2024年4月にアルムナイネットワークを構築したパナソニックグループ。設立から約3カ月で登録者数300人を超え、その後もオンラインやオフラインでの交流会などさまざまな取り組みを行っています。そのネットワークの立ち上げから携わってきたのが、パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社の本田慎二郎さんです。
設立から1年経過した2025年4月、事務局は新体制となりました。新たに中核を担うのは、志鶴友香さんと豊嶋悠斗さんです。今回は3人に、1年間の振り返りと今後の展望、また2025年6月に京都で開催を予定しているアルムナイ交流会について聞きました。
アルムナイネットワーク設立時のインタビューはこちら
https://alumnavi.com/panasonic/

※こちらは過去にパナソニックグループに在籍していた方専用のネットワークです
アルムナイネットワークの構築で世の中に“パイプ”を作ることができた
ーーパナソニックグループ公式のアルムナイネットワークができてから、約1年が経ちました。改めて、設立の経緯を教えてください。
本田:パナソニックグループ公式のアルムナイコミュニティは、2024年4月にローンチしました。公式のコミュニティができる前は、有志社員による活動グループ「One Panasonic」がアルムナイとの交流会を主催していました。ただ、頻度としては2~3年に1回程度。「ハレ」の場はありましたが、持続的につながれるような「ケ」の場はなかったんです。
例えば、アルムナイは退職してもパナソニックの商品を買ってくれます。それは日頃からパナソニックのことを知ってくれているから。「今はこんな商品が出ているんだ」「こういう商品が売れているんだ」と知ってくれるからこそ、「買いたい」と思ってくれます。それはアルムナイとのつながりについても同じ。継続したつながりを持ち続けるためには2~3年に1度会う機会だけでなく、日頃からつながれる場も必要だと考えていました。
実は僕自身、一度パナソニックを退職して再入社している元アルムナイなんです。会社を辞めるとそこで縁が切れてしまうことに、実体験として「もったいなさ」を感じていました。パナソニックアルムナイには、起業している人やビジネスの最前線で活躍している人など、優秀な人たちがたくさんいます。アルムナイネットワークの目的はいくつかありますが、中でもアルムナイとの「協業・共創」は特に重視していますね。
ーー1年を振り返って、印象に残っていることはありますか。
本田:アルムナイネットワークができたとき、想像以上に注目してもらえたのは印象的でした。もともと3年で登録者数300人を見込んでいましたが、約3カ月で達成しました。本当にびっくりしましたね。
弊社はいわゆる「JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)」といわれるような企業なので、「あのパナソニックがもうやるのか」という印象だったようです。さまざまなメディアでも取り上げてもらい、一気に登録者数が増えました。パナソニックが始めたことで、他のJTCも後に続きやすくなったと言われたこともあります。
登録してくれたアルムナイからは、再入社の相談を受けたり、コラボレーションの相談を受けたり…商品についての相談を受けたこともありました(笑)。
アルムナイを含め広く世の中に対して、公式の“パイプ”を作ることができたと実感しています。

