MYパーパスに突き動かされたセルフドリブンなキャリア形成を実現する。SOMPOグループがアルムナイネットワーク導入で目指す姿とは

SOMPOホールディングス株式会社がアルムナイネットワークを立ち上げました。

※こちらは過去、SOMPOホールディングスに在籍していた方専用のネットワークです

まずはSOMPOホールディングスで運営し、2023年度以降にアルムナイネットワークの対象をグループ全体に広げていく計画です。
その背景には「MYパーパス」を起点に、社員一人ひとりがセルフドリブンなキャリアを構築するための選択肢を増やしていくという、SOMPOグループの大きな動きがありました。

写真右から
SOMPOホールディングス株式会社
三浦 哲雄さん/人事部 人事チーム 課長
尾﨑 愛さん/人事部 人事チーム 主任
西原 隆介さん/人事部 人事チーム 課長代理

社員がパーパスを追求すれば、退職も起こり得る

——アルムナイネットワークを立ち上げた背景を教えてください。

​三浦:順を追ってお話しすると、まずSOMPOグループでは2021年4月、新たな中期経営計画のスタートにあたり、「SOMPOのパーパス」を定めました。

SOMPOホールディングスのウェブサイトより引用

三浦:SOMPOのパーパスや事業計画を実現するには、当グループが掲げる3つのコア・バリューを共有した組織になる必要があります。

ミッション・ドリブン:使命感とやりがいを感じ、当事者意識を持って働く
プロフェッショナリズム:高い専門性と倫理観に基づき、セルフドリブンに行動し、成果に繋げる
ダイバーシティ&インクルージョン:多様性の重要性を理解し、それを新たな価値創造に結び付ける

人材コア・バリューより

三浦:社員がこのコア・バリューを持つためには、仕事のみならず「人生でこれがやりたい」という個人のパーパスが重要です。そこで個人のパーパスを「MYパーパス」とし、MYパーパスを明確にするための取り組みをグループ全体で進めようとしています。

そうやって定めたMYパーパスとSOMPOのパーパスに重なり合う部分が大きいほど、SOMPOのパーパスの実現可能性も高まると考えています。

SOMPOホールディングスのウェブサイトより引用

三浦:SOMPOグループには約7万5千人の社員がいます。自分の胸に手を当ててMYパーパスを考えたときに、やりたいことが外の世界に見つかることも起こり得るでしょう。

グループCEOの櫻田は、「今までは会社の中に人生があったが、これからは人生の中に会社があるという考え方がスタンダードになる」という趣旨の発言をしていますが、会社としても「社員が一人ひとりのキャリアについて、よりセルフドリブンでより多様な選択肢が取れるようにしたい」と考えています。

だからこそ、MYパーパスを追求した結果、SOMPOグループ以外でチャレンジしたいと思う人もありうることが想定される中で「グループを離れたら縁も切れる」ではなく、チャレンジをした元・社員を貴重な人的資本と捉え、グループ外での情報・ネットワークを保有する彼らとの接点を維持することへの価値は高まるだろうと、アルムナイネットワークの導入を決めました。

アルムナイネットワークのベースにあるのは実力主義

——それは「ある程度の退職を容認する」というお話でもありますよね。理屈として理解はできても、実行する葛藤は大きいように思います。

三浦:そうですね。ただ、グループ全体でMYパーパスの明確化を進めているのに、「MYパーパスを追求してほしい、でもそれにもとづいて退職することは駄目だ」、とするのは、完全なる言行不一致です。MYパーパスを自覚し、その結果当グループを離れると本人が決意したのであれば、それを会社が否定することには矛盾が生じます。

過去を振り返れば、メンバーシップ型で100年近く事業を行ってきたグループ各社については、これまで「一度出ていったら戻らない」というメンバーシップ意識の元で、共通化した価値観をテコにドライブしてきたのも事実です。

SOMPOホールディングスは先行してジョブ型の人事制度を導入し、キャリア採用社員の比率も約25%と比較的高く、実力がある人にとってはチャレンジしやすい環境だとは思いますが、いずれにせよ当然ながら社員に辞めてほしいわけではありません。我々SOMPOグループが常にここで働きたいと思ってもらえる会社であり続けるよう取組みを継続します。

それでもこうしてアルムナイネットワークを導入するのは、「グループとして一貫した価値観を示す」ことでもあるのです。

また、グループがコングロマリット(※)化する中で、SOMPOグループの価値観、すなわちパーパスの浸透が課題です。例えば損害保険事業や介護事業は、国内と国外でやり方が大きく異なりますが、事業や場所の違いに関係なく、パーパスは共有できるはず。
※種の異なる企業同士の合併や買収などによって発達した企業体

