今回は2024年3月より、アルムナイネットワークの始動を控えている株式会社紀陽銀行(以下、紀陽銀行)人事部長の押村浩さんにインタビューを受けていただきました。導入までの流れや行内の反応、アルムナイとの今後の関わり方など、アルムナイネットワークの導入で重要なことをお話しいただきました。
※こちらは過去、紀陽銀行に在籍していた方専用のネットワークです。
時代の流れを捉え、アルムナイネットワークの重要性に気づく
ー本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは、アルムナイネットワークを導入した背景をお聞かせいただけますか?
実は2年程前からすでにアルムナイとの関係構築の必要性を感じていました。ちょうどその頃から人的資本という考え方の拡がりもあり、せっかく入行してくれたメンバーともっと何か関わりを持てる方法はないか模索する中で、徐々にアルムナイネットワーク構築の意義について考える機会が増えました。
しかし、昔から銀行という業種柄、一度退職した方と接点を持つことがあまり多くないことも事実であり、行内では反対というよりはイメージがわかないという雰囲気でした。
実際は辞めた後も上司や同僚と個人的に繋がっていることはあります。私もアルムナイと食事に行く機会もありましたが、「また何か違う形でもビジネス上で関わりたい」と感じても、関わりを発展させることが難しく、上手く連携が取れないことにもどかしさを感じていました。
ーアルムナイネットワークの導入には、何かしら課題があったようですね。そこからどのように導入までお話が進んだのでしょうか?
2023年2月、もともとあったウェルカムバック制度を拡充し、アルムナイ採用の仕組みを整えました。ウェルカムバック制度は元々、結婚や出産、育児等を理由に円満退職した方のみ、在籍当時の条件で再雇用する制度でした。つまり、転職した方々は対象ではなかったのです。
戻りたいと思っていただける方には門を開いておいても良いのではないかという意見も出て、アルムナイもウェルカムバック制度の対象になりました。
ー会社の中でも徐々にアルムナイへの認識が変わったようですね。
そうですね。近年、採用・人材市場はトレンドの移り変わりが早く、特にここ2、3年の変化は凄まじいと感じます。
当行の他の経営陣も同じように時代の変化や人的資本の重要性の高まりを肌で感じており、今回アルムナイネットワークの導入について正式に経営陣に諮ったところ、すぐに受け入れられ、導入する流れとなりました。
再雇用に固執せず、どこにいても同じビジョンを持つことが重要
ーアルムナイネットワークの導入が決まり、どのような変化がありましたか?
個人的につながりがあったアルムナイに、アルムナイネットワーク導入の話をしたところ、みなさん即答で「入ります!」と答えてくれたため、実際にニーズがあるということを改めて実感しましたね。
ーアルムナイネットワークにはどのような期待を寄せているのでしょうか?
どこにいても同じビジョンを持っている仲間として、地域のために共に活動できればと思っています。当行を含め、地方銀行に入行する方はなにかしらこの地域のためになりたいという想いを持っている方ばかりです。
もちろん当行に戻ってきていただけたら嬉しいですが、それ以上にどこにいても「この地域に貢献したい」と思っている方と、何か協働できれば嬉しいですね。
ーアルムナイと御行で同じビジョンを持っていれば、関わり方も増えてきそうですね。
まさしくそうですね。当行では求める人材像を「Be“CHANGE”」と掲げています。変化に柔軟に対応し、上手く乗りこなせるような人材像を思い描いています。
この人材像は当行でキャリアを積む人に対してでもありますし、アルムナイに向けてのメッセージでもあります。
従来の銀行のビジネスモデルは預貸業務が中心でしたが、今は規制緩和や地域から求められることも変化してきています。銀行自らが新たなビジネスを創造していくにあたって、その答えやヒントは銀行の外に多くあると考えています。そういう意味では、当行での経験があり、外の世界で活躍しているアルムナイは良きパートナーとなってくれるはずです。
アルムナイから自身の経験を元にアドバイスや意見をいただければ、私達にとって貴重な財産となるはずです。アルムナイという立場だからこそ言えることもあると思いますし、外側から包み隠さずコミュニケーションをとってくれる存在は、極めて貴重だと考えています。
経営方針の根底にある、人との繋がりの大切さ
ーでは、今後アルムナイネットワークを、アルムナイにどのように活用してほしいかなど、展望はありますか?
地域のために貢献したいという同じビジョンを持ち、議論を重ねたり意見を交わしたり、そこからビジネスの協業に発展したりできる場として活用してほしいですね。
どこに属しているかは関係なく、同じビジョンを持った人と繋がりを持ちたいと思っています。それは私達とアルムナイだけではなく、アルムナイ同士にも同じことが言えます。
特に当行のような地方銀行の場合は、地域の活動等に関わるケースも少なくありません。その際に、別の企業で頑張っているアルムナイと手を組み、共にその活動を盛り上げていけると嬉しいですね。
ー押村さんの軸は、一貫して”人”にフォーカスされているようですが、それは支店長時代から変わらないのでしょうか?
そうですね。銀行は基本的に人をベースにビジネスを展開しています。私だけでなく、当行全体がもともと人との関わりやつながりを大切にする文化があると思います。
ーやはり人材を大切にしていると、アルムナイネットワークを導入する意義も大きいでしょうね。
単なる社員と雇用主という関係性ではなく、「人」同士として関わることで、お互いのことをよく知れると思います。アルムナイから寄せられる意見は、今後の銀行経営に関してヒントとなる意見がたくさん詰まっているのではと期待しています。当行での経験を持つアルムナイは、時として自分たちを映す鏡のような存在になるだろうと考えています。
また、実際に協業する際も、スムーズに話が進むと期待しています。初めて協業する場合、まずは相手のことを知り、その土台がある上でビジネスの話へと発展します。しかし、アルムナイであればお互いを知っているため、共感するのも早く、協業もスムーズかつスピーディーに進みやすいと思います。
そういった面でも、アルムナイは特別なパートナーだと思いますし、そんな味方と繋がれるアルムナイネットワークは当行においても重要な位置づけであると考えています。
登録してよかったとアルムナイに思ってもらうために必要なこと
ーアルムナイから見たときに、どんなアルムナイネットワークでありたいか、理想像はありますか?
自分がもといた銀行が変化し、成長していることを感じてほしいですね。現在の取り組みを知ってほしいのはもちろん、アルムナイ同士も地域をテーマに気さくにコミュニケーションを取れるコミュニティだと感じてもらいたいとも思います。
銀行だけで作り上げられるフィールドには限界があるため、こうしてアルムナイと共に行動することで、より活発なコミュニティとして成長できるのではないでしょうか。
ーアルムナイとの交流が、現役メンバーのモチベーションに繋がることも期待できそうですね。
そうなれば嬉しいですね。再入社や協業という形で繋がることができた際には、アルムナイが外での経験を通してどのように成長しているのか見ることも楽しみです。
ー最後に、アルムナイに向けてメッセージをお願いします。
繰り返しになってしまいますが、現役行員もアルムナイも地元に対する想いは強いはずです。立場に関係なく一緒に地元を盛り上げていければと思います。
※こちらは過去、紀陽銀行に在籍していた方専用のネットワークです。