設立から1年、運営事務局は新たなメンバーに

ーー一般的に動きが重いと言われる大手かつ歴史のある企業で、アルムナイを立ち上げられた本田さんは、パワフルにアルムナイネットワークをけん引してくださいました。そんな本田さんのあとを引き継ぐ豊嶋さん・志鶴さん。アルムナイネットワークには、どんな印象を抱いていましたか。
豊嶋:私がアルムナイの取組に本格的に携わるようになったのは、公式のネットワークが構築されたあとでした。最初はあくまで本田さんのサポートとだと思っていたのですが、ネットワークの規模が大きくなり、いろいろな施策にも挑戦できる機会が増えていって、どんどん面白くなってきているところです。
アルムナイネットワークの第一印象は「あたたかい」でしたね。パナソニックグループが好きな人たちばかりですし、「アルムナイサポーター※」の方も協力的で助けてくれます。そんな人たちに囲まれて、この取組を進めていけることは幸せだなと感じます。
※ネットワーク活性化のために企業やハッカズークと連携し、アルムナイならではの視点でコミュニティ内でのイベントの企画や運営のサポートを行う制度。
志鶴:私も2人と同じチームだったので、アルムナイの取組については知っていました。「かなり盛り上がっている」という印象を持っていましたね。交流会の話を伝え聞いて、「楽しそうだな。参加したいな」と思っていました。
私は今年で入社7年目になりますが、1~3年目の頃は退職者面談の対応をしていました。退職者の中には、パナソニックは好きだけれど、今の業務ではできない新しいチャレンジをしたいという人たちもいました。「せっかく好きでいてくれているのに、もう関わりが持てないのだろうか」と思っていたんです。
弊社はもともと仲間意識が強い組織だと思うんです。だからこそアルムナイは機能しやすいのではないかと考えていました。
ーー今後、アルムナイをどのような場にしていきたいですか。
豊嶋:私は入社3年目で、周りに退職した人はほとんどいません。本田さんは「元アルムナイ」という点が強力だったと思いますが、私は逆にアルムナイの知り合いがいないからこそ、アルムナイの話を聞くのは刺激になりますし、改めて今の自分の仕事の良さに気づくきっかけにもなっています。
私の気づきを社内に還元することで、私のような若手のキャリア自律につながれば嬉しいですし、アルムナイへの興味が増すことで協業・共創が生まれるようにしていきたいです。
志鶴:本田さんは有志活動を日頃からされていてコミュニティを作るのも上手ですし、イベントの企画にも慣れているタイプ。私はどちらかというと逆です。でも、だからこそできることがあると思っています。私ももしパナソニックを辞めたらアルムナイに入りたいのですが、おそらくイベント参加などのもう1歩が踏み出せないタイプ。きっと同じような人はいると思うので、そういう人たちも含めて一緒にコミュニティを盛り上げていくための施策を考えていきたいですね。
例えば、コミュニティの中に“親友”のような人をつくれたらと思うんです。年齢や職種に関係なく、ちょっとした相談もできるような関係性の人と出会えて、「あの人が行くなら、イベントに行ってみようかな」と思ってもらえたら。本田さんがあたためてくれたものは引き続き盛り上げつつ、さらに盛り上がるような仕掛けをしたいですね。
豊嶋:確かに、親友のような関係性ができるといいですよね。私がアルムナイからキャリアの話を聞いて面白いと感じるのは、社内の人ではなく、とはいえ全く赤の他人でもない、「パナソニック」という共通点があるから。ちょっと踏み込んだ質問や相談もできるんですよね。さらにそこにもう1つ何か共通点が見つかれば、盛り上がりやすいと思います。
オフラインの交流会は、そのもう1つの共通点を見つけるきっかけになると期待しています。そして私もぜひ“親友”にまぜてほしいです(笑)。
ーーネットワークの立ち上げから見守ってきた本田さんより、志鶴さん・豊嶋さんへ伝えたいことはありますか。
本田:アルムナイネットワークが最終的に目指すところは、退職で終わらない関係を築くこと、そしてそれをパナソニックグループのカルチャーにすること。このゴールに向かいつつ、楽しみながら取り組んでもらいたいです。
あくまで主役はアルムナイですから、コミュニティマネージャーはアルムナイです。ただ、どう盛り上げていくかの「HOW」の部分はいろんな可能性があります。2人のやりたいようにやってみてほしいです。2025年には、アルムナイコミュニティ推進グループとして役員賞も受賞しました。今後も周りの方と協力しながら、どんどん試して、ネットワークを広げていってほしいです。
2025年6月、京都でアルムナイ交流会を開催
ーー2025年6月7日には、京都にあるデザインセンター「Panasonic Design Kyoto」でアルムナイ交流会が予定されています。今回は現役社員も参加されるそうですが、今時点でどんな企画を予定していますか。
志鶴:ゲストとしては、グループCHROの木下達夫さんや、執行役員の臼井重雄さんにも参加していただこうと考えています。現役社員については、今話題の商品に携わっている人に参加してもらおうと考えています。商品の開発秘話を語ってもらいつつ、アルムナイの中にも過去に関連商品に携わっていた方がいたら、お話を聞いてみたいですね。
商品以外にも、新規サービスや、大阪・関西万博に出展しているパビリオン「ノモの国」に携わっている社員を呼ぶなど、現役の現場から、今のパナソニックを知ってもらうための発信を考えています。
豊嶋:実際に商品を手に取って、触ってもらうのもきっと楽しいですよね。私も今からワクワクしています!
志鶴:現実的にどこまでできるかというのはもちろんありますが、新しいものだけでなく懐かしさも感じていただきたいです。
本田:前回の交流会では、社内の会場に掲示されている七精神(経営理念)を懐かしそうに読み上げている方もいましたね。
志鶴:好きな七精神でグループ分けをするのも面白いかもしれません!

ーー最後に新担当のお2人のイベントへの意気込みを教えてください。
志鶴:アルムナイのイベントに参加するのは今回が初めてなので、まずはアルムナイの熱量を体感したいです。それから同窓会のような楽しいイベントであることはもちろん、何か新しいものが得られるようなものにできたらと考えています。
豊嶋:私は2024年3月30日に行われた交流会以来、2回目の参加となります。まずはアルムナイのみなさんとお話ししたいですね。オンラインのランチタイムミートアップや、ネットワーク上でやりとりしている方もいますが、リアルの場で話せたらすごく楽しそうだなと思っています。
あとは志鶴さんと同じく「楽しかった」で終わりではなく、「またね」と次につながるようなきっかけが生まれることを期待しています。例えばネットワーク上で新たにトークルームを作るとか、DMを送ってみるとか、ちょっとしたことでも良いと思います。私も楽しみながら、仕掛けを作っていきたいです。
※こちらは過去にパナソニックグループに在籍していた方専用のネットワークです