JBSがアルムナイネットワーク導入1年目に6名の再雇用を実現した理由「社員の意識も変えることでアルムナイに対して前向きな姿勢を示せた」

2022年11月より「JBSアルムナイ・ネットワーク」の運営を開始した、システムインテグレーターの日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)。

アルムナイネットワーク運営開始から1年がたった今、同社では6名のアルムナイが再入社をしています。その要因はどこにあるのか。事務局のお二人に聞きました。

日本ビジネスシステムズ株式会社
HR戦略本部採用センター センター長 松井友明さん(写真右)
HR戦略本部採用センター 神谷拓馬さん(写真左)

※こちらは過去にJBSに在籍していた方専用のネットワークです

「戻れないと思っていた」アルムナイに、歓迎の姿勢を示せた

——アルムナイネットワークを立ち上げて約1年。実際に運営してみて、いかがでしたか?

松井:アルムナイの皆さんからは「良い取り組みだと思う」「応援したい」「今のJBSのことが知れてよかった」といった好意的なフィードバックを多数いただきました。

アルムナイネットワークを始める前はどのような反響があるか全く想像がつかなかったので、素直にうれしかったですね。アルムナイネットワークが良いものだという話は他社の人事の方から聞いていましたが、具体的にどう良いのかはわからない部分もありましたから。

事実、アルムナイネットワークを運営する中で発見したことはいろいろありました。設立前からJBSを客観視する機会になることを期待していましたが、アルムナイの皆さんから「風通しが良い」「人間関係が良い」といった声が多くあり、自分が思っていたJBSの良さを再確認した1年になりました。

また、社内システムを評価する声があったのは意外な発見でした。社員にとっては日常的に使うシステムであり、どうしてもマイナス面に目が向きがちですが、外の世界を知るアルムナイの評価が高いということは、それだけ良いシステムだということ。こういった声は社内にも伝えていきたいと思います。

神谷:私は2023年3月に中途入社し、アルムナイネットワークの事務局に入りました。当初はアルムナイという言葉すら知らず、正直なところこの取り組みにどのような価値があるのかわからなかったんです。

ただ、アルムナイの皆さんと密にコミュニケーションを取る中で、今では企業として間違いなくやるべきものだと感じるようになりました。

——なぜそう思うようになったのですか?

神谷:社内の退職への意識の変化やアルムナイの再入社につながるなど、さまざまな価値があると実感できたことが大きいです。

例えば、当社では採用部門がアルムナイネットワークの事務局を担っており、ネットワークの運営を開始してから6名のアルムナイが再入社しています。

従来の日本企業では「辞めた人が戻ることはあり得ない」という雰囲気があったと思いますが、今の雇用情勢や人手不足を考えればそうは言っていられません。

当社もまた中途採用に苦戦していますが、そのような状況の中、当社を卒業し、外の世界で経験を積んだアルムナイが再び当社に戻ってきてくれるのは本当にありがたいことです。

——アルムナイネットワークの存在は、アルムナイの再入社にどう影響していますか?

神谷:アルムナイにインタビューを行ったところ、以下のような声がありました。

「戻りたい気持ちはあったが、戻れるとは思っていなかった」

「引き留められたのにも関わらず退職してしまい、戻れるわけがないと思っていた」

こうしたアルムナイの考えに対し、アルムナイネットワークはJBSが再入社を歓迎している姿勢を示すことになったのだと思います。

実際に再入社したアルムナイの中には「アルムナイネットワークがあることが再入社する決め手になった。戻っておいでという誘いだけだったら戻らなかったと思う」という人もいました。

松井:アルムナイネットワークは「戻ってきてもいいんだよ」というメッセージを会社として宣言するのと同じ意味を持ちます。もちろん社員によって退職への考え方はさまざまですが、少なくとも会社としての公式な姿勢を示せます。

松井:ただし、「いつでも戻ってきてください」というスタンスではあるものの、選考は通常通り行います。どういうキャリアを歩んできたかは当然見ますし、アルムナイもまた、当社の成長や変化など、元社員だからこそシビアな目線でチェックするでしょう。

だからこそ「自分のキャリアのためになるのか」「JBSに貢献してくれるのか」というのはお互いフェアに、対等な立場で判断したいと思っています。

人間関係が濃いからこそ「いつでも戻れる」を伝える必要がある

——1年目で6名ものアルムナイが再入社しているのはすごいことだと思います。
  再入社を歓迎するという会社の姿勢に対して、アルムナイが応えてくれているのはなぜだと思いますか?

