2025年4月、SCSK株式会社(以下、SCSK)がアルムナイネットワークを発足しました。同社は、2024年にソリューション事業グループにて、試験的にアルムナイネットワークを導入し、1年後の2025年4月に全社展開に至りました。全社展開にあたり、この取り組みを開始した背景や今後アルムナイと築いていきたい関係について、執行役員 専務 人事分掌役員の清水康司さんに伺いました。
※こちらは過去SCSK株式会社に在籍していた方専用のネットワークです
“共創”によって新しい価値が生まれる場に
ーー御社はこれまでも業界に先駆けて、働き方改革や健康経営に取り組まれてこられたと思います。そういった中で、今回アルムナイの取り組みを開始された背景について、お聞かせいただけますか?
当社では、働きやすい会社、働きがいを感じられる会社を目指して、さまざまな取り組みを進めてきました。働き方改革や健康経営への取り組みもその一つです。その評判を聞いて当社を選んでくれた新卒社員もキャリア採用の社員も多くいます。それでもやはり一定数の方は退職を選択されます。これまで退職した方と会社の関係性ができていないことによって、その後皆さんがどのようなキャリアを歩んでいるのか、また本当の退職理由など把握できていない情報がたくさんあるのではないかと常々感じていました。
「アルムナイ」という言葉はよく耳にするようになったものの、どんな人たちが登録してくれるのか、どんな活動が行われるのかは正直なところ未知数で、やってみないとわからない状態でした。「退職者」といっても数年で退職される方もいれば、10年以上経ってから退職される方もいらっしゃいます。当社は2011年に2つの会社が合併してできた会社であり、会社に対する想いもそれぞれでしょう。そこでまずは、ソリューション事業グループ限定で試験的にアルムナイネットワークを導入し運用を開始しました。結果的には、想像していた以上に、社歴などに関係なく多くの方が登録してくださいました。
ーー既に登録者は200名を超えて大きなコミュニティになっていますね。これまで退職者との関係性はどのようなものだったのでしょうか?
これまでも元同僚や先輩・後輩として会ったり、飲みにいったりなど一部の個人的な交流やつながりはあったと思います。私自身はもともと経理の仕事に携わっていたのですが、年に一度、退職した方も含めて経理部に所属していた人たちで集まる機会がありました。振り返ってみると、あれはアルムナイの取り組みだったなと思いますね。退職後どこで仕事をしているか、他社ではどんなことをしているかなどを聞いたり、「今度グループ会社ができるから手伝ってほしい」と声をかけて戻ってきてもらったりすることもありました。ただ、こういった取り組みは社内でも限定的だったと思います。
ーーこれまでも退職者とのつながりはあったのですね。ただ、それは個人的な範囲に限定されてしまっていたと。今回公式にアルムナイネットワークを全社に展開することになった背景を教えていただけますか?
昨今は人材の流動化が進んでいます。IT業界では人材不足も相俟ってさらに活発になるといわれています。当社の業務を経験して外で活躍されているケースや、あるいは他社で活躍していた人が当社で貢献してくれたり、一度辞めたけれども戻ってきてくれたりするケースなど、それぞれについてプラスなのかマイナスなのかについてはさまざまな意見があります。そうした中で「アルムナイ」という形でネットワーク化することによって、何か見えてくるものがあると思っています。アルムナイ同士がつながることによって何か新しい動きが生まれるかもしれません。例えば、約3年で当社を退職した方と、10年以上在籍して退職した方がネットワークを通じて出会えたとしたら、キャリアについての悩みを相談できる先輩が見つかるかもしれません。初対面であっても、「SCSK」という共通の基盤があれば、共通の話題もあるでしょうし理解度もきっと深いはずです。
当社は経営理念に「夢ある未来を、共に創る」を掲げています。人と人が出会い、色々な考え方が組み合わさって新しいものができ、そこから新しい価値が生まれる。これは真実だと思っています。そういう出会いやコミュニケーションできる場をできるだけたくさん創ることが大切で、その取り組みの一つとして「アルムナイ」を位置付けています。
人との関係は出会いを創ることでしか生まれない
ーー御社を取り巻く環境の中で、アルムナイとの関係構築が御社の成長にどのように寄与するとお考えでしょうか?
