国際協力銀行がアルムナイネットワークを発足。世界の課題解決を先導するべく、アルムナイとともに改革へ

株式会社国際協力銀行 常務執行役員 企画部門長 根岸 靖明さん

2024年10月、株式会社国際協力銀行(以下、JBIC)がアルムナイネットワークを発足しました。
国際情勢がますます混とんとするなか、政策金融機関としてさまざまな課題解決に立ち向かうべく改革に着手。そこで見据える“これからのJBIC”に不可欠だったのが、アルムナイの存在でした。
JBICが目指す未来、そしてアルムナイネットワークの発足に込められた想いなどを、 常務執行役員 企画部門長の根岸様に伺いました。

※過去、JBICに所属していた方専用のネットワークです。

アルムナイは組織の変革に欠かせない“パートナー”

── いよいよJBICのアルムナイネットワークが始動しますね。貴行にとってはこれまでにない人事的な取り組みかと思いますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

近年、我々を取り巻く国際情勢は大きく変化してきています。ロシアのウクライナ侵攻にはじまり、「グローバルサウス」と呼ばれる新たな途上国の台頭、経済安全保障に対応したサプライチェーンの強靱化、さらには、カーボンニュートラルといった気候変動問題への取り組みなど、歴史的・構造的な変化と課題に直面し、世界情勢はより一層不確実性を増していると言えるでしょう。
こうした外部環境の変化や課題解決においては、これまで通りのやり方は通用しない。何か“ブレイクスルー”するような革新的なソリューションや技術が不可欠であろうと考え、その進化・改革に向け動き出したのが大きなきっかけです。

── 取り巻く環境の変化は、貴行にとっても変革のタイミングとなったのですね。

はい。我々は、こうした難易度の高い課題を解決しながら、日本と国際経済社会の健全な発展に貢献していくべく、その基盤となる第5期中期経営計画を策定し、本年6月に公表しました。第5期中期経営計画のキーワードは「先導」と「共創」。つまり、これからの経営においてカギとなるのは、一歩先の視点でお客様を導いていく“Navigate”と、さまざまなステークホルダーとともに手を取り合いながら新しい未来を創っていく“Co-Create”の2つであるとし、この2つを柱としたJBICの変革に向けて歩み始めています。

国際協力銀行中期経営計画より引用(参照

── 人的資本を軸として、組織全体の変革・組織づくりに臨んでいるという印象です。

そうですね。そして、こうした組織変革・組織づくりにおける人的資本のひとつとして、あらためて「アルムナイ」という存在に可能性を感じました。JBICの事情を理解していながらも、あくまでも外部の立場として我々のことを見ている。そんな独自の立ち位置・視点を持つアルムナイは、我々が目指す組織変革への大きな力となってくれるのではないだろうか。そして、ここでの新たなつながりによって、アルムナイのみなさんにとってもメリットとなるコラボレーションが生まれたら…。そんな思いで、アルムナイネットワークを立ち上げました。

── 目指す未来をつくるうえで、アルムナイは欠かせない存在というわけですね。

たとえば前述の「共創」のパートナーとなるのは、これまで我々が培った顧客基盤やステークホルダーの方々です。これらは、バランスシート上には表れない、いわゆるJBICの“見えざる資産”とも言えますが、ここには当然アルムナイも含まれるでしょう。
また、さまざまな課題解決に向け、JBICはスタートアップ企業への支援にも注力をしていますが、こうした新しいビジネスクリエーションにおいてもアルムナイの知見をぜひお借りしたいところですし、同時にアルムナイの方々にとっても価値あるコラボレーションにつなげていけるのではないかと考えています。

「先導」と「共創」の体現へ。
目指すのは高いエンゲージメントの組織基盤

── 「先導」と「共創」を形にしていくうえで、基盤となるものはどのようなことだとお考えでしょうか?

やはり役職員一人一人がモチベーション高くこれらに向き合うマインド、ひいては組織全体のエンゲージメントの向上だと考えています。
たとえば、これまで我々は金融機関としてプロジェクトに“伴走”していくというイメージでしたが、あらゆる課題の解決、そして新たな価値創造においては、“一歩先”を行く、まさに「先導」していく姿勢が求められます。そうしたプロアクティブなマインドを持つ人材の育成には、土台となる組織のエンゲージメントが高い状態でなければいけません。
もちろん、これは職員に期待するだけではなく経営陣たる役員自ら変わっていくことが大切です。その意思表明としてDEI&Bを重視した組織風土の醸成に向け「役員コミットメント」を作成し、様々な取り組みも行っているところです。

── アルムナイネットワークの存在も、エンゲージメント向上に寄与するひとつとなれば良いですね。

そうですね。今回のアルムナイネットワークの立ち上げは、新たな組織づくりにおいての気づきを得られる契機になると考えていますので、現職員にとってそこは大きなメリットになるのではないかと感じています。また「退職したらさようなら」だった文化が変化し、“開かれた組織”であるという印象を持ってもらえたらと思います。

── “退職”に対するイメージも変化する中、根岸さんご自身は、これまでアルムナイについてどのようなイメージをお持ちでしたか?

私個人としては「キャリアは自分の責任で作るもの」という考えがベースにあるので、これまでもアルムナイに対してネガティブなイメージは全くありませんでした。

JBICは、基本的には2~3年でジョブローテーションをしていく中でキャリアを形成していくシステムですが、それが必ずしも全員のキャリアメイクにフィットするとは限らないでしょう。もしもフィットしない方がいても、その後のキャリアの選択は誰に強いられるでもなく、自分で責任を持つもの。仮にその選択が「退職」というものであっても、自分自身が責任を持って選んだ道であれば、それは尊重すべきものと考えています。

── あくまでも尊重が大前提ということですね。

はい。個人の価値観を尊重しながらも、組織が目指している方向性といかにすり合わせていくかが大切なのでは、ということです。
実はそういった“少しの軌道修正”で双方のマインドがピタッと合うこともあり、それによってエンゲージメントが高まると思っています。そうすると組織全体の成果も、そしてその質も上がると思います。

ですので「JBICでキャリアを積んでいこう」と考えている方とは、お互いの方向性や思いをすり合わせながらうまく調整していきたいですし、その関係性がエンゲージメントの向上にもつながれば…と思っています。


フラットな関係性で交流を深める場へ

── 今後、アルムナイネットワークをどのような場にしていきたいですか?

アルムナイのみなさんには、ぜひ組織変革・改善に向けた助言をいただきたいので、まずはフラットな関係性を築ける場にしたいと思っています。つながり方がフラットでなければ率直なご意見をいただくことはできないでしょうし、新たなビジネスクリエ―ションもスムーズにできないでしょう。
また、他社様の事例などを参考にしながら“雰囲気づくり”にも力を入れ、アルムナイ同士でもいろいろなことを発信し合える場にしていきたいです。

── 最後に、アルムナイの方へメッセージをお願いします。

いよいよJBICのアルムナイネットワークがスタートします。我々の側からも情報発信をしていきたいと思いますが、アルムナイのみなさんにも情報発信、さらには新たな発見、学びの場として、ぜひこのコミュニティを活用していただきたいです。そして、共創を通じて、社会にとって新しい価値を一緒に創り上げていければと思っています。
ここに参加するメンバーみんなで刺激し合いながら、より良い未来を目指す者同士、ともに進んでいきましょう!

※過去、JBICに所属していた方専用のネットワークです。