「また一緒に何かできる」──SISでつながった二人が、今も支え合える理由

さくら情報システム株式会社(以下、SIS)で上司・部下としてともに働いていた島さんと白石さん。技術開発部の立ち上げ期に出会い、大学院派遣制度を通じて深い対話を重ねたおふたりは、退職後も関係を絶やすことなく、いまもお互いを支え合う関係を続けています。

現在はそれぞれ異なる業界で、ITアーキテクトやサイバーセキュリティの専門家として活躍する傍ら、「共通の経験をもとに語り合える関係性」の価値を実感しているといいます。

SIS時代に築かれた信頼関係、環境の変化を経て変わった関わり方、そしてアルムナイとして共に見据える未来について、お話を伺いました。

過去、さくら情報システムに在籍していた方専用のネットワークです

「大学院派遣制度」がきっかけで出会った二人

島さん(写真左)、白石さん(写真右)

ーーまずはおふたりの現在のお仕事について教えてください。

白石:
私は現在、金融機関の技術部門でサイバーセキュリティを担当しています。インフラ全般に関するセキュリティ強化が主な業務で、企画立案から、SOC(セキュリティ・オペレーション・センター)やCSIRT(インシデント対応チーム)の運営、行員向けの教育・トレーニングなど、幅広い領域を担当しています。

島:
私はベンチャーで、ITアーキテクトとして働いています。クラウドやSaaSをフル活用して、スクラッチ開発に頼らない業務システムをつくっているのが特徴です。事業を届けるための技術設計や仕組みづくりを担っています。
昔はオンプレミスや独自開発が主流でしたが、今は「小さな会社でも安全かつスピーディーにITを使える環境」をつくることに注力しています。

ーーおふたりが最初に接点を持たれたのはいつ頃だったのでしょうか。

白石:
私がSISに入社したのは2019年の6月です。当時、社内に「大学院派遣制度」があると上司から聞き、興味を持って制度の話を聞きに行ったのが、島さんとの最初の接点だったと思います。
たしか、目黒事業所の1階にある打ち合わせブースで面談をしていただいた記憶があります。

島:
ああ、あれが最初でしたか。当時私は、新しく立ち上げた「技術開発部」の部門長を務めていて、社内外の経験を活かして新しい事業を創る、というミッションのもとで動いていました。
その一環として、外部の大学院やベンチャー企業に社員を”越境”のような形で送り出す取り組みを作り上げていたんです。 社内公募で希望者を募ったところ、手を挙げてくれたのが白石さんでした。

「もう一度、きちんと学び切りたい」期待以上の学びを得た再チャレンジ

ーー白石さんはなぜ大学院派遣制度に参加しようと思ったのですか?

白石:
以前、自費で社会人大学院に通った経験があるのですが、仕事との両立が本当に大変で、思うように学びが得られなかったんです。だからこそ、会社の支援を受けてもう一度チャレンジしたいと思いました。本当にありがたい機会でしたし「今回はきちんと学び切りたい」という気持ちが強かったですね。

島:
あの時は、最初の1年は大学院がメインで2年目からは技術開発部がメインという形でしたよね。 大学院の研究に集中しながら、必要なときにはチームミーティングや壁打ちの時間も持っていて。 当時から本当に熱心だった印象があります。

ーー大学院での学びを通じて、おふたりの関係性も深まっていったようですね。当時はどのようなやり取りがあったのでしょうか

白石:
1年目には大学院での学びを主務として配属されたこともあり、講義と研究にかなり集中させてもらっていました。 チームミーティングへの参加は最低限にしつつ、島さんとは個別に研究の進捗や内容について壁打ちする機会が多かったです。
振り返ると、大学院の先生よりも島さんと話していた時間の方が長かったかもしれません。

島:
本当にたくさん話しましたよね。白石さんは「どうやってSISに還元するか」を常に考えてくれていました。研究テーマの中身だけでなく、「その学びをどう活かせるか」という視点での相談も多かった印象です。
単に修了するだけじゃなく、プラスアルファを持ち帰ろうとする姿勢が、すごく頼もしかったです。

白石:
ありがとうございます。最初の大学院は自費だったので、単位を取るだけで精一杯でした。 その反省もあり、今回はとにかく多くのことを吸収したくて、2年間で40単位ほどが必要なところ、70単位以上取りました。
専門分野であるセキュリティだけでなく、他の大学にも聴講に行ったりして、自分なりに手を広げたつもりです。

島:
送り出した側としては、そうやって自分から学びに行ってくれるのは本当に嬉しいんですよ。こちらの用意した機会を超えて学んでくれていたので、どうしても期待が高まりました。

大学院の教授以上に「自分を引き出してくれた存在」

ーーその後、おふたりはそれぞれ新しい環境に移られたとのことですが、当時のやり取りや心境を覚えていらっしゃいますか?