直接的に事業の発展にどう結びつくか、どのような効果があるのかといったところは正直なところ私たちにもまだわかりません。ただ、IT業界全体が人材不足に直面している中、競争は業界内に留まらず、あらゆる事業会社がITやAI活用のために人材を求めています。こうした環境下において、当社を退職され、さまざまな分野で活躍されている方々との関係性は、私たちの事業拡大において非常に重要だと考えています。その中には当社を退職後に起業された方もいるかもしれません。そうした方々とは、当社が支援をして一緒にビジネスを大きくしていくという可能性もあるでしょう。
このような関係は出会いを創ることでしか、生まれないと思っています。実際、現場ではたまたま取引先に「数年前までSCSKで働いていた」という人がいて、ビジネスがスムーズに進んだことがあるという話も聞きます。当社のアルムナイの皆さんが多方面で活躍してくださることで、SCSKの中で学んだことやどんな会社かということを広めてくれ、ネットワークが広がっていき、より価値のあるものになっていくと思っています。将来的には「SCSK」という共通のキーワードで、何か新しいものが生まれるようなコミュニティに発展していくとうれしいですね。
ーー”人との関係は出会いを創ることでしか生まれない”まさにその通りですね。現在SCSKで活躍されている現役社員の皆さんにとっては、このアルムナイネットワークはどのような影響を与えるとお考えでいらっしゃいますか?
現役社員の皆さんにとっては、新たな視点や気づきを得られる良い機会になると考えています。SCSKの文化だけで育ってきている人と、一度それを知った上で外に出て、外の世界を知っているアルムナイが交流することで「外にはこんな世界がある」とか「意外と外の世界は厳しいよ」とか「SCSKの良いところはこういうところだよ」とかそういった会話が広がっていくことで社員一人一人がより自分の進みたい方向へ進めるようになるのかなと思っています。
これはキャリアにとってもそうですし、仕事以外においてもです。ひょっとしたら仕事以外のコミュニティで「そんな活動があるんだったら参加してみたいです」っていうこともあるかもしれません。もちろん、会社の中で仕事をすることに働きがいを感じてもらうことを目指していますが、社員一人一人が、個人として幸せを感じることの中には、仕事だけではなくさまざまなコミュニティでの活動があると思っています。そのツールの1つとしてアルムナイネットワークを活用できると良いですよね。
雇用を超えたつながりが、新しい価値創造のきっかけに
ーー今後アルムナイとどんな関係性を築いていきたいですか?
できる限り、皆さんが集える場を設けていきたいですね。ネットワークの中でもいくつかテーマを設定して、その小さなコミュニティの中から交流が生まれ、やがて想像もできないような何か新しいものが生まれてくるようなことが起こってほしいですね。テーマによっては現役社員も加わって議論をしたり、仲間づくりができたりするとより良い効果が生まれるのではないかと思っています。
ーー最後に、アルムナイの皆さんへメッセージをお願いします。
もしかしたら、参加することに少しハードルを感じられているアルムナイの方もいらっしゃるかもしれませんが、かつてSCSKで一緒に働いた仲間が集うコミュニティが既に存在しています。ぜひお気軽に参加いただけると嬉しいです。退職によって、人との繋がりが切れてしまっていることもあるかもしれないので、そういった方々にもこのネットワークを活用いただけると嬉しいですし、SCSKとしても、会社の最新情報の発信や集える場の提供をしていきたいと思っています。参加といっても何か義務が発生するわけではありません。ご自身のご都合があうタイミングや興味のある時に顔を出してもらえると嬉しいです。「輪が広がる」ことに興味があればどなたでもジョインしてください。お待ちしています。
※こちらは過去SCSK株式会社に在籍していた方専用のネットワークです