水ing株式会社(以下、水ing)は「生命の源である『水』を通じていつまでも社会に貢献し続ける『ing』」を経営理念に掲げ、水処理施設(浄水場、下水処理場、汚泥再生処理センター、し尿処理場、民間施設等)の設計・建設から運営、維持管理までをトータルに手掛けています。
同社は2025年3月にアルムナイと退職後も関わりを継続する「水ingアルムナイネットワーク」の運用を開始しました。立ち上げにかける想いや今後の展望について、同社代表取締役社長 安田 真規 氏と管理本部 人事統括部長 大坪 英昭 氏にお話を伺いました。
※過去に水ingに在籍していた方専用のネットワークです
「戻ってきたくなるような良い会社を目指す」
ーー水ingアルムナイネットワークを立ち上げた背景を教えてください。
安田:社会全体として雇用の流動性の高い時代になり、転職がそれほど珍しくなくなりました。当社社員も例外ではなく、ほとんどの方が「転職」という選択肢も持ちながら、ご自身のキャリアプランの実現やスキルアップのために、当社で勤務してくれていると思います。実際に当社から転職される方の中には水ingの事業に対する想いはありつつも、ご自身の目指すキャリアやご家庭の事情によって転職を決断されたケースが見受けられます。実際、他社へ転職された方からは、「外に出てみて改めて水ingの良さに気づけた」と有難い言葉をいただくこともありました。
経営者の立場としても、当社社員は専門知識や資格を保有する人材が多く、退職を機に関係性を途切れさせてしまうことはあまりにもったいないと感じています。そういったアルムナイのみなさんともう一度つながることで、水ingでの再活躍の機会と双方にとって価値のあるビジネス協業の機会を創出することを目指し、アルムナイネットワークを立ち上げました。
ーーこれまで企業としてアルムナイとはどのような関係性だったのでしょうか。
安田:個人間でアルムナイとつながっている方はいましたが、企業としてアルムナイと関係を築くことは出来ていませんでした。企業としてアルムナイとつながり続けるためには、「どのように送り出すか」がより重要になると感じています。
私も先日、新たに退職される社員を送り出しました。個人の想いとしてはもっと当社で活躍してほしかったのですが、新たな挑戦をされるという話を聞いて、心から応援したいと思いました。その方には「戻ってきたくなるような良い会社にしていくから、もしもう一度水ingで挑戦したくなったら連絡してほしい」とお伝えしました。
アルムナイネットワークは元社員であれば誰でも再入社できる制度では決してないですが、もう一度水ingで働きたいという方への門戸を常に開き、戻ってきたくなるような環境を整えていきたいと思います。
変革の指針「水ing2025」
ーーアルムナイネットワークの構築は水ingにとって大きな変革の一つと伺っています。その変革の指針となっている中期経営計画「水ing2025」について教えてください。
安田:水ingの中期経営計画「水ing2025」には、「2050年の水ing流街づくり」というテーマがあります。人が暮らす場所には、必ず生活を支える水資源の循環とインフラ整備が必要です。そのため、水ing2025では「2030年までの貢献分野」として、①水から広がる循環型インフラの構築、②地域社会の多様化に対するインフラ管理の高度化、③人々の生活を支える災害に強いインフラの整備、の3つを定め社会課題に取り組んでいます。
ーー各項目の具体的な取り組みについて教えてください。
安田:①循環型インフラの構築について、脱炭素を背景とした循環型経済への移行が進む中、当社は資源回収に重点を置き、資源循環技術の開発を通じた貢献をしています。具体的には、下水汚泥を対象とした高効率・低コストでリン除去・回収を行うシステム「リフォスマスター」によって、リンを回収します。回収したリンはお客様が肥料として販売することで、資源を循環させています。
②インフラ管理の高度化について、当社のお客様である自治体に対して総合的な支援を実施しています。少子高齢化で働き手が減っていく中で、当社のお客様である自治体も同様に人手が不足しています。特に技術系の職員についてはほとんどの自治体で採用難に陥っていると聞きます。採用難だけでなく、少子化は自治体の財源確保にも打撃を与え、コストを抑えながらも高い技術による改革が必要とされています。そんな状況下で、当社が自治体に対して何ができるのか。当社としてもこれまでの事業の延長線上ではなく、水道広域化やAI利用・DX化によるサービスの提供など、新たな挑戦をしていきます。
