
1961年創業、現在は全世界で7,000名以上の従業員を擁する東洋エンジニアリング(以下、TOYO)が、2025年春にアルムナイコミュニティを立ち上げます。
なぜ今、アルムナイへの取り組みに着目したのか。その背景や“人財”への思いなど、代表取締役社長の細井さんにお話を伺いました。
※こちらは過去に東洋エンジニアリングを自己都合退職(卒業)した方専用のコミュニティです
人的資本は日々変化するニーズに応える“生命線”
── まずは貴社の成長基盤の柱ともなる「人的資本」ついて、細井様のお考えをお聞かせください。
我々TOYOは、「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」をミッションに、エネルギーや素材、化学品などの製造設備のプラントエンジニアリングをメイン事業としています。
高い技術力とプロジェクトマネジメント力を武器に、世の中にあるさまざまなプラントのEPC(設計・調達・建設)に携わっているわけですが、創業から60年あまり、時代とともに環境や省エネ対策、プラントの大型化、カーボンニュートラルへの対応と、私たちへのニーズも日々変化してきました。
つまり、時代の流れとともに私たちも変化し成長していかなければならない。切磋琢磨しながら、あるいは自己研鑽を積みながら技術力やマネジメント力を高めて、そのニーズに応えていくことが重要で、それができるのはやはり“人財”以外のなにものでもないだろうと考えています。そうした意味でTOYOにとっての人的資本とは、決して欠かすことのできない“生命線”であり、最も重要な資本だと考えています。
── その「人的資本」の強化に向けて育成にも力を入れていらっしゃると伺いました。
はい。我々の仕事は高いプロフェッショナリズムによってお客様に貢献し、その価値に対して対価をいただくというものです。そのため、一人ひとりがプロとしての自覚を持ち、学び続ける人でいられるよう、社内の教育システムや研修制度などの充実にはこだわってきました。
具体的には、各自の専門軸を確立しつつ、その周辺知識も習得できるよう「TOYO Academy」といった社内講義を提供しています。これにより、各領域を分断せず、全体感を持った人財の育成を目指しています。また、「生きた知識」を身につけるため、現場実習を重視したOJTや、各階層・役割に応じたスキル研修も充実させています。
これらの取り組みを通じて個々の成長を促し、「学び続ける組織」としてお客様から頼られるプロフェッショナル集団を目指しています。
<プロフィール>
東洋エンジニアリング株式会社 代表取締役 取締役社長
細井 栄治(ほそい えいじ)氏
1959年10月生まれ、北海道出身。
1982年 北海道大学工学部卒、東洋エンジニアリング入社。
海外案件のプロジェクトマネージャーとして経験を重ね、2015年執行役員およびインドネシア現地法人(IKPT)社長就任。その後もプラント事業本部長 兼 プロジェクト本部長などを経て、18年常務執行役員、20年専務執行役員、そして2023年6月に代表取締役社長にご就任。
オフィス移転や仕事の変化など。アルムナイにとっても魅力的な環境に
── この春、いよいよアルムナイコミュニティを立ち上げることとなりました。これまで退職者/アルムナイについてはどのように考えていらっしゃいましたか?
これまで退職したアルムナイからは、さまざまな言葉をいただきました。その中でも特に印象に残っているのは、経営や業績に不安を感じて退職していった方が一定数いたということです。
そのため、私が社長に就任した際、はじめに掲げた目標は”経営の安定化”でした。アルムナイの皆さんも含めて、私たちにとって大切な人財を守るためには、まず安定した経営基盤を築かなければならないという強い思いがありましたし、それは今でも変わっていません。
── アルムナイの声が、経営基盤にも影響を与えたというわけですね。
そして今、アルムナイとの新たな関係構築が進んでいるということですが、その点についてもう少し詳しくお聞かせいただけますか?
