2024年5月、株式会社オリエントコーポレーション(以下、オリコ)が、アルムナイネットワークを立ち上げました。
アルムナイネットワーク導入の先駆けとして、2022年に経験者採用を大幅に拡大。さらに2024年4月1日には、約30年振りに経営理念を刷新するなど大きな転換期を迎えています。
人事・総務グループ キャリアデザイン推進部で部長を務める栢野 勇一郎さんに、アルムナイネットワーク立ち上げの経緯や目的、今後の展望について聞きました。
※こちらは過去、オリエントコーポレーションに在籍していた方専用のネットワークです
多様な人材が活躍できる「出入り自由」な組織へ
ーーまず、アルムナイネットワーク導入の経緯を教えてください。
新卒・中途を問わず、多様性を受け入れる土壌を作りたいと思ったからです。きっかけは、ある外部関係者からの「同質的でやや内向きな組織ですよね」という一言でした。
新卒一括採用は、共通の価値観やバックグラウンドを持つ人材が集まりやすいので、チーム内のコミュニケーションが円滑に進みやすい傾向にあります。一方、組織全体の多様性が低下することもあり、創造性やイノベーションが制限されてしまう。キャリアアップを望む若手社員の中には、新しいチャレンジを求めて職場を変える人もいます。
ーー「新卒で入社した会社に定年まで勤め上げる」というキャリアパスは少数派で、むしろキャリア・スキルアップのために転職する若者が増えていると聞きます。
人材の流動性が高まる中で、退職した従業員が数年後にまた戻ってこられるような関係を築くことが大切だと考えています。たとえ戻らない場合でも、アルムナイとビジネスパートナーとして関わりを持てるようにすることが重要です。たとえ何年かかろうとも、退職者が「また一緒に働きたい」と思える環境整備が必要だと感じていました。
ーー従業員のエンゲージメントを高めるうえで、過度に同質性の高い集団形成はリスクになることもあると。
一概には言えませんが、多様性が少ない組織では、イノベーションが起こりにくく、環境変化への適応も難しくなることがあるかもしれません。これにより、企業の競争力に影響を及ぼす可能性も考えられますよね。グローバル化が進む現代では、ダイバーシティの重要性が年々高まっています。企業が持続的に成長を遂げるために、多様な視点やアイデアを積極的に取り入れていきたいと考えています。
こうした背景から、当社は社内風土の抜本的な変革を進めるために人事制度を刷新し、経験者採用を通年化することとなりました。
従業員の自律的キャリア形成を後押しするアルムナイの存在
ーー人事制度の刷新がアルムナイネットワーク導入のきっかけになったんですね。
そうですね。新しい人事制度の主な目的は、優秀な人材確保と従業員の自律的なキャリア形成の支援です。自律的なキャリア形成を実現するには、アルムナイとのビジネス協業が不可欠となります。他社の事例を調べるうちに、外部で活躍するアルムナイとの交流は、従業員のキャリア形成に役立つはずだと思いました。
ーーこれまで、アルムナイとの関係構築のためにどのような取り組みを行ってきましたか?
当社はこれまで、勤続3年以上且つ退職後5年未満の社員を対象としたジョブリターン制度を実施してきました。この制度は、現場のオペレーション業務経験者で育児がひと段落した女性が利用するケースが多く、実質的には「再入社を希望する者のみ」に限られていたんです。
アルムナイと今よりも良い関係を築くためには、多様なバックグラウンドを持つアルムナイがより参加しやすい形に改善する必要がありました。
アルムナイネットワーク導入における懸念点を払拭するために
ーーアルムナイネットワークを立ち上げるまでに、苦労したことや大変だったのはどんなことですか?
社内の不安要素を取り除くことですね。アルムナイネットワーク導入で得られる会社へのメリットや成果が不透明で、社内からは懸念の声が上がっていました。他社の人事担当者へのヒアリングや事例を参考にしつつ、丁寧に説明を重ねる必要がありましたね。
あとは、アルムナイネットワークの位置づけや、社内の意識改革への影響についても苦労した点です。再雇用ありきのネットワークでは、優秀な人材獲得と従業員の自律的キャリア形成という本来の目的を達成できないのではないか、社内の抵抗感が大きいのではないかという不安もありました。
アルムナイネットワークを「出入り自由な環境」と位置づけ、オリコの新たな魅力として発信していく戦略を打ち出すことで、社内の理解も得やすくなったと思います。
ーーアルムナイネットワークの導入は、競合優位性を高め、採用における企業ブランディング強化にもつながりますね。
そうですね。アルムナイの存在が現従業員に刺激を与え、また、一度離れたことでアルムナイ自身も会社の魅力を再認識するきっかけになります。アルムナイが社外で築いた人脈が、当社にとって新しいビジネスチャンスを生む可能性も秘めていますし、アルムナイからのリファラル採用にも期待しています。
今後は、様々な経験を積み活躍しているアルムナイに、ロープレ大会やビジネスコンテストの審査員として登壇してもらい意見を聞く、みたいなこともやっていきたいですね。
社内の組織改革とアルムナイメンバーの連携を強化
ーー今後、会社としてアルムナイとどのような関係性を構築していきたいですか?
Win-Winの関係性を築いていきたいですね。リリース情報を定期的に配信したり、交流会を開催したりする予定です。
アルムナイと従業員がタッグを組んでビジネスアイデアが生まれやすいような仕掛けづくりにも取り組んでいきたいと考えています。
あとは、インターナルコミュニケーションとして社員に配信している、社長の各種インタビュー記事や社員が活躍している記事などのコンテンツ発信ですね。当社の“今の姿”を知っていただくとともに、応援してもらえたら嬉しいです。
ーーいずれ、アルムナイと従業員が海外事業で連携する、なんていう可能性も・・・?
十分あり得ると思います。当社は現在、東南アジアで海外事業を展開しています。タイ、フィリピン、インドネシアで自動車ローンを中心に事業を拡大中です。
海外ビジネス経験が豊富なアルムナイとのネットワークを活用できれば、現地のビジネス展開にも大きなメリットがあると考えています。
70年かけて積み上げてきた社風や組織体制を一気に変えるのは容易ではありませんが、時代の変化に適応し、持続的な成長を実現するためには必要なことです。
アルムナイネットワークの構築をきっかけに、社内の意識改革を促し、多様性を受け入れる組織風土を醸成していけたらと思います。
ーー最後に、アルムナイへのメッセージをお願いします。
やっぱり、アルムナイとの絆を今後も大切にしていきたいです。退職したらさようならではなく、いつでも戻ってきていただきたいと思っています。
※こちらは過去、オリエントコーポレーションに在籍していた方専用のネットワークです