「人とのつながりが、日立システムズらしさ」――元人事3人が語るアルムナイコミュニティのこれから

日立システムズの退職者同士がつながる場として、「日立システムズ・アルムナイコミュニティ」が2025年4月に正式にスタートしました。今回は、日立システムズ在籍時に人事を担当されていた3名にお集まりいただき、座談会を実施。

当時の思い出や今の業務に活きている経験、コミュニティへの期待などを語っていただきました。日立システムズ在籍時からお知り合いだったという3人の率直な言葉から、アルムナイコミュニティの可能性を探っていきます。

<プロフィール>
伊藤さん(仮名)写真左
2016年に日立システムズへ新卒で入社。元々はSE職を志望していたが、人事の適性を見込まれ配属が決定。労働時間管理や労働法対応を担当後、海外駐在を経験。海外グループ会社の人事ガバナンスにも関与し、グローバルな視点を養った。退職後は製造業へ転職し、人事業務に加えてシステム企画にも携わる。

田中さん(仮名)写真中央
2017年に日立システムズへ新卒で入社。就職活動を通じて人事職の魅力と社風に惹かれ入社。評価・報酬制度の企画・運用をはじめ、労働組合対応や人件費管理など幅広い業務を経験。特に、数千人規模の給与・評価業務に携わり、正確性が求められる環境でスキルを磨いた。現在は、コンサルティング業界で労務対応などを行っている。

吉川さん(仮名)写真右
2019年に日立システムズへ新卒で入社。関西での就職を考えていたが、スカウトを受け人事職に関心を持ち入社を決意。主に要員計画や労働時間管理、HRテック領域を担当し、システム活用による人事業務の効率化に携わった。退職後は製造業に転職し、人事とシステムをつなぐ役割を担う。

※こちらは過去に日立システムズに在籍していた方専用のネットワークです

「人に育てられ、仕事で鍛えられた」日立システムズでの経験が今の自分をつくっている

――まずは日立システムズ時代の思い出を聞かせてください。

伊藤: 日立システムズ時代でいちばん印象に残っているのは、やはり人間関係の濃さです。仕事内容のみならず、社会人としての基礎をしっかり学べる環境が整っていました。先輩や同僚との関わりの中で、業務の進め方はもちろん、チームとして働くとはどういうことか、信頼関係の築き方まで自然と身につきました。

もうひとつ強く記憶に残っているのは、コングロマリット(異なる業種やビジネス部門を所有・運営する企業)の面白さを体感できたことです。海外駐在での経験や海外のグループ会社と関わる中で、日立グループ内のさまざまな事業を間近で見られました。まったく異なる事業領域が連携し、意外なシナジーを生み出していくのは、まさにコングロマリットならではの面白さだと思います。

現在も同業界に所属しているため、「この分野とこの分野がつながるのか」と驚かされることが多いです。そうした視点を持てるようになったのも、日立システムズでの経験があったからこそだと感じています。

――大企業の日立システムズならではの経験ですね。田中さんはどんなことが思い出に残っていますか?

田中: 私は評価や報酬制度の業務をしていたのが思い出に残っています。従業員の会社生活はもちろん、日常生活にも大きな影響を与えるものなので、1点の評価ミスも、1円の支給ミスも許されません。

担当していたのは、約7,000人分の評価・報酬業務。もちろん複数人でのチェック体制はありましたが、それでも担当者としての責任は非常に重く、給与・賞与を無事に届けるまでのプレッシャーは大きかったです。ただ、そのような張り詰めた仕事環境だったからこそ、人間関係の良さが支えになっていたと強く感じます。

伊藤さんや吉川さんなどの同世代の方々の存在も心強かったですし、年齢やバックグラウンドが違う先輩たちも、対等に接してくれる方が多く、とても働きやすかったですね。たまの休日出勤のときも、先輩たちが「頑張るか」と一緒に働いてくれて、自然とやる気が湧いてきたことを覚えています。

――いい人間関係があるからこそ、プレッシャーのある業務にもやりがいを感じられていたんですね。吉川さんはいかがですか?

吉川:一番印象に残っているのは、HRテック領域の業務に携わった経験です。私はSEではないので専門性の高い知識は持っていませんでしたが、社内のSEの方々と一緒に働く機会がありました。たとえば自分でデータベースを書いた時は、実際にSEのフロアに足を運び、隣に座って直接教えてもらえ、非常に貴重な経験だったと思います。

実は伊藤さんがIT部門とのコネクションがあり、そのつながりで上司から「IT部門のフロアで直接教えてもらったら?」と勧められたのがきっかけだったんです。それからはチャットでも気軽に質問できる関係性ができて、非常に連携しやすかったのを覚えています。この経験を通じて、「人事」と「システム」という2つの領域をつなぐ仕事の面白さに気づき、今のキャリアの礎(いしずえ)にもなりました。

また、日立システムズの人間関係の良さも印象的でした。仕事中は論理的に淡々と進める雰囲気がありつつも、誰でも対等に意見を言える環境があり、仕事終わりの飲み会ではフランクに盛り上がるなど、メリハリのある働き方ができる職場だったと思います。

「大企業の人事経験」を武器に、新たなステージへ

――どのような理由で、次のキャリアに進まれたのでしょうか?

