挑戦も失敗も、大きな愛に包まれていたからこそ。サントリーでの経験を糧に“私らしい”夢の叶え方を実現

サントリーアルムナイの加藤愛梨さんにお話を伺いました。サントリー退職後、子どもと大人のバディプログラム「We are Buddies」を立ち上げられた加藤さん。“人と人とのつながり”に想いを馳せながら、何事にも前向きに挑み続けるその姿からは、サントリアンらしい温もりとバイタリティが溢れています。

白い壁の前に立つ女性

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※過去にサントリーホールディングス㈱、サントリー食品インターナショナル㈱に在籍していた方専用のネットワークです

まさに「やってみなはれ」。大きな挑戦からはじまったサントリーでの社会人生活

── サントリーには新卒で入社された加藤さん。なぜサントリーを選んだのでしょう?

私は中学3年から高校3年までの4年間をオランダで過ごしたのち、日本の大学に進学しました。緑豊かなキャンパスに、自由で平和な雰囲気。学生もみんな学ぶ意欲にあふれていて、オランダでの生活の延長のような、とてものびのびしている環境で大学の4年間を過ごしました。

日本の企業で働くことを目指し就職活動をはじめたのですが、そこで私が見た日本人の働く姿はとても驚くものでした。朝の通勤ラッシュで見る人々の精神的に疲れ切った表情、本音を隠し仮面をかぶって会社の説明をする担当者の方々…。オランダや大学内で見てきた光景とはあまりにも違いカルチャーショックを受けたのと同時に、もしかしたらこの違いは“本当の意味で心を開ける誰か”がいるかいないか?にあるのかもしれない、と感じたんです。

そして、これから社会人として仕事をする中で、一人でも多くの日本人にそんな“心を開ける誰か”がいる社会をつくりたい、と。
そういった人と人とのつながりにおいては「食」や「お酒」がカギになると思い、その軸でさまざまな企業を見ていく中、一番私らしくいられる場所はここだ!と感じたのがサントリーだったんです。

何回か面接を重ねましたが、どの面接もなんだかいつも爆笑で終わっていたんですよね(笑)。なかなか自分を出せないことが多いのですが、自分がリラックスできていることが自分でも不思議で、ここでなら自分らしく働けるかもしれない!と思い、入社を決めました。


── 入社後はどのようなお仕事をしていましたか?

配属先はビール事業部のブランド戦略部(当時)で、半年間のOJTののち、すぐに新商品の開発に携わりました。入社間もない私に「新商品やってみようか!」と、これぞまさに「やってみなはれ」ですよね。夏の限定商品をコンセプトづくりからすべてメインでやらせてもらえたんです。
とはいえもちろん、大変なことも失敗もたくさんありました。
そんなときには厳しいご指導もいただきましたが、それでも人として、そして“一人前”として扱ってもらえたことに大きな喜びを感じたことを覚えています。
それから3年半ほどビール事業部に在籍したのちに、原料部へ異動。1年半ほど在籍した原料部ではサントリーウエルネスで扱う商品の原料調達を担当していました。


── サントリアンとしてトータルで5年間。かなり充実した日々だったかと思いますが、退職に至った経緯はどのようなものだったのでしょうか。

一人でも多くの人に、“心を開ける誰か”を──。就職活動をしていた当時の私が抱いていたこの想いとサントリーでの5年間で培ったものは、確かに繋がっている感覚はありました。ただ一方で、より自分らしいアプローチの仕方が他にもあるのでは?とも感じていたんです。私は、“商品”を通してではなく、もっと直接的な“人”とのかかわり合いによってこの想いを形にしたい。その方がもっと力を発揮しながら、自分自身も楽しめるのではないか、と。

そこでサントリーを退職し、仕事でもプライベートでもコミュニティにまつわるさまざまなチャレンジをしてみようと決意しました。
本当にたくさんの人に助けていただきながら、レベルの高い仕事に挑戦させてもらった5年間。ときに厳しいご指導をいただいたのも、みなさんが愛を持って向き合ってくださったからこそで、私にとって非常に価値のある時間だったと感じています。

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子どもと大人のフラットな信頼関係を。小学生との出会いをきっかけに生まれた「We are Buddies」

── では次に、現在代表を務められている「We are Buddies」について、まずは立ち上げに至った背景をお聞かせください。

サントリーを退職したのちにシェアハウスに住んでいたんですが、あるときそこにお子さんのいるファミリーが入居されて、小学校一年生の男の子と一緒に暮らすことになったんですね。私はずっと子どもとは無縁の生活でしたし、どちらかというと苦手だったのですが、その子と仲良くなるにつれて、それまでの私が子どもに対する先入観を持っていたことに気が付いたんです。私が大人だからといって、彼に何かを教えてあげなければいけないわけでもないし、むしろ彼から教えてもらうことも多い。彼が日に日に成長していく姿を見ながら、そんなフラットな関係性でつながっていられることの喜びや大切さを知り、これを自分の中だけにとどめておくのがもったいないと感じるようになったんです。

子どもにとっても自分の人生を見守ってくれている大人がいるってとてもいいことだし、保護者の方にとってもきっといい。さらには、子どもの虐待など大きな社会課題の予防にもなるかもしれない…。この視点でいろいろと調べていく中、子どもと大人が“バディ”になる団体がオランダにあるということを知り、これだ!と。そして2020年3月に「We are Buddies」を立ち上げました。


── まさに、加藤さんが長年抱いていた想いにもつながっていますね。具体的にはどのような活動をしているのですか?