神谷:もともと根付いているJBSの文化が影響しているように思います。私はまだ入社1年足らずですが、入社して印象的だったのは社員同士の関係性の深さ。退職後だけでなく、在籍時から上下関係を問わず交流があります。

一般的にはアルムナイが辞めた会社を訪れるハードルは高いと思うんです。「あの人と再会したら気まずい」「退職時に揉めた上司がいたらどうしよう」と思ったら、気軽には参加できないじゃないですか。

当社ではこれまでに3回、福利厚生の一環として運営している社内カフェ「Lucy’s CAFE & DINING」でアルムナイと社員の交流会を開催していますが、毎回10名以上のアルムナイが参加してくれています。それだけ良い辞め方をしている人が多いということだと思いますね。

そうやって在籍時からの関係性の良さが退職後もきちんと続いている文化こそ、アルムナイネットワークが活発に動く要因だと感じていますが、松井さんいかがですか?

松井:全部話されちゃったな(笑)。本当のところはわからないですが、アルムナイの皆さんがそう感じてくれていたら良いですね。

——その一方、アルムナイからは「戻れないと思っていた」という声があったと聞きました。それだけ良い関係性がありながら、戻れないと思ってしまっていた理由をどう考えますか?

松井:人間関係が濃いというのは、離職者からすると「やめると決断した手前、今更JBSに戻りたい」と言いづらくなってしまう面もあるのだと思います。

だからこそ会社の方針として、アルムナイとつながりを持つことが重要です。

辞めた人が戻ってくることを受け入れる姿勢を会社が示せば、アルムナイは「戻ってもいいんだ」と思えるでしょうし、社員もまた戻ってくるアルムナイに対して「一度やめたのに納得できない」という態度でいることができなくなります。

実際、アルムナイという言葉が世の中に広まり、自社が取り組みを始めたことで、社内の雰囲気や社員の考え方が変わりつつあるような気がしています。

例えば、カンパニーミーティングに歌手として活動する元社員がゲストで来てくれたとき、その方に「アルムナイネットワークを作ったからいつでも戻っておいで」と社長が冗談まじりに言って、場が盛り上がりました。社風の変化を実感できてうれしかったですね。

個人的な付き合いから、アルムナイは会社の財産へ

——他にアルムナイネットワークを導入したことによる効果はありますか?

神谷:採用の観点ですと、忌憚ない意見をいただいています。例えば条件面。人間関係や社風は高く評価していただいていますが、年収面でネックになるといった声があり、採用課題として認識しています。リアルで貴重な意見ですので、地道にできることから改善していきたいですね。

神谷:あとは、「JBSと契約することができました」といったビジネス連携に関する連絡をアルムナイの方からいただいたことがありました。わざわざ報告をしてくださることがうれしいですし、そういうコミュニケーションの場所を提供できたこと自体が一つの成果だと考えています。

松井:退職者に対して「ぜひアルムナイネットワークに登録してください」と案内できることで、人間関係が希薄にならずに済むようになったのは大きいと思います。

当初は「もう辞めるんだから放っておいてほしい」くらいに思われてしまうかもしれないと懸念していたのですが、実際はポジティブな反応をいただけることがほとんど。「退職後もつながりを持ちましょう」という会社の想いを想像以上に受け入れてくれているのを感じています。

>>導入時のインタビューはこちら
『JBSがアルムナイネットワークで表明するメッセージ「卒業生の活躍を応援する」』

——「会社を辞める」ことへの考え方にも変化がありそうです。

松井:そうですね。例えば、就活生向けの会社説明会では「仮にJBSに入って辞めることがあったとしても、アルムナイネットワークを通じてまた戻る選択肢もある」と若手社員が言っていました。

やはり若い人はキャリアを柔軟に考えているのだなと時代の変化を感じると同時に、会社説明会で辞める話をすることに衝撃を受けました。でも、たしかにその通りなんですよね。