例えば、新卒で入社した企業に長く勤めていても、しばらくすると「自分の能力をもっと活かせる場所はないだろうか?」「別のフィールドでチャレンジをしたい!」と考える人は少なくないでしょう。転職が一般的になった今、新しいフィールドで経験を積み、自己成長を実現している方はたくさんいらっしゃいます。
じつはアルムナイの中には、TOYOのお客様にあたる企業へ転職される方もいらっしゃいます。そうした方々は、お客様としての視点を持つことができるため、「どのような流れでTOYOに仕事を依頼してくれるのか」、また、「顧客がどんな課題に直面しているのか」を深く理解しています。こうした経験や知見は、TOYOにとって非常に貴重で、ビジネスニーズをつかむ上で大きな力になります。
もしこうした経験を持つアルムナイがTOYOに戻り、一緒に仕事をすることができれば、その価値は計り知れません。退職したからといって関係が途切れるわけではなく、そのつながりを持ち続けることが非常に重要だと感じています。アルムナイとの関係を継続することが、TOYOにとっても大きな意味を持つのです。
実際、TOYOを退職した後に某電力会社で働いているアルムナイが、現在はTOYOのパートナーとして協業しているケースがあります。このように、退職後も良好な関係を築いていくことは、双方にとって有意義で価値のあることだと思っています。
── こうした”会社の変化”はアルムナイにとっても良いことだと思いました。昨年のオフィス移転もそのひとつかと思いますが、移転に至った背景はどういったものだったのでしょうか?
世の中は日々、ものすごい速さで変化しています。私たちもその変化に対して迅速に対応・適応していかなければなりません。
実際、最近ではお客様の組織に入ってプロジェクトを進めていくなど、仕事の進め方にも変化がでてきています。こうした環境の下で更なる事業成長を成し遂げていくためには、活発なコミュニケーションが重要なポイントであることは間違いありません。
そのためには従来のように部門単位で動いていくような働き方を変えていかなければなりませんでした。そこで、思い切ってオフィスの移転を決断したのです。私たちが目指す「学び続ける組織」というのは、決して一人で実現できるものではなく、皆が集まり、共に学び合いながら成長する場所を作ることが、第一歩だと考えています。
── アルムナイにとっても、これまでとは全く異なる環境として映りそうですね。
はい、その通りです。現在は従来のEPC(設計、調達、建設)モデルから、非EPCモデルへの移行に力を入れています。それに伴い、経営基盤の安定化を図りつつ、従来のオイル&ガスに加え、カーボンニュートラルの取り組みや医薬品分野への注力など、事業は日々変化し、広がりを見せています。
このように、会社がさまざまな新しいチャレンジを行っている今、外の世界で経験を積んだアルムナイの知見や経験は、私たちにとって非常に価値があると感じています。そして、アルムナイにとっても新たな価値を提供できる、魅力的な環境が整ってきているのではないかと思います。
さらなる飛躍に向けて、アルムナイとともに歩みを
── 今後アルムナイコミュニティを通じて、取り組んでいきたいことはどのようなことでしょうか?
以前、非公式ではありますがアルムナイパーティーを開催したことがありました。当時はコロナ禍ということもありリモート開催でしたが、30名ほどの方々にお集まりいただき、非常に盛り上がりました。
今後、アルムナイネットワークを通じて、大々的なイベントや、交流の機会を設けていきたいと考えています。
また、新しいオフィスを見たいというアルムナイも多いのではないでしょうか。オフィスツアーなどを企画してみるのも面白いかもしれませんね。ぜひ皆さんにも新しいオフィスを見ていただき、会社の変化を感じていただければと思っています。
── 最後にアルムナイの皆さんへメッセージをお願いいたします。
アルムナイの皆さんはTOYOを卒業された後も、それぞれの道で大いにご活躍されていると思います。皆さんが積み重ねた経験や知見は、当社にとっても貴重な財産です。
退職したからどうこうという考えは一切なく、様々な形でまた一緒に仕事ができるのであれば、それは本当に素晴らしいことだと思っています。
オフィス移転をはじめ、TOYOは変革を強力に進めており、新たなフェーズへと進もうとしています。ぜひ、アルムナイの皆さんと意見交換をしながら、一緒にこのコミュニティを盛り上げ、会社・個人ともに成長していきましょう。
※こちらは過去に東洋エンジニアリングに在籍していた方専用のコミュニティです