5月14日〜6月19日にかけて実施した連載ALUbumの「#辞めた会社とアルムナイを応援しよう」キャンペーン 。総勢15社31名が参加してくれましたが、そのうち6名を占めるのが、トレンダーズ・アルムナイです。
起点となったのは、2017年にトレンダーズを退職し、現在人事領域でフリーランスとして活動する佐藤奈菜子さん。SNSで本キャンペーンの存在を知り、他のアルムナイにも声をかけてくれたのだとか。
なぜ自分一人ではなく、周りの人に声をかけて参加しようと思ってくれたのでしょう? 参加した感想も合わせて、2人のトレンダーズ・アルムナイにお話を伺いました。
「前職に恩返しができる機会」はそれほど多くない
——連載ALUbumの「#辞めた会社とアルムナイを応援しよう」キャンペーンにご参加いただきありがとうございました!お二人はなぜ参加してくださったのでしょうか?
佐々木:私は佐藤さんに声をかけてもらって参加しました。単純にすごく良い取り組みだなと思ったんです。前職のトレンダーズには辞めてからもポジティブな印象を抱いていましたし、現社長の黒川さんのことも大好きなので、すぐに参加を決めました。
また、「お世話になった人への恩返しにもなるよ」と言われたことも決め手の一つです。つながりがあっても、「恩返しができる機会」はそれほど多くないですからね。
佐藤:私も同じような理由です。恩返しができるという意味では、直属の上司だった黒川さんが社長になられたタイミングだったことも参加した理由の一つ。
Webメディアというオープンな場で、形に残せることも魅力的でした。トレンダーズのPRにもつながるといいな、と。
——佐藤さんはご自身だけでなく、周りのアルムナイも巻き込んで参加してくれました。なぜですか?
佐藤:トレンダーズでは人事を担当していて、いろんなWebメディアに自社のメンバーを取材してもらうよう、働きかけていました。なので、今回もキャンペーンに参加するなら、「あの人もこの人も参加してほしい」と自然に思ったんですよね。
それに、さまざまな場所で活躍するいろんな視点からの記事があった方が、きっとトレンダーズにとってもいいだろうなと。
佐藤:今回はスケジュールの関係もあって、普段から連絡を取っているアルムナイを中心に声をかけましたが、「声をかけてない人もいるけど大丈夫かな?」と少し不安な気持ちもありました(笑)
「ALUbum」をきっかけに、3年ぶりに現社長へ連絡
——記事が公開されて、周囲の反応はいかがでしたか?
佐々木:今回のキャンペーンに参加していないアルムナイの反応には驚きました。
4年前に新卒で入社した際の同期から連絡をもらって。その内容が「私もやりたい」「ずるい!」というものだったんです。びっくりしたし、意外でした。
トレンダーズは一人一人の個性が強い会社でもあったので、良い意味で周りの人に対してそこまで興味はないのかと思っていて。だからこそ“古巣愛”みたいなものはそれほど持っていないと考えていたんです。トレンダーズのことは好きだろうとは思っていたけれど、“つながりたい”という想いを持っていたのが意外でした。
佐藤:私もそれを聞いて驚きましたね。みなさんの反応から、記事の内容をしっかり見てくれたように思います。
——私たちもうれしいです!なお、キャンペーンは終了していますが、「ALUbum」という連載自体は続きますので、「ずるい!」と思ったアルムナイの皆さんからの参加をお待ちしております(笑)
——話を戻しまして、現役社員の方からの反応はいかがでしたか?
佐藤:現社長の黒川さんに連絡したら、本当に喜んでくれました。「涙が出そうなほど嬉しい」と返信が来て、私もすごく嬉しかったです。現役メンバーからは「卒業したら自分も記事にしてね」なんて申し出もありました(笑)
——黒川さんとは普段から連絡を取っていたんですか?
佐藤:いえ、実は黒川さんに連絡をしたのは、退職後初めて。3年ぶりだったんです。そういう意味でも、今回のキャンペーンに参加できてありがたかったですね。
——「ALUbum」の記事が連絡を取るきっかけになったんですね。
佐藤:そうですね。久しぶりの連絡でしたけど、黒川さんから嬉しい反応をもらえたということもあって、すぐに昔と変わらない距離の近さに戻ってコミュニケーションが取れたのも嬉しかったです。同時に何だかトレンダーズらしいな、とも感じました。
前職の経験を振り返って「退職した理由」がより明確に
——改めて、キャンペーンに参加した感想を教えてください。
佐藤:自分自身を振り返る、良い機会になりました。トレンダーズでの経験を振り返ったり、想いを語ったりすることで、当時と今の心境の違いを感じましたね。
何を目指して、トレンダーズを出たのか。キャンペーンへの参加を通して、改めて整理することができて、よかったです。
佐々木:私も退職してちょうど1年と区切りが良いタイミングだったこともあり、自分自身を見つめ直す機会になりました。
例えば、社内での素早い情報共有やSNSでの情報のシェアなどは当たり前だと思っていたんですけど、「これはトレンダーズに勤めていたからこそ身についたスピード感だったんだ」と改めて気付きました。
他にもSNSで会社の人とつながったり、何気ないキャッチボールから議論がすぐに始まったりするのは、トレンダーズでは当たり前のこと。でも、転職してみたら当然その会社ならではの文化やスピード感があるので、トレンダーズ時代とはまた違いました。
こういうのは会社の外に出ないと気付けないことで、アルムナイだからこその発見だなと。
——他のトレンダーズ・アルムナイの記事で、印象的なエピソードはありましたか?
