「フィードバックで社内を良くする」日本政策金融公庫 中小企業事業本部がアルムナイネットワークで目指すこととは

2024年1月、株式会社日本政策金融公庫(以下、日本公庫) 中小企業事業本部がアルムナイネットワークを立ち上げました。

アルムナイと退職後も関係を構築する取り組みが広がっている中、同社は政策金融機関の中では先駆け的に本格的なアルムナイネットワークを立ち上げました。その背景について、アルムナイ事務局を務める中小企業事業本部 大塚さん、石垣さん、渡邊さん、中西さんにお話しを伺いました。

※過去、日本政策金融公庫に在籍していた方専用のネットワークです

アルムナイの取り組みは社員のキャリアに寄り添う人事施策

ーーアルムナイネットワークを立ち上げるに至ったきっかけを教えてください。

人材の流動性が高まり、採用市場でも人材の獲得競争が激化する中で、日本公庫においても人材に対する考え方を改め、より一人一人のキャリアに寄り添っていかなければと考えていました。既存の人事制度の見直しを図りながら、新しい人事施策のリサーチをしている中で、同じ金融業界でも取り組みが始まっているアルムナイネットワークのことを知りました。

退職も含めてキャリアを尊重し、その後もつながり続けるアルムナイの取り組みは、社員のキャリアに寄り添う人事施策だと思い、検討が始まりました。

ーーアルムナイネットワーク構築にあたってハードルはありましたか。

アルムナイネットワークに取り組むこと自体は、会社としてもスムーズに意思決定しました。社内の一部から、「アルムナイネットワークに取り組むことで退職が助長されるのではないか」という懸念の声もありましたが、既にアルムナイに取り組んでいる他社様の事例からそのような実績は無いということを知り、不安はクリアになりました。

ーー他社事例からアルムナイの取り組みを知ることで懸念が解消されていったのですね。

そうですね。また、アルムナイネットワークの構築に向けて準備を進めている間にも再採用が1名生まれたことも懸念の払拭につながりました。日本公庫は育児や介護などの事情で退職した方を対象としたキャリアカムバック制度という再採用の制度を設けていたのですが、正直なところあまり使われていませんでした。しかし、個人的なつながりから再採用が生まれたことで、カジュアルにつながれて、双方向にコミュニケーションや情報交換ができるネットワークを築くべきだと検討が進みました。

アルムナイからフィードバックを受ける

ーー今後、アルムナイネットワークを通じてどのような取り組みをしていきたいですか。

アルムナイから見た日本公庫についてのフィードバックを受ける機会を増やしたいと思っています。外の会社も知っているアルムナイと交流会を開催した際に、私たちが当たり前だと思っているところに公庫の魅力や改善すべき点があることなど新しい気付きをもたらしてくれました。そのため、日本公庫がより良くなるために他の会社にはない良いところも改善すべきところも、アルムナイの目線でフィードバックしていただきたいと思っています。

ーーアルムナイとのコミュニケーションを重要視されているのですね。

根底には社員が退職しても日本公庫に対してポジティブな気持ちやシンパシーを持ち続けてもらいたいという想いがあります。政策金融に矜恃をもって前向きに取り組んでいる姿だけではなく、アルムナイからのフィードバックを受けて日本公庫の制度や文化を改善していくことで社員が働きやすくなり、そうして改善された姿をアルムナイにも知ってもらうことで、退職しても日本公庫のファンで居続けてもらう。さらには、社会に対して日本公庫に関する前向きな情報発信を行ってもらえる。そのような好循環を生み出したいと考えています。

ーー実際にアルムナイの皆さんにアルムナイネットワークを案内してみて、いかがでしたか。

初めての取り組みということもあり、登録いただけるか不安だったのですが「招待してくれてありがとう!」と、アルムナイネットワーク設立を喜ぶ声が多く、アルムナイにとっても日本公庫やアルムナイとつながることにニーズがあると感じましたね。

また、アルムナイの中には早くもアルムナイネットワークをきっかけにオフラインで再会を果たしたり、ネットワーク内でアルムナイが案内したセミナーに別のアルムナイが参加されたりと、さまざまな交流も生まれています。

大きく変化している日本公庫を発信したい

ーーこの先取り組みたいことについて教えてください。

現在は定期的に、日本公庫の事業に関するニュースを配信しています。今後もスタートアップ支援や海外展開支援など日本公庫の取り組みをタイムリーにお届けしたいと思います。

その他にも、職員へのインタビューや最新の職場事情、変化している社内制度についてもお届けしたいと思っています。特に最近は人事制度が大きく変化しています。本店部室や外部派遣先への社内公募制度の開始、教育制度で言えば語学学校や大学院への通学支援や指定通信教育の受講料100%補助、働き方で言えば在宅勤務の推進や育児や介護事情に併せたフレックスや時短勤務の対象者拡充、お客さまとオンライン上で資料のやりとり等が可能なサービス(顧客ポータル、日本公庫ダイレクトや電子契約サービス)の導入など、ここ数年で大幅に変化した「日本公庫の今」を伝えていきたいです。

ーー退職して年月が経っているアルムナイは特に興味がある内容ですね。

他にも、オフラインでの交流機会を作りたいと思っています。アルムナイ同士が新しいつながりを作るのにオンライン上のコミュニケーションだとやや難易度が高いと感じる方もいるのではないでしょうか。そのため、オフラインでイベントを開催して新たなつながりを作り、開催後にはオンライン上でのコミュニケーションも活性化されるような好循環が生まれたら嬉しいです。

ーー今後どのようなアルムナイネットワークを築いていきたいですか。

アルムナイの皆さんが気軽に発信、交流し合えるネットワークを築いていきたいです。アルムナイの近況やご活躍は他のアルムナイとしても私たちとしても知りたいことです。堅くならずにカジュアルに発信できる環境づくりに取り組みたいと思っています。そして、アルムナイ同士の皆さんにとってもビジネスやキャリア形成などにおける新たな発見をする機会となってほしいと考えています。

あとは、やはりアルムナイから日本公庫に対してフィードバックをもらえるような関係性を築いていきたいです。「転職してから日本公庫で学んだことが活きた」、「外に出てみて分かった日本公庫の良いところや改善すべき点」などアルムナイの視点からは学べるところが数多くあります。アルムナイの声に耳を傾け、社内を見つめ直す。アルムナイと良い関係性を築くことで、日本公庫をより良くしていきたいと考えています。

ーー最後に、アルムナイへのメッセージをお願いします。

「政策金融の担い手として中小企業を支援したい」といった同じ志のもと一度は共に日本公庫で働いたもの同士が再会して、お互いの今にとって価値のあるつながりを作っていければと思っています。これからより大きなコミュニティにしていきたいと考えているので、是非お気軽にご参加ください!

※過去、日本政策金融公庫に在籍していた方専用のネットワークです