ニッセイ情報テクノロジー株式会社がアルムナイネットワークの運営を開始しました。
※こちらは過去、ニッセイ情報テクノロジーに在籍していた方専用のネットワークです
そこで、同社代表取締役社長の矢部さんと、アルムナイネットワーク事務局の門乢さん、石渡さんにインタビュー。ネットワーク立ち上げの背景や、アルムナイへの想いについて伺いました。

ニッセイ情報テクノロジー株式会社
代表取締役社長 矢部 剛さん(写真中央)
経営企画部 部長/アルムナイネットワーク事務局 門乢 秀樹さん(写真左)
ヒューマンリソース部/アルムナイネットワーク事務局 石渡 早希さん(写真右)
※3名が手に持っているのは“いのちの木”の意味を持つ桃。保険、共済、年金、ヘルスケアといった“いのち”を支える人生産業において事業基盤を提案し、作り、運用・保守することで「お客さまに寄り添い支える会社でありたい」という意味が込められているそう。(撮影は2022年3月開設のIT人材研修・交流施設「TREASURE SQUARE」にて)
流動性を前提に考えなければ、IT業界は成長しない
——アルムナイネットワークを立ち上げた背景を教えてください。
矢部:ご存知の通りIT業界は人材の流動性が高く、当社の場合もそれは例外ではありません。ただ、辞めた後も個別の付き合いはあり、お互いに助け合うような風土はこれまでもありました。
例えば、コンサルティング会社に転職した人が当社のパッケージをクライアントに勧めてくれたり、どうしても人が足りないプロジェクトにシステム会社に転職した人が人材を送ってくれたりと、アルムナイが仕事の場面で助けてくれることもありました。
当社の従業員数は約2400名ですが、もっと規模の大きい企業と話していても、人材の流動性を見込むことはIT業界の共通認識になっている感覚があります。「自身の成長を求めて外に出て活躍し、経験を積んでまた戻って来る」、そんな考え方は業界全体に定着してきた気がしますね。そこで、「当社出身者のネットワークをつくることは有意義なのではないか」と当社での導入を決めました。
——事務局のお二人はお話を聞いて、どう思いましたか?
門乢:当社は創業20年を超えていますが、これまでOB/OG会はなかったので、良い機会だと思いました。
自身の成長やキャリアアップのために当社を去る人が多いので、個人的なつながりを持ちやすい一方、会社としてのつながりや辞めた人同士のつながりはなく、もったいないという想いは以前からありました。新しいフィールドでどんどん自分自身を高めて、また機会があれば一緒に仕事をしたり、戻ってきてくれたらと思っています。
「まずはゆるいつながりを持つこと」を目指していますが、結果的にビジネス連携や再入社などにつながったらいいですね。
石渡:私は前任の担当者が退職するタイミングでアルムナイネットワークのプロジェクトに参加しました。前任者はネットワークが始動したら登録するとおっしゃっていたので、このネットワークがあればたとえ身近な人が退職することになっても関係が続き、前向きに送り出すことができると思いました。

アルムナイネットワークを活用し、会社のプレゼンスを上げたい
——アルムナイの皆さんからの反響はいかがですか?
矢部:アルムナイネットワークを立ち上げた背景には、実は「退職後も当社とつながっていたい」というアルムナイ側のニーズもありました。それぞれの場所で活躍しているものの、どうやら不安もあるようですね。
門乢:ネットワークを立ち上げるにあたってアルムナイの方数名にインタビューをしたのですが、実際に「こういうつながりが欲しかった」など、前向きな声は多かったですね。
石渡:5月から6月をアルムナイネットワークのプレオープン期間として試験的に動かしていた際に一度、オンラインで交流会を行ったのですが、そこでもアルムナイの皆さんからは「このようなネットワークをつくってくれてありがとう」といったお礼の言葉をたくさんいただきました。
——アルムナイの皆さんも待望していたのですね。なぜそんなにも関係性が良好なのでしょう?
矢部:一人でできることには限界があると思っているからじゃないでしょうか。開発の仕事はプロジェクト形式であり、一人でやる仕事は少ないですから。
また、事業の半分が日本生命グループの案件であることも大きく、品質をとにかく重視し、着々と積み上げることに強みがあり、内向きな傾向が強いことも影響していると思います。
だからこそ、社員にも外の世界を見て、外部の人と交流するきっかけにしてほしいですね。それもアルムナイネットワークを立ち上げた理由の一つです。
——外部との交流によって、社員の皆さんには何を期待していますか?
矢部:将来的には外部の人とプロジェクトをつくるなど、ぜひやってほしいですね。目の前の開発が忙しいのはわかりますが、社外の人を巻き込むことで、もっと大きな仕事ができるはずです。
あとは、社員の外部との接点を増やすことで会社のプレゼンスを上げたいと思っています。今は社会的にも本当に人材不足で、会社のプレゼンスを上げなければ良い人は来てくれないと痛感しています。
——そういう意味では、活躍しているアルムナイの存在もまた、会社のプレゼンス向上につながりそうですね。
矢部:そう思います。辞めた人たちが外で活躍してくれているからこそ、それぞれの会社で当社の良い宣伝になっている。それは本当に感謝しています。まだ少数ですが、最近では実際に再入社する人も出てきています。そうやって戻ることが当たり前な雰囲気にしていきたいですね。
——就活生向けのアンケート調査でも「入社を希望する、もしくは入社予定の会社の元社員の『退職後のキャリア』に関心があると答えた人は約9割」という結果が出ています。
門乢:採用の局面でもプレゼンスを発揮できるのではないかと思っています。今は学生さんも終身雇用はあまり求めていないようです。それならば、「当社でならスキルが身に付いて、外で活躍している人もたくさんいて、また戻ってくる人もいて、その結果として会社も良くなっている」ことを外部に発信していきたいです。

