戸田建設がアルムナイネットワークを構築。アルムナイと共に「総合知」で未来を創造する

2031年に創業150年を迎える戸田建設株式会社。150周年に向けて「未来ビジョンCX150」を策定し、「価値のゲートキーパーとして、協創社会を実現する」ことを目指しています。こうした中、2025年5月に同社はアルムナイネットワークを発足しました。「未来ビジョンCX150」の実現にアルムナイが寄与することを期待していると言います。

導入の背景やアルムナイへの期待を、常務執行役員 人事統轄部長の瀬尾暢宏さん、人事統轄副統轄部長の白井光一さん、人事部人事課の小林知弘さんに聞きました。

戸田建設株式会社
常務執行役員(執行役員)人事統轄部長  瀬尾 暢宏さん(写真右)
人事統轄副統轄部長 白井 光一さん(写真中央)
人事部人事課 小林 知弘さん(写真左)

※こちらは過去、戸田建設に在籍していた方専用のネットワークです

「総合知」の形成に大きく寄与するアルムナイ

ーーアルムナイネットワークを構築した背景を教えてください。

瀬尾:当社は2031年に創業150年を迎えます。その150周年に向けて、「未来ビジョンCX150」を策定しました。この中で、生活者と企業の間に入り「価値のゲートキーパー」となることを当社の目標として掲げています。ゲートキーパーとは、これまでにない情報や価値を組み合わせ、新たな価値を創造する存在です。これまでの提供価値を再構築することにより、さまざまな社会課題の解決や、生活者の体験価値向上といった+αの価値を提供できると考えています。

その実現のためには「総合知」の形成が重要だと当社は考えています。「総合知」とは、多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むこと。現役社員や協力会社だけでなく、アルムナイの知見や経験も取り入れた総合知を活用して、“突出価値”を創出することを目指しています。

白井:当社は元来どちらかといえば堅い保守的な社風でした。しかし近年、社会動向や価値観が大きく変化しています。今後も社会に必要とされるためには、これまでの組織風土を大きく変えていかなければならないと考え、定めたのが「未来ビジョンCX150」です。そういう意味では、アルムナイのような異なる価値を持った方とのネットワークは重要なものだと考えています。

ーー会社が新しいフェーズに入る中で、社外の知見・経験を取り込んでいく必要があったのですね。

瀬尾:未来を見据える一方で、日本全体で人口が減少する中で、技術者の確保が年々難しくなることにも課題を持っています。もともと当社にはジョブリターン制度がありました。出産や育児で退職する女性が多かったことを受けて設立した制度でしたが、女性に限らず、当社でまた働きたいという人を受け入れる制度として活用されてきました。

実際に再入社してくれる人も何名かいます。一方で、利用するには「(心理的な)ハードルが高い」という声も上がっていました。これまでのやり方では、一度辞めてしまうと、その後の関係性を維持することが難しかったんです。アルムナイと戸田建設との間で、もしくはアルムナイ同士でのコミュニケーションが生まれれば、戻りたいときに声をかけやすくなるのではないかと考えました。社外の知見や経験を取り入れるためにも、戻りたいと思った人を受け入れやすくする仕組みを会社として用意することが必要だと考えています。

ーー社会情勢に適応するためとはいえ、アルムナイネットワークの構築はけして小さくない変化だと思います。どうしてそこに踏み出せたのでしょうか。

小林:戸田建設は上の方との距離が近く、意見を伝えやすい社風だと思います。私はキャリア採用で入社していますが、戸田建設の風通しのよさを日々感じています。それがアルムナイネットワーク構築に踏み出せた原動力なのだと思います。

瀬尾:10年前や5年前にはなかったような制度もどんどんできていて、働く環境も変わっています。例えば、男性の育休取得率は2020年度から毎年100%を達成しているんですよ。

白井:周りもサポートする心構えがありますよね。やはり現場は忙しいので、これまでであれば短期間でも休みづらいというハードルはあったと思います。今は現場の方も「取らなくてはいけないものだから」と指導してくれるようになりました。