——アルムナイに対する考え方や価値観の変化についてはいかがでしょうか。

神谷:交流会でアルムナイの皆さんと話す中で、「こういうことがしたい」「もっとこうしてほしい」といったご意見をいただき、想像以上に期待値が高いことを実感しました。

そういう意味でもアルムナイネットワークの価値を感じているので、2年目以降もしっかりとネットワークを動かしていかなければと改めて思います。

松井:広い言い方をすると、従来は個人的な付き合いにとどまっていたところから、アルムナイが会社の財産になったように感じています。それはアルムナイネットワークによって「アルムナイと退職後もつながりを持ち続ける」という会社の姿勢を示したからこその変化ですね。

また、私は社歴が長いので面識があるアルムナイも多いのですが、皆さん根本的なところは当時のまま、外に出たことでたくましくなっているのを感じます。自分の成長に真摯に向き合っている方がアルムナイネットワークに参加してくださっているのだと思いますね。

そうしたキャリア自律の姿勢は社内の人間が見習わなければいけない部分です。アルムナイの皆さんにとってただの良い会社で終わらず、刺激を受けてもらえるような会社を目指さなければと考えています。

お互いにギブアンドテイクができる関係性を目指したい

>>JBSアルムナイ・ネットワークへの登録はこちら(過去にJBSに在籍していた方専用のネットワークです)

——アルムナイネットワーク設立2年目に入り、今後取り組みたいことはありますか?

松井:引き続き再入社の門戸を開いていることをしっかり示し続けたいです。JBSには良い人が多いこと、働きやすい環境があることを、アルムナイネットワークを通じてアピールしたいですし、またJBSで働きたいと思ってくれるアルムナイの力になれるように尽力したいと思っています。

神谷:再入社した人の中には、社員と個別にあった際にアルムナイの取り組みについて聞き、それがきっかけで戻ってきてくれた人もいました。そういう意味では、社内にアルムナイネットワークを正しく理解してもらうための動きも必要だと考えています。

また、アルムナイネットワーク自体の可能性は非常に大きいと思っているので、再雇用だけでなく、他の価値創出も考えていきたいと思っています。

例えば、情報交換。会社の取り組みに関する情報をおおっぴらに公開することはあまりありませんが、個人同士の関係性において情報交換をすることはありますよね。そういったことはアルムナイネットワークという場だからこそやりやすいでしょうし、お互いにとってメリットがあるはず。人事や技術的な情報交換など、できるといいなと思います。

毎回の交流会には社員も積極的に参加してくれているので、そのパワーを生かせるといいのかなとイメージしています。

松井:ギブアンドテイクの観点でいえば、アルムナイの皆さんに副業や業務委託などをお願いできるようになると、アルムナイの皆さんにとってのメリットにもなると思っています。

ただ、仕組みの部分でクリアしなければいけない課題は多々あります。

例えばお客さまのシステム開発において、アルムナイに仕事を依頼するのは現実的ではありません。アルムナイの多くは同業他社に転職していますから、そういう面でも厳しいところはあります。元社員とはいえ、ノウハウ流出のリスクも考えなければいけません。

ハードルはありますが、こちらからのギブがなければテイクはありません。アルムナイの皆さんにJBSから何を提供できるのか、しっかり考えていきたいです。

——改めて、アルムナイの皆さんとどのような関係性を築いていきたいですか?

神谷:気軽に相談してもらえる関係性になりたいです。今はまだ壁があり、アルムナイネットワーク上でやり取りしにくいと感じている人もいると思っています。

アルムナイの皆さんが気軽に発信できるような雰囲気を醸成するためにも、アルムナイ同士の関係性を温めたり、事務局側で空気を作ったりといったことをしていきたいですね。

松井:これまで通りの関係性をベースに、もう少し踏み込んでお互いにギブアンドテイクができるようになるといいなとイメージしています。

そのためにも自走できる環境をつくることを意識し、将来的には「アルムナイネットワークで盛り上がっているあの件なんですけど」といった会話が生まれるのが理想です。

あとはシンプルに、交流会などを通じて、アルムナイの皆さんにネットワークを引き続き楽しんでいただきたいですね。

地方にいるアルムナイの皆さんがある程度の人数で集まれるようであれば、交流会の地方開催もやってみたいです。実は西日本や中部の拠点にも立派な「Lucy’s CAFE & DINING」があるんですよ。


アルムナイの皆さんからのリクエストがあれば実現しやすいので、参加希望の方はぜひアルムナイネットワークで教えていただけるとうれしいです。

レストランで食事をしている人達

自動的に生成された説明
Lucy’s CAFE & DININGでの交流会の様子

※こちらは過去にJBSに在籍していた方専用のネットワークです