多様なバックグラウンドを持つアルムナイやその家族にインクルーシブな体験を。特別企画「ボッチャでSDGs」実施レポート

2024年8月3日(土)最高気温35℃を記録した暑い夏休みの1日に、多様なバックグラウンドを持つOfficial-Alumni.com*ご利用者とそのご家族をお招きして、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)をテーマとしたイベントが実施されました。

※Official-Alumni.comは、弊社の運営するアルムナイネットワーク運営特化のSNSサービスです

Official-Alumni.comとコラボレーション。
ボトムアップのD&Iコミュニティ“ODAN”

今回ご協力いただいたのは、現在日本オラクル株式会社でキャリアを歩むSCSKアルムナイ加藤康宏さんです。

加藤さんは、障害の有無に関わらず困難な状況にある社員を支援し職場環境を改善するオラクルの従業員グループODAN(Oracle Diverse Abilities Network)の日本の共同リーダーで、障害者職業生活相談員として社員の支援活動や啓蒙活動、グローバルチームとの連携を行っています。

加藤さんが推進するODANと、多種多様な方がユーザーとしてご利用くださっているOfficial-Alumni.comがコラボレーションする形で、夏休み特別企画「ボッチャでSDGs」開催の運びとなりました。

ODANは、障がいのある方々やそのご家族・友人を支援し、ともに働きやすい環境づくりを目指すコミュニティです。日本オラクルではインクルーシブな職場環境を創り出すために、D&Iの活動もトップダウンだけではなく、自らの意思で手を挙げるボトムアップ、つまり社員主体の活動を重視しています。今回のボッチャイベントは、そんなボトムアップの社員コミュニティであるODANメンバーが考案した独自ルールのボッチャを、「不自由体験ワークショップ」という形で実施しました。

ODANメンバーの皆さんは、これまでも自社内でこのワークショップを複数回実施されてきました。例えば昼休みの時間など、開かれたイベントとして社員に開放してきたそうですが、社外の方にワークショップを提供するのは今回が初めての試みです。

会場となった日本オラクルのオフィスは、日頃からダイバーシティに関わる活動に従事している方や、お子様の自由研究のテーマに興味を持ってくださった方などで賑わいました。

待ちに待ったワークショップの始まり。
「多様性って何?」「そこで求められるインクルージョンって?」

冒頭で加藤さんがご挨拶と共に、参加しているお子さん達にもわかりやすいよう「ダイバーシティとは」というご説明をしてくださいました。

▲加藤さんの説明に興味津々の参加者達

近年小学校などで「ダイバーシティ」の言葉を聞く機会は増えていますが、「インクルージョンとは?」と問われた時に答えられるお子さんは中々いないかもしれません。

加藤さんによると

左が同じ人だけのグループ、右が色々な人が混ざったグループです。
同じ種類の人同士で集まった左の方が一見うまく行きそうですが同じ種類の人たちだけで集まってしまうと、実は他の種類の人たちとの間には、見えないけれど大きな壁が出来上がってしまう。そして、その時にできてしまう「壁=バリア」は私たちが思っている以上に厚く高いもので、お互いのことを知り合うために大きな障壁となります。
分かれていた方が仕事がやりやすい気もしますが、実際は仕事の進みの速さや新しい事を思いつく力が、右のほうが生まれるものです。
それなら、この壁は取っ払ってしまって、青も赤も皆で一緒にやった方がうまくいく、そんな考え方が、「インクルージョン」という考え方です。

とのこと。

大人から子供まで、興味津々で耳を傾けます。

次はいよいよお待ちかねのボッチャタイム。

今回の「不自由体験ワークショップ」は、先述の通り、通常のボッチャとは異なる独自ルールで実施します。

参加者は、自分で引いたカードを元に、前が見づらいサングラスをかけたり、腕を固定したり、車椅子に座るイメージをしたり、「不自由」を体験しながらゲームに参加します。

「思っていたよりボールがよく見えない!」「腕がうまく動かないけどこれくらいならボールを飛ばせるよ…!」会場のあちこちに皆の熱中する声が溢れます。

▲例えば「視野狭窄」の「不自由」を体験するのは、見え方の異なる様々なメガネです

「不自由」を体感した方は、その「不自由さ」を受け入れてどのようにすれば目的を達成できるのか、またその際にどのように伝えることで周囲の方と手を取り合うことができるのかを考えます。

周囲の方は、当事者の「不自由さ」の理解に努めることはもちろんのこと、さらにサポートの必要有無を尋ねることが求められます。

キーワードは、「お手伝いすることはありますか?」。

どんなに不自由でも、挑戦する気持ちのある人を不用意にサポートすることはここでは望まれません。サポートが必要ないことがわかったならば、それでお互いが気持ちよく別れることができる。そのためには、「まずは聞いてみる」ことが大切なのです。

▲「お手伝いは必要?」「うん、もう少し前に移動して欲しい。」

車椅子を模した椅子に座ったままで、どうお手伝いしてもらったら、狙った場所にボールを投げられるか?お手伝いをする人と一緒に考えながら進めます。

どうしたらゲームを勝利に導けるか?皆で対話をしながら、会場はますます熱意に包まれます。

2時間のイベントはあっという間に終了しました。

ダイバーシティの本質とは。
多様なアルムナイが集うネットワークが持つ可能性

今回のイベントを通して参加者の皆さんから多くコメントいただいたこと、そして私たちハッカズークの運営メンバーとしても改めて学んだことは、

「ダイバーシティ・インクルージョンの本質は、お互いを知ること、そのために自分について伝えていくこと」

こちらに尽きます。

私たちハッカズークでは、日頃から「アルムナイ」という概念もビジネスの場面でダイバーシティを捉える上でとても大切な視点であると考えています。

企業の視点で見ると、ビジネス上の戦略の1つとして、多様な環境に巣立ったアルムナイを自社の「社外人的資本」として捉え、積極的にコラボレーションを推進しているネットワークも多くあります。

また、アルムナイの皆さんの視点でも、退職した企業や、多様な環境に身を置く退職した仲間同士で繋がることは、ビジネスの面でもプライベートの面でも多くの可能性を秘めており、予期せず新しいビジネス機会やキャリア開拓の機会を得たというお声もよく耳にします。

今回のワークショップを通して学んだインクルージョンの本質をアルムナイの文脈に置き換えると、かつて同じ企業に属していながら今は様々なバックグラウンドを持つアルムナイ同士でも「お互いを知ること」、そして「そのために自分について伝えていくこと」がとても意義のあることで、その先にお互いにとってまだ見ぬ価値の可能性が広がっているのではと期待に胸が広がります。

実は今回、加藤さん及びODANメンバーとのコラボレーションも、加藤さんが所属するアルムナイネットワークを通してボッチャワークショップについて自らご紹介してくださったことがきっかけでした。

ご自身が今取り組んでいること、出来ること、やりたいこと、そんな様々なことを少しでもオープンにしてくださった暁には、きっとそれに反応してくれるアルムナイがたくさんいるはずです。

成長機会、イノベーション創出。D&Iのその先に待ち受ける可能性は、未だ計り知れません。

この先、アルムナイネットワークを背景に、多様な環境に身を置くアルムナイの皆さんがお互いを知り合うことで、まだまだ想像もできないような化学反応が見られることを、私たちも願って止みません。

▲イベントが終わり、すっかりパパの顔の加藤さん。お疲れ様でした!