伊藤: 私が転職を決めたのは、自分のキャリアの可能性を広げたいと思ったからです。日立システムズの人事部門は総務を入れると200人ほどの体制でその中で私は、人事や勤労といった専門性の高い領域で経験を積ませてもらいました。ただ、組織が大きく安定しているからこそ、キャリアの道筋がある程度明確に見えてきました。

キャリアに対する安心感がある一方で、私自身はもう少し未知の領域にも挑戦してみたい、新しい視野を得たいという気持ちが強くなっていきました。もともと人事の仕事は好きでしたので、より広いフィールドで経験を積めるチャンスを探していたところ、良いご縁があり転職を決めました。

――キャリアの道が見えてくる中で、あえて新たなフィールドに挑戦されたんですね。田中さんはいかがですか?

田中: 私はキャリアに対する焦りから、環境を変えたいと思い転職を決めました。入社2年目以降は、評価や報酬制度の業務を一人で任されるようになりました。とてもやりがいを感じ「もっと頑張りたい」という気持ちが常にありました。

ただ、忙しさの中でふと立ち止まったときに「自分は本当に人事の道を続けたいのかな」といった漠然とした焦りを感じるようになったんです。そこで、一度環境を変えてみようと決意しました。結果的にコンサルティング業界の人事のポジションでいいご縁をいただけて、人事を続けています。

転職してみて実感したのは、意思決定のスピードの違いです。今の会社では意思決定のスピードが非常に速く、制度や仕組みも浸透する前に変わってしまうことがあります。一方で、日立システムズのように時間をかけて丁寧に制度を運用していく文化の良さにも改めて気づきました。2つの環境を経験したからこそ、今はより広い視点で人事の仕事に向き合えています。

――2社での経験があるからこそ、見えるものがあったのですね。吉川さんの転職理由も教えてください。

吉川: 私が転職を決めたのは、スカウトをきっかけに「より大きなスケールの仕事に挑戦したい」と思ったからです。実は入社2年目から、将来を見据えてスカウト型の転職サイトには登録していました。いつかは関西に戻りたいと思っていて、そのためにも一度他の会社も見ておきたいと思っていたんです。そんな中、たまたま現在の会社から声をかけてもらい、気軽な気持ちで応募したところ、思いのほか自分の志向とマッチしていると感じました。

特に魅力的だったのは、人事とシステムを組み合わせた業務に加え、より本社機能として大きな視野で関われることでした。ちょうど「人事とシステムの両軸でキャリアを築きたい」と考えていたため、挑戦するつもりで転職を決めました。

伝える力、つなぐ力、考える力――日立システムズで磨かれた仕事の基礎

――日立システムズでの経験が、今に活きていると思うことを教えてください。

伊藤: 日立システムズで「社会人としての基礎」を徹底的に叩き込んでもらえたのが最大の財産です。入社当初の私はとても未熟な状態で社会人生活をスタートさせていたと思います(笑)。そんな私に対し、先輩たちは一つ一つ丁寧に仕事の進め方を教えてくれました。

資料作成では、「この情報は本当に必要か?」「誰が見るのかを意識した構成になっているか?」と細やかな指導を受け、その考え方は今の仕事にも自然と活きています。今でも、何か迷ったときには日立システムズで学んだ基本に立ち返ることが多く、あのときの経験が今のキャリアの土台になっていると強く感じています。

――仕事の“型”をしっかり身につけられた経験が、今でも支えになっているんですね。田中さんはどうですか?

田中: 私にとって印象深いのは、「言葉の使い方に対する意識の高さ」が徹底されていたことです。勤労関係の業務に従事していた私は、従業員対応や全社向け通知の作成など、文章でのやりとりが多い業務を担当していました。その中で「この表現では伝わらない」「誰にでも伝わるように書きなさい」と常に上司から指導されました。

自分の書いた文書が真っ赤になって戻ってくるたびに、落ち込むこともありました。しかし、その経験を経て、今では正しく伝わる言葉選びを常に意識できています。現在は労務問題やハラスメントの相談窓口を担当しており、その「伝わる言葉」を意識する姿勢が、トラブルを未然に防ぐ上でも大きく役立っています。

――当時の悔しさが、しっかりと力になっているんですね。吉川さんはいかがですか?

