野村ホールディングスのアルムナイネットワークから生まれた協業事例

並んで立つ川上さんと藤波さん

近年、企業におけるアルムナイネットワークの活用は、再雇用(カムバック採用)や採用支援といった文脈で語られることが多くなっています。

一方で、アルムナイ同士、あるいは企業とアルムナイが再びつながることで生まれるビジネス協業などの可能性にも注目が集まっています。

しかし、アルムナイ同士の協業が実際にどのように生まれ、どのような価値を生んでいるのかについては、世の中的に事例の発信がまだ多いとは言えません。

そんな中、野村ホールディングスのアルムナイネットワークから、アルムナイ同士による新たなビジネス連携が生まれています。

今回は、その当事者であるアルムナイの川上さんと藤波さんに、協業に至った経緯や、アルムナイネットワークの価値についてお話を伺いました。

※こちらは過去に野村ホールディングスに在籍していた方専用のコミュニティです

現役時代は面識なし。偶然の再会から始まった関係

今回の協業の当事者である二人は、実は現役時代に面識がありませんでした。在籍時期や部署は重なっておらず、社内で直接関わる機会はなかったと言います。

川上さん
「最初にお会いしたのは、野村の公式な場ではなく、同じ部署出身者の非公式なOBOG会でした。年に一度集まるような会で、軽くご挨拶したのが最初だったと思います」

藤波さん
「その後、野村ホールディングスのアルムナイネットワークが立ち上がって、第1回の交流会で改めて再会したんですよ。そのときに、お互いが今どんなことをしているのかを初めてちゃんと知った、という感じでした」

川上さん
「大きな組織であるがゆえに、現役時代に直接やり取りがあった同僚はごく一部で、接点のなかった人も多くいます。

だからこそ、退職後も、人と人を緩やかに繋ぎとめてくれるアルムナイネットワークの存在は、非常に心強いものだと感じています」

交流会をきっかけに、”点”だった関係性が少しずつ“線”へと変わっていったとのこと。
しかし、この時点で具体的なビジネスの話が進んだわけではありませんでした。

椅子に座って話す川上さん

<川上さんプロフィール>
2003年に野村證券へ中途入社。企業情報部(M&Aアドバイザリー)やロンドン駐在を経て、現在は伊藤忠丸紅鉄鋼のエグゼクティブアドバイザーとして、投資推進や組織・人材育成等に従事。

ネットワークをきっかけに生まれた実務支援

再会からしばらく経った後、川上さんが関わる事業会社において、投資・M&Aを推進していくうえで、現場の実務力強化が課題として浮かび上がりました。

川上さん
「現場には、M&Aにつながり得る案件の種が沢山ありました。ただ、営業メンバーの財務やバリュエーションに対する実務的な理解を、もう一段引き上げる必要がありました」

そのタイミングで思い出されたのが、アルムナイネットワークを通じて近況を知っていた藤波さんの取り組みだったと言います。

川上さん
「そういえば、財務やバリュエーションを実務ベースで教えている人がいたな、と思い出したんです。交流会で話を聞いていたからこそ、選択肢として自然に浮かびました」

藤波さん
「ご連絡をいただいたときは、正直に言うと驚きもありましたが、『あのとき話したことが、こういう形でつながるんだ』という感覚がありましたね」

結果として、藤波さんが外部パートナーとして関与する形で、実務に直結した人材育成の取り組みがスタートしました。アルムナイ同士の信頼関係を土台に、企業の課題解決につながる協業が生まれた瞬間でした。

椅子に座って笑顔で話す藤波さん

<藤波さんプロフィール>
2008年に野村證券へ中途入社。川上さんと同様に企業情報部にて経験を積んだ後、2016年に独立。現在はプリンシプルズ株式会社を経営し、財務・バリュエーション(企業価値評価)を中心に、実務に即した研修サービスを提供する「BizObi(ビズオビ)」事業に取り組む。

実際に協業をして感じた、アルムナイと協業するメリット

今回の協業について、二人が共通して挙げるのが「信頼関係構築の早さ」でした。

川上さん
「一緒に働いた経験がなくても、『野村出身』という共通のバックグラウンドがあることで、仕事への向き合い方やプロフェッショナリズムの水準は、ある程度想像がつきます。
それが、意思決定や社内調整を進めるうえで大きかったですね」

藤波さん
「5月に川上さんからご連絡をいただいて、6月末には研修を開始するという、とても速いスピード感で進んでいきましたね(笑)

これだけスムーズに進んだのは、アルムナイネットワークを通じて、互いの取り組みが事前情報として共有されていたことも大きいと思います。あの場がなければ、そもそも“思い出される”ことすらなかったかもしれません」

さらに藤波さんは、アルムナイ同士で協業することの利点について、次のように語ります。

藤波さん
「M&Aの実務経験やバックグラウンド、共通言語を持っているので、説明の手間が省けて意思疎通も非常にスムーズでした。

また、同じコミュニティ出身というだけで、『価値観が近く、変な人はいないだろう』という信頼感が、最初からあったように感じます」

川上さん
「アルムナイネットワークは、即時的なマッチングを目的とした仕組みや、短期的な成果を求める装置ではなく、将来、協業や連携が自然に生まれていくための土壌を育てる場なんだと思います。

そうした機会が訪れた際に、すぐに実現に向けて動き出せる点も大きな魅力ですね」

並んで笑顔でインテビューを受ける藤波さんと川上さん

アルムナイネットワークが持つ、さらなる可能性

川上さん
「野村ホールディングスのアルムナイネットワークの良いところは、再雇用や採用だけに価値を限定していない点だと思っています。

野村證券のインベストメント・バンキングと、野村アセットマネジメントで運営され、現役時代に培った専門性や価値観を共有している人たちが、退職後も緩やかにつながり続けている。そこが、このネットワークの大きな特徴ですよね」

藤波さん
「今どんな分野で、どんな仕事をしているのかが分かる。それだけでも十分価値があると思います。

“今すぐ何かをするための場”というより、“将来何かが起きるかもしれない関係性を残しておく場”という感覚に近いですね」

川上さん
「野村ホールディングスのアルムナイネットワークには、野村を卒業してから投資銀行、アセットマネジメント、事業会社、スタートアップなどで活躍されている、本当に多様な人材がいます。

テーマ別の小規模な交流などが増えていけば、今回のような協業は、どんどん生まれてくると思います。これからもさまざまな縁がはぐくまれていくことを期待しています」

藤波さん
「アルムナイネットワークを通じた取り組み事例を発信していくこと自体が、企業のブランドにもつながりますし、アルムナイ同士の新しい連携を後押しすると思います」

今回の事例は、アルムナイネットワークが採用や再雇用にとどまらず、企業と人材、そして人材同士をつなぐ「価値創出の基盤」となり得ることを示しています。

野村ホールディングスのアルムナイネットワークから、今後もこうした新たな連携が生まれていくことが期待されます。

並んで笑顔で写真に写る川上さんと藤波さん

※こちらは過去に野村ホールディングスに在籍していた方専用のコミュニティです