「退職で終わらない、企業と個人の新しい関係を考える」をコンセプトとしたメディア「アルムナビ」で、「#辞めた会社とアルムナイを応援しよう」キャンペーンを実施しました。
アルムナイ(会社の退職者、OB/OG)が、辞めた会社および同じアルムナイへの応援メッセージを連載「ALUbum」の記事にして届ける企画です。
2020年5月14日より約1カ月間に渡りメッセージを募集し、総勢15社31名が辞めた会社とアルムナイへの想いを綴ってくれました。
今こそ注目したい「古巣企業とアルムナイ」の関係性
新型コロナウイルスにより、企業も個人も大きな影響を受けました。経済的に大変な状況となったり、心理的に苦しい思いをしたりしている人も少なくありません。今後もいつ収束に向かうのか見通しのつかない状況です。
加えて、外出自粛要請により対面で人と接する機会が減少。新しいつながりを広げる機会は減り、オンラインのみで信頼関係を築く難しさにも直面しています。
そんな中、近しい価値観や共通言語を持ち、既知の仲である古巣企業とアルムナイおよびアルムナイ同士のつながりは、お互いを助け合い、勇気づけられるものになるのではとアルムナビは考えました。
「#辞めた会社とアルムナイを応援しよう」キャンペーンでは、参加者が古巣企業への想いを記事として書いて応援の声を届けるだけではく、「こんな協業ができる」といった提案や、逆に「よかったら〇〇してください!」といったお願い事も発信。
辞めた会社とアルムナイおよびアルムナイ同士の相互補助の関係性をつくることを目指しました。
参加者による、辞めた会社への応援&感謝のメッセージ
参加いただいた31名の皆さんからは、古巣企業への温かいメッセージをたくさんいただきました。以下、一部抜粋していくつかご紹介します。
サントリーに根付く「やってみなはれ」は今こそ必要とされていると思います。自分自身、この苦しい今だからこそ、世の中に「やってみなはれ」の精神で、いろいろ仕掛けていきたいです!
【サントリー・アルムナイ】先の見えない今こそ「やってみなはれ」の精神で!
会社にいる時から自称「日立のことが一番好きな人事担当」でしたが、外に出てから客観的に見ることもでき、好きから尊敬に変わりました。
【日立製作所・アルムナイ】退職後、日立への想いは「好き」から「尊敬」に変わりました
アルパイン製品は今も愛用しています。引き続き、ワクワクする商品を送り出していただけることを、いちユーザとして、楽しみにしております。
【アルパイン・アルムナイ】製品を愛用するいちユーザとして、ワクワクする商品を楽しみにしています
退職の際、「いつでも戻ってきていいからね」と当時の社長や先輩、同僚から言っていただき、新天地でつらかった時も、その言葉を胸に頑張れました。
【ニッセン・アルムナイ】ニッセンは「実家」みたいな存在。今でもお世話になっています
参加者が感じている「アルムナイ同士のつながり」の価値
1社で一生勤める時代が終わり、転職は当たり前に。人材の流動化が進むことで、ビジネスパーソンのキャリアの自由度は上がる一方、不安定性も高まっています。そんな中で存在感が増しているのが、アルムナイ・ネットワークです。
退職後にアルムナイ・ネットワークに参加している参加者の記事からは、アルムナイ同士のつながりから得られる価値が見えてきました。
Hondaが好きだから、(アルムナイ・ネットワークに)参加しています。Honda内の社内用語で会話をすると、Hondaの一員だったことを思い出せるし、仲間として付き合い続けてくれる感謝の気持ちでいっぱいになります。
【本田技研工業・アルムナイ】三現主義、直線的問題解決手法、そして企業理念。全てが今の仕事に生きている
日々の仕事で困ったとき、また自分のキャリアについて相談したい時など、アルムナイとのつながりは非常に役立ちます。
【GE・アルムナイ】私のキャリアは「アルムナイとのつながり」なくして語れない
アルムナイを通じて現在の会社をサポートしてくれるパートナー企業も見つかりました。
【キャリアデザインセンター・アルムナイ】何度か経営危機を経験したことで「1円の重み」が理解できた
アルムナイ同士のつながりから得られるものは、人脈形成やビジネスでの関わり、情報交換などさまざまですが、何よりも「つながり」そのものが価値になっていることを感じます。
新型コロナウイルスの影響で新しいつながり作ることの難易度が上がったいま、「共通言語を持つ、長く付き合える仲間」との関係性の価値はさらに高まっていくのではないでしょうか。
SNSでの反響「辞めた人の声が一番のブランディングになる」
SNSでは、参加者の記事を読んだ方からのさまざまな反応がありました。
「古巣が実家」ってめっちゃええな。
— Takeo Kikuchi|人材業界の一歩先を照らす (@takeox0223) May 22, 2020
「いつでも戻ってきていいからね」って言葉があるからこそ、次の道で大胆に挑戦できるし、いまでも心のつながりは大きいね。@KunoHanako #辞めた会社とアルムナイを応援しようhttps://t.co/aAIGW5ZlQT
結局辞めた人の「この会社にいてよかった」って言うのが一番のブランディングになるって思う。
— きょん /岡島京右 @ロコガイド (@kyon_loco) May 21, 2020
CDCさんいい会社なんやろな〜 https://t.co/C4QPu4cNGf
▲キャリアデザインセンター・アルムナイの坂元照二郎さんの記事を、同じキャリアデザインセンター・アルムナイの方がシェア。それに対し、他社の方がコメント付きでリツイート
参加者の記事を見た方からは、辞めた人と良好な関係性を築いている企業に対するポジティブな反響がありました。
繰り返しになりますが、転職が珍しくなくなりキャリアが多様化していくと、退職する人は増えていきます。辞めた人が敵になるのか、味方になって良い口コミを発信してくれるのかによって、長期的な企業のブランディングには大きな影響が生じます。
同じ企業出身のアルムナイ複数名の参加も!
