2024年8月、GSKグループがアルムナイネットワークを立ち上げました。
これまでも多様な人財を受け入れてきた同社。近年は再入社を希望するアルムナイも増えており、アルムナイネットワークの設立は「自然な流れだった」といえます。今後どのようなネットワークを目指すのか、GSKグループ(以下:GSK)が考える組織とアルムナイとの関係とは。人財担当取締役の隈部めぐみさんにお話を伺いました。
※過去にグラクソ・スミスクライン株式会社及びヴィーブヘルスケア株式会社 在籍していた方専用のネットワークです。
アルムナイネットワーク設立は自然な流れだった
ーまずはネットワークを立ち上げた背景を教えてください。
隈部:GSKは約2年前から「バイオファーマ」に特化し、ワクチン、スペシャリティ医薬品、ジェネラル医薬品の製品ポートフォリオを軸として、人々の健康から病気の予防・治療までトータルでソリューションを提案できるような企業にシフトしています。また、疾患領域も感染症、HIV、オンコロジー、呼吸器・免疫の4つにフォーカスをしています。
こうした動きと連動するように、最近は一度GSKを卒業し、GSK以外で多様なスキルや経験を身につけたアルムナイが応募してくれるケースが増えてきました。「別の企業でオンコロジーを担当していたが、GSKにまた活躍の場を作れるかもしれない」「GSKでもう一度チャレンジしたい」そんな思いを持っているアルムナイが増えている。それなら、もっとオープンに応募してもらえるような環境を作れないだろうかと考えるようになりました。
ーもともと再入社したいというアルムナイが増えていた、そんな背景があったんですね。
隈部:以前、たまたまテレビで、ある製薬会社がアルムナイの取り組みを行っているのを見かけました。昔は「出戻り」というと、マイナスのイメージがありましたよね。でも今はそうではありません。他の企業に転職して新しいケイパビリティを身につけた人たちが戻ってくる、そして自身のスキルを還元してくれる。これは非常に良いエコシステムだと思います。
採用チームをはじめ社内にも相談したところ、すぐに「いいじゃないですか」と反応があり、本格的にネットワーク設立に向けて動き出しました。まずは地道にお声がけするところから始めています。自分が将来活躍できるような場がGSKに見つかれば応募できる、そのきっかけづくりの場となることを目指しています。
再入社し活躍してくれるアルムナイはありがたい存在
ー退職に対してはもともとどのようなお考えだったのでしょうか。
隈部:GSKでは、キャリア開発のオーナーシップは社員一人ひとりにあると考えており、ジョブポスティング制度(社内公募制度)をはじめ、さまざまなキャリアパスを用意してきました。ただ、キャリアとは上に上がっていくだけでなく、ジャングルジムのようにいろんな方向に築いていくものであると思っています。当然「転職・独立」というのも一つの選択肢だと思います。実際、外に出て活躍されている方もたくさんいます。なので、社員の退職転職・独立に対して否定的な考えはありませんでした。
ーここ数年で再入社されるアルムナイが増えているとのことですが、これまでの再入社の状況を教えてください。
隈部:これまで数十名以上のアルムナイが再入社し、現在主要なポジションに就いていたり、新たなケイパビリティを基に活躍をされています。みなさん「GSKが好き」と本当によくおっしゃってくださいます。こちらとしてもGSKの存在意義に共感し、またワクワクしながら再入社し、実際に活躍をしてくれるアルムナイは本当にありがたい存在です。
多様性という面でも、これまで私たちは籍や人種、性別、障がい等に関係なくインクルーシブに多様なバックグラウンドをもった人財を受け入れてきました。そうした土壌が元々あったので、アルムナイネットワークは私たちの環境に構築されていったと考えています。
ー本当に自然な流れだったのですね。
隈部:あとは結婚や出産、介護など、どうしても人生で一番大事なことに時間をとりたいから、一旦退職する方もいると思います。そういった方たちにも、タイミングが来たら戻れる場所があるのはとてもいいことだと思います。その場所がGSKでありたいですね。
目指していきたいアルムナイネットワークの形
ーどんなアルムナイネットワークにしていきたいと考えていますか。
隈部:再入社のきっかけや窓口となることが大きな目的ではありますが、アルムナイと社員またはアルムナイ同士のネットワーク作りの場となることも期待しています。「自分は今こういうところで頑張っている」と話せる場になることで、そこからまた多様な人財を引きつけていくことにもつながると思います。
あとはGSKの新たな戦略や方向性など、「GSKの現在(いま)」がわかる情報も伝えていきたいですね。製品ポートフォリオや疾患領域の変化のほかにも、製品を患者さまへ届けるスピードも早くなりました。また人事制度もビジネスの戦略に合わせる形で進化しており、また報酬制度も「トータル・リワード※」の観点から、「人の成長」、「仕事へのやりがい」、「ワーク・ライフバランス」を重視した構成要素にシフトしています。
アルムナイの皆さんはどうしても在籍時のGSKのイメージが強いままだと思います。でも今はすごく変わっていて、もっとワクワクするような会社になっている。その情報がアルムナイの皆さんに伝わり、さらに口コミでより多くの人たちに伝わっていく効果もあると考えています。そういう意味では、ブランディングやコミュニケーションツールにもなると思いますね。
ーファン作りにもつながりそうですね。
隈部:私たちは「Ahead Together」というパーパス(存在意義)を掲げています。Ahead Togetherは、ともに、その先へ、という意味です。新しいことに対しても、果敢にチャレンジしていくという精神を大切にしています。アルムナイのような新しい取り組みもうまく取り入れて、企業として良いロールモデルになれたらと考えています。
人生100年時代、いろんな節目で人生を振り返り、ターニングポイントとなることがあると思います。そのターニングポイントに私たちのアルムナイネットワークがうまく合うと良いと考えています。
※トータル・リワード:従業員に対する報酬(=リワード)を総合的な動機づけのしくみと捉える考え方で、金銭的報酬と非金銭的報酬をバランスよく包括した報酬マネジメント体系を指す。
アルムナイのみなさんへメッセージ
ー最後に、アルムナイへのみなさんへメッセージをお願いします。
隈部:一旦外に出て、より成長し、またGSKで活躍していきたいという方と、ぜひまた仲間として一緒に仕事をしたいです。
一旦外に出てみると、客観的に色々なものが見られると思います。「あんなにいいところがある」「もっとこんな風にすればいいのではないか」といった、アルムナイの声は、私たちがよい方向に進化する上で、非常に重要です。私たちを刺激してくれるような意見や考え方を共有してくれると、本当にうれしいですね。今後アルムナイの皆さんとの交流は、会社にとっても大きな戦略の一つになってくると考えています。
※過去にグラクソ・スミスクライン株式会社及びヴィーブヘルスケア株式会社 在籍していた方専用のネットワークです。