矢部:私が若かった頃と比べて最近の若い方は目指したいキャリアのイメージがありますよね。当社もそうした変化を踏まえて、「私の未来予想図」というプロジェクトを昨年やりました。「どんな人になりたいのか」を書いてもらい、それを元に上長が一人一人の話を聞く取り組みです。
こうした動きはまだ始めたばかりですが、アルムナイネットワークも含め、若い人の考え方の変化にも対応していきたいですね。社員一人一人が目指す未来に対して全社的にサポートしていきたいと思っています。
NISSAY IT アルムナイネットワークのモットーは「まずやってみる」

(過去、ニッセイ情報テクノロジーに在籍していた方専用のネットワークです)
——アルムナイネットワークの運営をどのようにスタートしましたか?
石渡:経営層がアルムナイトネットワークに賛同していてとても協力的だったので、順調に進めてこられたのかなと思います。2カ月間のプレオープン期間を経て、7月から無事にオープンできました。すでに30人が登録してくれていて、投稿へのリアクションなど反応が少しずつ返ってくるようになったのをうれしく思います。
——予想通り、アルムナイの皆さんの反応は良い感じなのですね。
石渡:最初は「あまり人が集まらないのではないか、ログインしてもらえないのではないか」と心配していたのですが、プレオープン期間中のアルムナイ交流会でとてもポジティブな反応が得られたことで、運営側の肩の力も抜けたように感じています。皆さん協力的で、本当にありがたい追い風になりました。
普段の業務ではしっかり計画を立ててから実行に移すことが多いですが、アルムナイネットワークに関しては、まずやってみることが重要な気がします。実際にコンタクトを取ってわかることが多いのだと実感しましたね。
門乢:プレオープン時に最も重要だと思っていたのは、ネットワークを盛り上げるための風土をつくること。そのためには当社からの発信だけではダメで、アルムナイ同士の会話が生まれることが大切だと思っていました。
イベント自体盛り上がりましたし、イベント後にアルムナイ同士のコミュニケーションも生まれ、良い感じでスタートできましたね。
矢部:イベントには私も参加しましたが、事務局がフレンドリーだったのがよかったと思います。若いメンバーで楽しくやっている感じで、おじさんのところには予算の相談にしかこない(笑)
門乢・石渡:(笑)
矢部:変に敷居が高いと思われちゃうともったいないですから、環境づくりは大事だと思います。アルムナイの方に気兼ねなく楽しんでいただけるようにしたいですね。
石渡:アルムナイの方にもぜひそんな雰囲気を感じていただき、一緒に「まずはやってみたい」です。
「NISSAY IT 出身です!」と堂々言ってほしい
——これからアルムナイネットワークを通じてどのような取り組みをしたいですか?
石渡:活躍しているアルムナイの方はたくさんいらっしゃるので、そういった方々を社内外に紹介したいですね。それこそ就活生に「退職後はこういう活躍をしている人がいます」とお伝えできたらいいなと思います。また、社員の視点で考えると、退職した先輩のその後はとても気になるポイントです。「こんなにすごい先輩がいる」と思えることがモチベーションにつながりますし、自分のキャリアビジョンも考えやすくなるように思います。

矢部:アルムナイの有名人が生まれるとうれしいですね。活躍している人が「NISSAY IT 出身です!」と言ってくれるのは、本当に誇らしいことです。たとえ当社を離れても、仲間であることに変わりはありませんから。
——「退職者=裏切り者」という風土の企業も日本にはまだ少なくありませんが、それはどう思いますか?
矢部:それではダメですね。IT業界は横のつながりがあるからこそ、会社の悪い評判は業界内で広まります。会社を超えてチームを組んで物事をやり遂げる機会は多いですから、単純にそういう会社と仕事したくないじゃないですか。
そういう意味でも、アルムナイを裏切り者扱いすることのマイナスは大きいと思いますね。
門乢:正直、当社にもそういう感情を抱いている人が全くいないとは言い切れません。アルムナイネットワークの取り組みを通じて、その意識自体も変えていければと思います。
アルムナイへのメッセージ

石渡:アルムナイの皆さんの中には、「決意を固めて退職したのだから、新天地で頑張らなければいけない」「古巣に頼ってはいけない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、いつか「つながりがあってよかった」と思える時が来るかもしれませんし、お気軽に参加していただければと思います。
門乢:ゆるいネットワークにしたいと思っていますので、肩肘張らず、気軽に門を叩いていただけたらうれしいです。事務局もゆるいメンバーが集まっています(笑)
アルムナイ同士の交流も、ネットワークを介して活発にやっていただけたらと思っています。コロナが収まれば、リアルで集まる機会も企画したいですね。
矢部:楽しくやるので、ぜひ来てください。ベースにあるのは「仲間が幸せになってほしい」という想いです。一生続くネットワークなので、我々も楽しく運営していきたいですし、年代問わず、気楽に盛り上がれる場所にしたいと思っています。私はあまりでしゃばりませんのでご安心ください(笑)
取材・文/天野夏海