを通して人事に相談することも出来ますし、よりカジュアルに話をしてみたいようでしたら、今も在籍している元同僚にぜひ相談してみることもおすすめします。私もふとした雑談がきっかけでGSKに戻ることになりました。もしご縁があれば、また一緒にGSKで働きましょう。
※過去にグラクソ・スミスクライン株式会社及びヴィーブヘルスケア株式会社に在籍していた方専用のネットワークです。