③災害に強いインフラ整備について、当社は自然災害が起きてしまった時に素早く正確に復旧することはもちろん、自然災害が起きても被害を最小限に抑えるインフラ施設づくりに取り組んでいます。「水ing流街づくり」ではそうした災害に強いインフラ施設が市民の安心安全な暮らしを実現する未来を創造しています。
選ばれる会社になるための人事変革
ーー事業の転換に伴い、人事の在り方も大きく変化しているのではと推察します。水ing2025を達成するために取り組んでいる人事施策について教えてください。
大坪:これまでの仕事の受注の仕方や進め方が変わっていることに伴い、社員に求めるマインドやスキルも変化しています。そのような背景から人事として注力しているテーマがいくつかあります。
その中でも特に大きなテーマは、2023年に制定した「水ingバリュー」です。 「水ingバリュー」はミッション・ビジョンを実現するために、全社員が共有すべき考え方や働き方を表した共通の価値観です。人事としては、社員一人一人への「水ingバリュー」浸透に向け人事制度から改革を行いました。
具体的な施策をあげると、ラインマネージャー以上の役職者には360°評価を取り入れており、その評価軸の一つに「バリューを体現しているかどうか」という項目をいれ、浸透を促しています。水ingバリューは社内でもかなり浸透し始めていて、社員が同じ方向性を向いて仕事ができていると感じています。
ーー社員一人一人のマインドの変革も重要な人事施策に位置づけられているのですね。スキル面での注力施策はどのようなものがあるのでしょうか。
大坪:部署を横断するプロジェクトを推進できる多角的な視点を持つ人材の計画的な育成に注力しています。若手社員には異なる部門での経験を計画的に積んでもらうことで、早期からの活躍を見込んでいます。次期経営層となるラインマネージャーにも、経営人材として必要なスキルや経験を積むことができる制度構築を検討しています。
ーー他社で新しいスキルや知見を獲得した水ingアルムナイが活躍することもできそうですね。
大坪:そうですね。アルムナイの再活躍には期待しています。アルムナイネットワークを立ち上げてまだ数か月ですが、すでに再入社が1名生まれています。当社はキャリア入社の社員が多くおり、水ing入社以前の経験を活かして活躍してくれています。アルムナイは水ingの社内風土や仕事の進め方への理解を持ち合わせながら、他社で得た水ingにはない知見を還元してくれるはずです。
ーー人事として、今後どのようなことに注力していくのでしょうか。
大坪:これからの時代は「選ばれる会社」になる必要があります。当社で得られるスキルや経験、報酬や福利厚生、働く人の良さなど総合的に訴求できるような会社になっていきたいです。具体的な取り組みとしては、執務職では借上社宅の入居期限や公的資格手当の見直し、昇給水準の改善、若手選抜ローテーション制度導入等を進めています。また、フィールドエンジニア職については、25年10月から新人事制度を導入します。他にも初任給引上げ、シニア人事制度の再構築、労働条件の全般的な見直し等を進めています。
社員一人一人が「水ingバリュー」を体現し、「水ing2025」で定めた計画を達成することで、会社として大きく成長することが重要だと考えています。
水ingの変化を知ってもらいたい
ーーアルムナイの取り組みを通じて、社内にどのような影響を与えていきたいですか?
安田:社内外両方を知っている人物だからこそ、今の水ingに的確なアドバイスをいただけるのではないでしょうか。
当社ではキャリア入社比率も増えていて、実は私もキャリア入社なのですが、外を知っているからこそ、客観的な目線で課題に向き合うことができました。今当社で活躍している社員も社内外で培った経験を活かして、活躍してくれているように思います。
外を知っていてなおかつ水ingのことも良く知っているアルムナイの皆さんから継続的にご意見をいただく機会を作ることで、再入社に限らず社内で良い影響を与えあうことができるようになると思います。
ーー最後にアルムナイにメッセージをお願いします。
安田:これまで当社に貢献してくださったことに心から感謝しています。当社はこれからも変わり続けていきます。多様な分野でご活躍されているアルムナイの皆さんにもその変化を知ってもらいたいです。
水ingアルムナイネットワークは、当社への再入社を考えていない方も大歓迎です。水ingアルムナイの皆さんにとって、開かれたコミュニティを目指しています。お気軽にご参加ください。
※過去に水ingに在籍していた方専用のネットワークです