吉川: 今に特に活きていると感じる経験は大きく3つあります。

1つ目は「システム設計に関する論理的思考」です。SEの方々と一緒に仕事をする中で、データベース設計や業務システムの構造などを学ぶ機会がありました。技術者ではなかった私が実践を通じてその考え方を学べたことは、現在の人事×システム領域のキャリアの出発点となっています。

2つ目は「異なる専門職の橋渡し役としてのスキル」です。SEと人事の間に立ち、それぞれの専門用語や目的を“翻訳”して伝える機会が多く、その中で磨いたコミュニケーション力は、今でも大きな武器になっています。

3つ目は、「仕事の進め方の基本」を学べたこと。充実した研修制度のおかげで、常に「なぜこの業務を行うのか」「どのように進めるのが最も効果的か」といった視点で物事を考える習慣が身につきました。今も迷ったときはその原点に立ち返ることが多く、当時の学びが確実に今の自分を支えています。

「またつながりたい」と思った時に――3人が語るアルムナイコミュニティへの思い

――日立システムズにアルムナイコミュニティが立ち上がりました。どんなことを期待していますか?

伊藤:「情報交換の場」になることを期待しています。現在も人事に携わっている立場からすると、他社の人事制度や施策について情報共有ができる場があれば非常にありがたいです。一方で、他の部門出身の方にとっては、ビジネスの引き合いや協業のきっかけになるような場の方が価値を感じられるかもしれません。

そうした多様なニーズに応えるためにも、ビジネス創発や求人情報の共有といった機能があっても良いのではないかと思います。たとえば「このポジションが空いている」という情報をアルムナイ限定で共有できる仕組みがあれば、企業側にとっても即戦力となる人財に出会えるチャンスになり、求職者側にも安心感があるはずです。

アルムナイコミュニティの目的は人それぞれですが、情報交換をベースにした柔軟な仕組みがあれば、多くの人にとって価値ある場になると感じています。

――あらゆる部門出身の方が有益な情報を得られるようになるといいですね。田中さんはどうですか?

田中:私も人事の仕事をしているので、やはり他社の人事施策事例や、他社にいる方との交流に関心があります。人事に特化したネットワークのようなものが形成されると、実務的にも大きな学びがあると思います。

また、現場でよく聞くのが「一度会社を離れてから戻ってくる人(再入社)の存在です。「どんな業界に行き、どんな経験を経て戻ってきたのか」といった情報が共有されると、キャリア形成に悩む方にとって良いヒントになるのではないでしょうか。

――“再入社”のストーリーが共有されることで、社内の方のキャリアも広がりそうですね。吉川さんも期待していることがあれば聞かせてください。

吉川: 私も他社の取り組みや施策について気軽に情報交換できる場があると非常にありがたいです。特に日立システムズは「育成文化」が根づいている会社だと思っており、その強みを他社にどう展開できるかといった視点で学びたいと思っています。

また、現場目線では、運営の“見える化”があるとさらに親しみやすくなるのではないかと思います。コミュニティ運営に関わっている人がどんな思いや方針で動いているのかといった、関わっている人の顔や想いが見えることで、「自分も参加してみよう」と思える人が増えるのではないでしょうか。

――最後にアルムナイの方へのメッセージをお願いします

伊藤:アルムナイコミュニティの魅力のひとつは、「前にいた会社がある」という安心感だと思っています。それは、地元や実家のような存在に近い感覚かもしれません。普段は意識していなくても、ふとしたときに戻りたくなるような場所。日立システムズで過ごした時間があったからこそ、「またつながってみようかな」と思えるタイミングが来る方もいると思います。

だからこそ、アルムナイコミュニティは「帰省するような気持ち」で気軽に参加できる場所であってほしいと思いますし、そんな感覚で関わってもらえるとうれしいですね。

田中: 会社を辞める理由は本当に人それぞれです。「しばらく距離を置きたい」と感じる方もいれば、「時間が経ったからこそ、また関わってみたい」と思う方もいるはずです。私自身も、日立システムズを辞めてからしばらく時間が経ってからこのコミュニティのご案内をいただき、「卒業生として何か力になれることがあれば」と思って参加させていただきました。

もちろん、全員が無理に参加する必要はないと思います。ただ、「やり残したことがある」「一度関わった会社だから何かできることがあれば」という思いが少しでもある方には、ぜひ前向きな気持ちで参加してほしいですね。

吉川: 日立システムズのアルムナイコミュニティは、まだ立ち上がったばかりで、今後どう形づくられていくのかは未知数な部分もあります。それでも、今日こうして座談会でお話しする中で改めて感じたのは、「日立システムズらしさ」は自分たちの中にしっかり残っているということです。

このアルムナイコミュニティにも、その“らしさ”がきっとにじみ出てくるのではないかと思います。「また縁があれば、誰かと仕事をするかもしれない」と思っている方には、ぜひ気軽に参加してほしいですね。

元日立システムズの人事としても、こうしたつながりの場はとても大切だと思っています。これからのコミュニティを一緒に作っていける仲間が増えることを、心から楽しみにしています。

※こちらは過去に日立システムズに在籍していた方専用のネットワークです

※導入に向けての事務局インタビュー記事はこちら