本キャンペーンには15社31名が参加。つまり、同じ企業出身のアルムナイ複数名が参加してくれるケースもありました。
- サントリー
- キャリアデザインセンター
- アイタンクジャパン
- トレンダーズ
※連載「ALUbum」に3名以上登場した企業を、企業ごとにまとめています
中でもトレンダーズは、代表者の方がアルムナイに参加を呼びかけ、なんと6名もの方が参加してくれました。「なぜこんなに多くのアルムナイが参加してくれたのか?」を別途インタビューしていますので、ぜひご覧ください。
就活生がOB/OG訪問をするように、企業のOB/OGであるアルムナイの声を聞きたいと考える求職者は増えています。実際に、企業の採用ページにアルムナイの転職先企業やインタビューを掲載する企業も。「企業の卒業生に関する情報」の需要は今後も増していきそうです。
参加者の感想「面識のない現社員からもコメントがあって嬉しかった」
キャンペーン終了後に行った参加者の皆さんへのアンケートでは、記事に対してどのような反響があったのかを伺ってみました。在籍期間が被っているかどうかに関わらず、古巣企業の現社員やアルムナイから、さまざまな反響があったようです。
・後輩が「大好きな先輩」とコメントを添えてSNSでシェアしてくれて嬉しかった。
・辞めた会社の現職社員(面識なし)から直接メッセージがあった。
・当時の元同僚から「社外に出ても応援してくれていて嬉しい!」という声があった。
・直接お会いしたことのない現役社員からも「嬉しい!」等コメントをもらって嬉しかった。
どうやらアルムナイの声はとても好意的に受け止められているよう。特に現社員にとって、アルムナイが辞めてもなお自分たちを応援してくれていることが励みになっている様子が伺えます。
過去にアルムナビが行ったアンケートでも、辞めた人の存在が現役社員のモチベーションになるという結果が出ています。これからは「辞めた人=裏切り者」ではなく、「辞めた人=応援団」となる関係性を築くことが社員のエンゲージメントを高める一つのポイントになりそうです。
アルムナイ自身も、今回のキャンペーンに参加し、古巣企業への想いを記事にしたことについて、アンケートに回答した全員が「とても良かった」「良かった」と回答しています。(参加者31名中23名が回答)
具体的な感想を聞いてみると、「改めてこれまでを振り返れた」「関係性を再確認・再構築できた」といった回答が目立ちました。
・言葉にすることで、良かったところを思い返せた
・自己の振り返りと今の自分の繋がりを整理出来た
・退職してしばらく経っていたのですが、改めて人間関係の構築ができました。
・アルムナイは古巣の良さが分かってるので、今戻ったらいい仕事ができるだろうと思います。
・これからオンライン化していく時代にアルムナイは本当に大事なつながりだと思います。新しいネットワークを開拓しづらい今、信頼構築できているメンバーは貴重です。
キャリアが多様化すれば「退職を機に始まる新しい関係性」の重要性は増す
「#辞めた会社とアルムナイを応援しよう」キャンペーンは、コロナで大変な状況の中、既知の仲である古巣企業とアルムナイおよびアルムナイ同士のつながりでお互いを助け合い、勇気付け、応援し合うことを目的とした企画でした。
参加者の方々からは、「今でも辞めた会社を応援している、感謝している」「辞めた会社で培った教えや経験を糧に頑張っている」という声が多くありました。
「記事を書く」という形でのキャンペーンは、参加者の方にとって気軽なものではなかったと思います。それでも、31名ものアルムナイの方々が記事を書いてくださったことをとても嬉しく思っています!
退職は「関係が終わる」のではなく、「新しい関係性が始まる」ことを意味します。古巣企業のファンになる人もいれば、受発注など仕事で関わる人、いずれ再入社する人など、関係性の形はさまざま。
ただ一つ言えるのは、「退職を機に始まる新しい関係」を大事にすることが、キャリアが多様化するこれからの時代において、企業・アルムナイの双方にとって重要になるということです。
「#辞めた会社とアルムナイを応援しよう」キャンペーンは終了しましたが、古巣への感謝を語る連載「ALUbum」はこれからも続きます。
辞めた会社やアルムナイとつながりたい方、感謝を伝えたい方、今回の企画に共感いただいた方。皆さんからの参加をお待ちしています!
また、記事を読んで「自社のアルムナイとつながってみたい」「自社に対してポジティブな想いを持つアルムナイを増やしたい」と思った企業の皆さんも、お気軽にご連絡ください。