佐藤:私が声をかけたメンバーは普段から頻繁に連絡を取る間柄の人が多かったので、近況に関しての驚きは少なかったです。ただ「トレンダーズに対してそういう風に思っていたんだ」という意外性はありました。
前職への想いを共有することって、なかなかないじゃないですか。初めてみんなの想いにふれて、単純にすごくいいなと思いました。トレンダーズって仲が良いんだな、とも改めて感じましたね(笑)
佐々木:アルムナイではないのですが、現社長の黒川さんの記事に「復職の実例が増えてきている」というエピソードがあったのは印象に残っています。
佐々木:退職する人に対して「ちょっと長い夏休みを取るんでしょ?」「“修行”してくるんでしょ?」と、黒川さんが明るく声をかけていたことを思い出しました(笑)
経営陣、現役社員、アルムナイがそれぞれ、つながりを保ち続けるスタンスでいるからこそ、今の関係性が実現しているような気がしますね。
アルムナイ・ネットワークは「ないけど、ある」がトレンダーズらしさかも
——トレンダーズ・アルムナイの皆さんの「ALUbum」を見ていて、「アルムナイ・ネットワークがほしい」「なくてもいい」と双方の意見があったのが印象的でした。他の方の記事もご覧になった今、改めてお二人はどのように思いますか?
佐藤:皆さんの意見を見て、公式に近いアルムナイネットワークがあってもいいのかなと思います。私自身フリーランスとして働く中でアルムナイ からお仕事をいただくこともあり、実際にアルムナイ同士でお仕事をしている話もよく目にします。仕事を通したつながりがさらに活性化するのではないかと思いました。
また、退職後も近い業界内で仕事をしている人も多いので、ざっくばらんな相談ができると便利だと思います。仮に公式のネットワークができれば、在籍期間が異なる人も含めて、より広い範囲の人とつながれますよね。
佐々木:私は今でもトレンダーズ時代に所属していた部署のLINEグループで活発にやりとりをしています。「こういう事例知らない?」「このデータ調べたことある?」など、誰かが何気なく投げた質問に対して、現役社員・アルムナイを問わず返信合戦。しかも本当に連絡が早いし、みんな親身になって考えてくれるんです。
時には「このYouTuberが佐々木さんの会社の製品を紹介してたよ」と、製品の露出情報を共有してくれる人もいて、本当に頼りになる存在です(笑)。やりとりの中で私自身が気づきを得ることも多くありますね。
今はあくまで個別のグループですが、こういうやりとりができるしっかりとしたネットワークがあることで、助かる人もいるのかなと感じます。
ただ一方で、公式のネットワークをつくるのは難しいかもしれないとも思っていて。公式となると途端に義務感が出てしまって、誰が管理するのかといった、役割やタスクが発生してしまうと思うんですよ。
私自身もそうですが、トレンダーズの社風としても、義務的なものが好きではない人が多いと思うんです。楽しむことを重要視しているので、義務になってしまうとまた違うのかなと。「ないけど、ある」っていう、今くらいの感じがちょうどいいような気もしています。
佐藤:トレンダーズで人事をしていたとき、「トレンダーズって内部がわかりづらいよね」と言われることがよくあったんです。私自身トレンダーズらしさをどのように表現したらいいか、いつも考えていました。
会社の体制や事業の変化はもちろんあるけれど、何年経っても変わらないらしさもあると思っていて。今回のキャンペーンに複数名で参加することで、変わらないトレンダーズらしさを感じとってもらうことができるのではないか、という想いもありました。
——トレンダーズやサントリー、キャリアデザインセンター、アイタンクジャパンなど、複数のアルムナイが参加してくれた企業のALUbum記事を見ていて、まさに各社の社風が色濃く出ているのを感じました。たとえ退職しても「その会社のアルムナイならでは」の色があるというか。
佐藤:トレンダーズは制度に関しても「明文化されていないけれど実態や環境としてはある」ということが結構あって。制度化されたのは最近ですけど、アルムナイとのつながり自体は何年も前からあったんですよ。
そう考えていくと、「ないけど、ある」というのも一つのトレンダーズらしさなのかもしれません。佐々木さんが言っていたようにきっちりしすぎない、トレンダーズらしいアルムナイ・ネットワークが実現すればいいなと思います。
取材・文:藤江陽子 編集:天野夏海