【アルムナイ対談】公庫の経験は“一生モノの武器”になる——卒業生が語る職員の強さと、互いを高め合うネットワークの可能性

日本政策金融公庫 中小企業事業(以下、公庫)のアルムナイネットワークが発足してから約2年。卒業生=アルムナイは、公庫での経験をどのように活かし、また現役職員や組織にどのような形で還元できるのか。
今回は、経営コンサルタントとして活躍する重松さん、家業の経営企画に取り組む宮本さんの2名のアルムナイを迎え、現役職員であるアルムナイ事務局メンバーも交えてお話いただきました。

※過去、日本政策金融公庫 中小企業事業本部に在籍していた方専用のネットワークです

■ 対談者プロフィール

重松さん
公庫を卒業後、公益財団法人日本生産性本部 専属の経営コンサルタントとして、中小企業の経営支援から上場企業の管理職研修、生成AI活用講座など、多様な領域で活動。

重松さんのプロフィール写真

関連URL:
2025年度第1回生産性シンポジウム開催
ジャパン・アルムナイ・アワード個人部門 2年連続受賞
全能連マネジメント・アワード2025 コンサルタント・オブ・ザ・イヤー受賞

宮本さん
公庫で融資実務と企業派遣(出向)を経験した後、実家の家業へ。経営企画室長として、DX推進、広報、採用ブランディング、新規事業の立ち上げなどに携わり、様々なプロジェクトをリード。

宮本さんのプロフィール写真

関連URL:
イセキヤ工務店
イセキヤ寿
yorimici-ベーカリー

公庫時代で培った「卓越したスキル」

「元公庫」が生む信用

まず重松さんが語ったのは、公庫時代の経験が外の世界で驚くほど評価されるという点でした。

重松さん:
公庫を離れて初めて、公庫という看板がどれほど強い信用力を持っているか実感しました。中小企業の経営者の中には、金融機関に対して緊張感を抱く方が少なくありません。そんな中でコンサルタントである私が金融機関出身者の目線で会話できるというだけで経営者にとって大きな安心につながります。「公庫にいたなら間違いないね」という信頼が、コンサル活動において大きな力になっています。

話を整理し、正しく言語化する力

次に挙げられたのが、公庫で鍛えられた言語化の精度です。

重松さん:
コンサルタントとして現場に入ると、合意事項や課題を正確に記録し、誰が読んでも齟齬のない文章にまとめることが非常に重要です。しかしこれを高いレベルでできる人はあまり多くありません。公庫でりん議作成や面談記録を日々積み重ねてきた経験が、結果的に大きな武器になっていました。何が重要で、何を記録すべきかを瞬時に判断する力が、公庫の職員には身についています。

期限から逆算する段取り力

さらに、仕事の組み立て方にも強みがあると言います。

重松さん:元大企業・有名企業の役員クラスの方でも、いざ自分一人で期限から逆算して仕事を構築するとなると、意外に難しいことが多い。期日を守るために執念を持ってやり切る力は、公庫の職員が持つ大きな特徴だと思います。どれだけ良い戦略を描いても、期日までに実行できなければ意味がありませんから。

研修講師をする重松さん

※研修講師をする重松さん

厳しさと温かさから育む「人間力」

次に宮本さんから語られたのは、公庫時代に関わった人たちから受けた影響についてです。

対談をしている重松さんと宮本さん

企業派遣で学んだ現場のリアル

宮本さん:
長年の融資業務ももちろんですが、企業派遣(出向)を通じて、中小企業のリアルな現場を当事者として経験できたことが大きな財産になりました。今の家業で直面する課題にも、慌てず優先順位をつけて取り組むことができます。組織は違っても、経営の本質は共通しているため、私の確かな土台になっています。

本気の指導による強みの言語化

もう一つ挙げたのが、上司からの厳しくも温かい指導のエピソードです。

宮本さん:
若手時代の課長には厳しくご指導いただきましたが、それだけ本気で向き合ってくれていたのだと思います。「あなたは机上で考えるより、飛び込んで経験から学ぶタイプだね」と特性を見抜いたアドバイスが、私の誰よりも人に会い、行動するスタイルのきっかけになっています。自分の強みを言語化してくれた、唯一無二の指導だったと心から感謝しています。 

公庫職員が持つ内に秘めた熱量

公庫職員の根底に流れる「熱い想い」へのリスペクトについても語ります。

宮本さん:
公庫の職員は一見控えめでも、内側には中小企業を助けたいという情熱がふつふつと湧いている。そうした熱量を持つ人たちが集まっていることこそ、公庫の最大の魅力だと思います。

事務局から見たアルムナイネットワークの価値

ネットワーク発足から2年。事務局としては、アルムナイの存在が大きな価値を生み始めていると感じています。

採用活動での市場価値の証明と、現役職員のエンゲージメント向上

採用の現場では「公庫の経験が外でも通用するのか」という質問を受けますが、アルムナイの活躍事例は、その答えとして非常に説得力があります。
また、現役職員向けの研修でアルムナイの声を紹介すると、職員から「自分の仕事の社会的意義を再認識できた」という声が寄せられます。アルムナイは、現役職員の誇りとやりがいを高める存在にもなっていると感じます。

外部の視点が組織をアップデート

誰かの声で制度が変わったという結果も大事ですが、それ以上に外からの率直な視点が入ることで、組織特有のフィルターを外すきっかけになっています。アルムナイの皆さんは、公庫の良さも課題も、誰よりも理解してくれています。アルムナイが定期的に今の組織にも触れてくれることで、公庫がよりアップデートされていく手応えを日々感じています。


社会を支えるパートナーとして共に歩むネットワークへ

最後に、このネットワークを今後どう育てていきたいかについて語り合いました。

事務局メンバーとアルムナイが対談をしている様子

共通のDNAを持つ仲間同士のシナジー

宮本さん:
これからはアルムナイ同士の交流をもっと強めていきたいです。公庫出身という共通項を持ち、現在は異なる業界で活躍する仲間同士が、困った時に相談し合ったり、知見を共有したりできることは大きなメリットです。また、地方でもアルムナイ同士で情報交換ができたり、現役職員がふらっと相談に来てくれたりする心理的な距離の近さを築くことで、互いの視野も広がるはずです。

信頼できる専門家集団であり、公庫を映す鏡

重松さん:
既にアルムナイ同士の連携は始まっています。私は公庫出身の税理士の方に顧問をお願いしていますが、深い理解に基づく安心感があります。こうした信頼できる専門家集団であることは、このネットワークならではの価値です。また、公庫がより良くなるための建設的な意見も伝えていければと思います。外から見れば今の時代、公庫の制度がどのように変化していくべきか、伝えることができます。他が急速に変化している今、公庫がさらに魅力的な組織になるための鏡でありたいです。

公庫をより良くし、アルムナイ同士が高め合う場へ

アルムナイの皆さんは、公庫を卒業した後も、同じ志で社会を支えるパートナーです。
アルムナイの声を現役職員へ還元しながら、アルムナイ同士も刺激し合い成長し続ける場にしていく。
そして、現役職員が誇りを持って働き、アルムナイも胸を張って交流できる、風通しいの良いネットワークとして共に育てていく。そのような未来が期待されます。

対談メンバーでの記念写真

※過去、日本政策金融公庫 中小企業事業本部に在籍していた方専用のネットワークです