白石:
島さんの退職については、突然知ることになりました。
技術開発部から企画部門に異動したタイミングで、「あれ? 島さんがいない」と気づいて。後から「実はもう辞められていた」と聞いて、かなり驚きましたし、正直、ちょっとショックもありました。
でも、退職された後も、「SISとの関係はまだ続きます」とおっしゃっていて、それがすごく印象に残っていました。 その意味が気になって、しばらくしてから自分で調べて、今の会社にいらっしゃることを知りました。
島さんの名前がITマイスターの名簿にも載っていて、「こういう活動をされているんだ」と。

島:
調べてくれたんですね。

白石:
はい。退職後にすぐ直接連絡を取ったわけではなかったんですけど、心のどこかでずっと「島さん、今なにやっているんだろうな」と気になっていました。
島さんが現在働いている会社のイベントに参加したこともあって、「島さんが登壇されるかな」と思って、ちょっとドキドキしていました。

ーー久しぶりに再会したとき、お互いにどのような印象を持ちましたか?

白石:
私が退職してしばらく経ったあと、オンラインでお話をさせていただいたのですが、ものすごく久しぶりなのに、全然違和感がなかったんですよね。数年ぶりなのに「あの頃の続き」のように自然に話ができて、すごく不思議な感覚でした。

島:
私も同じことを感じていて、時間が空いている感じがしなかったんですよね。 学生時代の友人と久々に会った時のように、昔みたいにすっと話せる感じでした。

白石:
それは当時、島さんとすごく深く対話してたからだと思うんです。 研究の話もそうですし、自分の考え方をどう言語化するか、みたいなところまで相談させてもらっていたので。
正直、大学院の教授よりも、島さんの方が「自分を引き出してくれた」と思っています。

島:
それは嬉しいですね。私自身も、あの頃は白石さんとのやりとりを通じて、「どうすれば相手が話しやすくなるか」「考えを深められるか」みたいなことを、すごく意識していました。
当時から、社外でのコミュニティ活動やアジャイル開発の現場でもファシリテーターをしていたので、その経験も活かせたと思います。

白石:
私自身、今の職場でファシリテーションを求められる場面が増えてきて、あらためて島さんの“場のつくり方”がすごかったんだなと実感しています。 相手の立場や温度感に合わせて空気を整えるというか、「安心して話せる雰囲気」を自然につくってくださっていたんだと、今になって気づくことが多いです。

会社を離れても、“また一緒に何かできる”関係に

ーー今後、おふたりで何かご一緒に取り組みたいことや、構想していることがあれば教えてください。

白石:
私は今、セキュリティの仕事をしていますが、日々の業務のなかで「組織を超えて知見を共有できる場がもっとあったらいいのに」と感じることがあります。セキュリティって、どうしても話すのにハードルがあるんですよね。機密性も高いし、ちょっと間違うと誤解も生まれやすい。
しかし、同じ会社にいた経験がある人同士なら、前提も共有できているから、踏み込んだ話もしやすいんじゃないかと思っていて。 たとえば、アルムナイ同士でセキュリティに関する悩みや気づきを持ち寄れるような、クローズドな「語りの場」がつくれたらいいなと思っています。

島:
それ、すごくいいですね。私は今、副業を通じて、「どうすれば人が主体的に動けるか」といったテーマで、組織開発のお手伝いもしているのですが、そのなかでも「安心して話せる場をどう設計するか」が一番難しくて、一番大事なんです。
だからこそ、信頼関係があるアルムナイ同士でそういう場を立ち上げるのは、価値があると思います。私が場の設計や進行役として関わることもできると思いますし、もし白石さんが中心になってそういうテーマを扱う場があれば、ぜひ何らかの形で一緒にやれたらうれしいですね。

白石:
ありがとうございます。私も、参加者というより“つくる側”の立場に立ってみたいと思っていたので、すごく心強いです。まずは小さくでも、始めてみることが大事ですよね。

ーー最後に、アルムナイネットワークに期待していることを聞かせてください。

人, 男, 写真, フロント が含まれている画像

自動的に生成された説明

白石:
もともと同じ会社にいたというだけで、分野や世代が違っても、安心して話せる空気があるのがアルムナイの面白さだと思うんです。Slackのようなオープンな場もいいですが、特定のテーマで集まれる分科会のようなものがあったら、もっと深い対話ができるんじゃないかなと感じています。

島:
私も、アルムナイネットワークが「本音を話せる場」になっていくことにすごく期待しています。単なる情報共有にとどまらず、悩み事も言えるような関係性が育っていくといいですよね。
お互いにキャリアのステージが変わっても、フラットに相談し合える関係は本当に貴重だと思います。

白石:
会社を離れても、またこうして一緒に何かをつくっていける可能性があることが嬉しいですし、そうしたつながりが、他のアルムナイの方たちにも広がっていけばいいなと思います。

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