「We are Buddies」は、5才から18才の子どもを対象にバディとなる大人をマッチングして、保護者の方を含めた信頼関係づくりをサポートしている団体です。主には、学校に行かない選択をしているお子さんや、発達の特性があるお子さんなど、同年代の中でのお友達作りが苦手で「心の孤立のリスク」があるお子さんが対象です。一方大人のバディは、紹介制で決まった信頼あるボランティアの方で、私たちは、子ども・大人・保護者のマッチングと、信頼関係構築をサポートしています。

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縁側でおしゃべりするバディズ

── この活動は、オランダにすでにあった団体から学んだ部分も多いのでしょうか?

立ち上げの際、まずはオランダに詳細を聞きに行きさまざまなことを教えてもらいました。今でもときどき現地で話を聞きながら、新しい学びを得たり情報交換をしたりしています。
ただオランダとの大きな違いに、バディとなる大人のボランティアを探す難しさが挙げられます。オランダは、就職やボランティアの際に、犯罪歴証明書を提出するのが当たり前の文化で、過去5年間犯罪がない人を対象としボランティアを一般募集しています。日本では証明書の発行ができません。なので、現時点では紹介制、もしくは信頼のできる大学や企業で説明会をして、そこで十分な理解のうえで手を挙げてくださった方に限らせてもらっています。
その結果お子さんにマッチングをお待たせしてしまうこともあり、ここに関しては課題感も感じています。


── やってみてわかったこと、想定外だったこともさまざまあるのですね。

そうですね。思っていた以上に共感してくださる方が多かったことも、ある意味では想定外でした。シェアハウスでの男の子との出会いがきっかけで立ち上げ、当初は“私が楽しめること”だったこの活動が、こんなにも多くの方から必要とされていたんだと。たくさんの問い合わせをいただいている今、いかに多くの家庭が孤立状態にあるのかを感じています。ひとり親家庭に限らず、単身赴任などを理由にワンオペ状況になっていてお母さんが孤立していたり、保護者の間で子どもの話ができていなかったり、近所に親戚や友達がいなかったり…。一見何の問題もない家庭でも、たとえばそこにいる誰か一人が病気になってしまったときに、子どもにとって頼れる人がいなくなってしまう可能性もある。「困っている人」と「困っていない人」って実は大して差はなくて、「我が家は大丈夫」と思っていても、いつ何が起こるかわからないんです。
また「We are Buddies」では、保護者の方とボランティアの信頼関係を作ることも大切にしています。我が子を“バディ”として見守ってくれている誰かがいて、親である自分と同等の温度感で子どものことを話せる。これは保護者にとってとても安心できることで、結果的に子育てにおける孤立感の解消にもつながっているのではないでしょうか。

── 子どものみならず、ひとつの家族にとって大きな存在となっていますよね。 加藤さんが感じる、このお仕事の醍醐味をお聞かせください。

このプログラムに参加してくれたお子さんやそのご家族の人生を、いつまでも見守り続けることができるのが、私にとっての大きな醍醐味です。
たとえばお子さんの就職や結婚、子育てに一区切りついた保護者の方の近況などを耳にすることもあって、それが本当にうれしいんですよね。人生いろいろあるけれど、細く長く見守ってもらえる。そんな経験を一人でも多くの人ができたらいいな、と思いますし、見守る方も、自分ではない誰かの人生を味わわせてもらっているような感覚で、これは私にとって最高の喜びです。

とにかく「やりきる」!今も生きるのは、サントリーで学んだ仕事への向き合い方


── サントリーでの経験で、今のお仕事に生きていることはどのようなことでしょうか。

まず一つ目に、仕事に取り組む姿勢です。当時私がいた部署には、とことん一生懸命に仕事をする方が本当に多かったんですよね。あの、手を抜かずに仕事に向き合うバイタリティは非常に学びになりましたし、当時の先輩方にはとても感謝しています。
もう一つは、従業員みんなが仲の良いサントリーのカルチャーです。社内でもプライベートの話をしたり週末にバーベキューをしたり、仕事仲間でありながら日常のことも知っていて、それを仕事に活かすこともできる。これは、今の事務局メンバーとはもちろん、プログラムに参加しているお子さんや保護者の方との関係性づくりに生きていると実感します。


── 最後に、現役サントリアンへメッセージをお願いします。

社内外問わず“人を大事に”することを体現しているのがサントリー。とてもすばらしいことですし、ぜひこれからもどんどん形にしていって欲しいです。そしてもちろん私にとっても、“人を大事に”は大切なテーマ。この想いをしっかりと胸に抱きながら「We are Buddies」の活動をより多くの方に届けていきたいと思っています。
それぞれ持ち場は異なりますが一緒にがんばっていきましょう!

▼ We are Buddies
https://wearebuddies.net/

※過去にサントリーホールディングス㈱、サントリー食品インターナショナル㈱に在籍していた方専用のネットワークです