小林:こういった社風の変化も、ネットワークを通じてアルムナイに伝えていきたいですね。

ーーこれまでアルムナイとはどのように関わっていましたか。

白井:退職した方で、その後も業務上の関係のあった方などが、再び当社に戻って来ていただいたりするケースはありますね。実は私の知り合いも再入社しています。彼は退職してとある大手企業に転職したのですが、その後も昔の仲間と連絡を取り合っていました。ある時、「戸田建設に戻りたい」との話があり、結果的に再入社に至りました。現在は海外で活躍していますよ。

瀬尾:私の知っている中では、家業の建設業を継ぐために地元に戻った方がいました。現在はその方が社長を務める会社と共同企業体を組み、施工している案件があります。また協力会社の中には、後継者の方に経験を積んでもらうために当社で何年か働き、その後自社へ戻るというケースもありますね。

ただ、これまでのアルムナイとの関係は、上司や同僚、同期との個人的なつながりに限定されていました。コンタクトをとれなかった人は「戸田建設に戻る」というきっかけを得られなかったかもしれません。そのため、会社として体系的に情報を管理し、ネットワークとして整備したいという思いもありました。 

机の上に座っているスーツを着た男性たち

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現役社員とアルムナイとの協力関係も積極的に促進したい

ーーアルムナイが再入社するとしたら、貴社ではどのような活躍の場があると思いますか。

瀬尾:どんな経験を積まれてきたかによって、活躍の場はさまざまだと思います。今、当社では建築や土木以外にも、土地や不動産に関連する部署もでき、事業の幅が広がっています。経験によっては、退職前とは全く別の事業に携わっていただく可能性もあります。

ーー現役社員に対して、アルムナイネットワークはどのような影響をもたらすと考えていますか。

瀬尾:現役社員にとっては、大きく2つのメリットがあると考えています。1つは「学びの機会」です。アルムナイが外で培った知識や成功事例、失敗から得た教訓を共有することで、社員は多様な視点や、新たな発想で物事を考えるヒントを得られます。

もう1つは「キャリア形成」です。アルムナイとの交流を通じて、業界の最新動向やキャリア選択の可能性に触れることができます。それによって、自身のキャリア形成にも役立てることができます。自律的で柔軟なキャリア形成を重視する社員が増えることで、当社が推進する自己発働的な視点も生まれると考えています。

ーー現役社員とアルムナイの関係性は今後どのようなものにしていきたいですか。

瀬尾:現役社員とアルムナイの協力関係は、積極的に促進すべきだと考えています。アルムナイが持つ外部のノウハウを取り入れ、知識が循環していけば、企業内部の知識資産を拡張できます。また、現役社員とアルムナイが共に取り組むことで、従来の枠組みに囚われない新しい価値創造ができると思うのです。会社の単なる「卒業生」以上の関係性を築くことを願っています。

「未来」を一緒に作っていく仲間として

最後に、運営事務局からアルムナイの皆さんへメッセージをいただきました。

アルムナイのみなさんへ

これまで当社にご尽力いただき、そして現在も様々な場面でご活躍されているアルムナイの皆さまに、心からの感謝を申し上げます。当社は、人と人とのつながりを何よりも大切にする企業文化を育んできました。この文章を読んでいただいている皆さまとの関係性が、その一部となっていることを誇りに感じています。これからもつながりを深め、お互いに支え合いながら成長していければと願っています。

当社を退職されても引き続き関係を持ち続けたいと考えていただける方は、ぜひアルムナイネットワークへ登録いただきたいです。私たちは、このネットワークを単なる情報交換の場ではなく、長期的な「つながり」の象徴にしていきたいと考えています。ぜひ、このコミュニティの一員となり、未来を一緒に形作っていきませんか。

※こちらは過去、戸田建設に在籍していた方専用のネットワークです