そういう意味で、グループ全体で一つのアルムナイネットワークを持つことは、当グループのカルチャーづくりにおいても重要だと思っています。

三浦 哲雄さん/人事部 人事チーム 課長

——SOMPOグループにとってのアルムナイネットワークは、ただアルムナイとつながるだけでなく、重要な意味を持った施策なのですね。

三浦:それに、社員の意識は年々変わってきています。

入社3年目までに辞める人を除けば、いわゆる総合職入社で辞めるのはレアケースです。退職者の数自体は少ない状態であり、統計的に有意な変化はありません。

一方、質の部分は変わっているように感じています。将来有望な若手に他社から声がかかり、別の場所で新たなチャレンジがしたいと辞めていくケースが目立ってきました。おそらく当社固有の話ではなく、世の中全体として、若い人ほど自分の市場価値やキャリアジャーニーへの意識が高まっているのだと思います。

それならば、想いを持って辞めた人に対して、再び当グループに戻って来られるチャネルを持っておいた方がいい。そういう考え方への理解は徐々に広がってきたように感じています。

——これまでの退職者との関係性はいかがでしたか?

三浦:各社でグラデーションはありますが、全体としては退職者を裏切り者扱いするような雰囲気はなかったと思います。

というのも、SOMPOホールディングスCOO社長の奥村と、損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)社長の白川は、一度辞めて再度グループに戻ってきています。一度辞めた人が社長になるのは、日本の伝統的な金融機関でおそらく初でしょう。

ただし、決して手放しに出入りを自由にするというわけではありません。

企業が選ばれるように努力し続けなければいけないのと同様に、個人も企業にとって魅力的な人材でい続けなければならない。要は「個人と会社が選び、選ばれる」という実力主義がベースにあり、軽く辞めて軽く戻れるわけではないのです。

戻れるチャネルを用意しながら、お互いを高め合える関係性を再構築していくことを理想としたいと思っています。

SOMPOホールディングスで基盤をつくり、グループへ展開

——アルムナイネットワークを導入するまでに、大変だったことや苦労したことはありますか?

三浦:ほとんどなかったです。申し上げた通り、パーパスを起点とした自然な流れから始まった施策ですから。特にSOMPOホールディングスはキャリア採用社員も多く、外部から来た人が活躍しているのを目の当たりにしているので、抵抗なくコンセンサスが取れました。

まずは2022年度下期にSOMPOホールディングスで運用を開始し、2023年度からグループに展開していこうと計画しています。

西原:むしろ大変なのはこれからだと思っています。

来期以降、グループ各社が参画しやすい運営基盤を確立することが重要と考えています。SOMPOホールディングスの従業員数は約500人。片や損保ジャパンの従業員数は約2万5千人です。仮に損保ジャパン単独でアルムナイネットワークを構築しようとすると運営にかかる負荷が相応に掛かってくると思われ「やりたくてもやれない」状態が発生することを懸念しています。

この点をSOMPOホールディングス主体に運営プロセスやコンテンツの基本的な構成や流れを整え、各社の負担を軽減し、参画しやすい体制を構築することがSOMPOグループ全体でアルムナイネットワークを運営する際の鍵になる気がしています。

——具体的に、アルムナイネットワークを通じてやりたいことはありますか?

西原:当グループには公募のボジションに手を上げて立候補できる制度があるのですが、そういったポストの情報の一部や、キャリア採用での募集ポジションをアルムナイにも開示したいと考えています。

また、長期的にはアルムナイと協業ができるといいなと思っています。全てのアルムナイが再入社を希望するわけではないと思っていますが、サイドビジネスとしてSOMPOグループと仕事をしたい人はそれなりにいるような気がしています。

例えば、業務委託で当グループの仕事の一部をお願いする、社員が新規事業のアイデアをアルムナイに壁打ちできる体制を用意するなど、お互いのニーズを満たし合うような協業の在り方を模索できればと思います。

SOMPOグループのユニークさをネットワークに反映したい

(過去、SOMPOホールディングスに在籍していた方専用のネットワークです)

——来年度以降、グループ各社にアルムナイネットワークを展開するにあたり、SOMPOグループとしてはどのようなネットワークをつくりたいですか?

三浦:損保ジャパンやSOMPOひまわり生命などの区分は気にせず、「SOMPOグループ」という共通点で、外の世界で活躍している人たちとつながれる場になるのが理想です。

そのためには、シンプルにSOMPOグループのファンづくりができればいいのかもしれませんね。当グループで働いたことがある人たちがSOMPOファンとなってくれることで、結果的に再入社や業務委託、協業などにつながったり、積極的なファンとして当社のブランドを高めるエバンジェリストのような役割を担ってくれたりといった可能性が生じると思っています。

——アルムナイがネットワークに入るメリットはどのようにお考えでしょう?

三浦:再入社のルートを提示することがその一つではありますが、これからどんな価値を提供できるのかを考えていきたい、というのが正直なところです。アルムナイの皆さんの声を聞きながら、どのような価値提供ができるのかは考えたいと思っています。

というのも、当グループのアルムナイが求めることは、一般的なニーズとは違うかもしれません。伝統的な損保会社がベースであり、SNSのように盛り上がるのはあまり合わないかもしれない。SOMPOグループのユニークさを理解しなければ、実行性の伴った施策にはなりませんから、ぜひアルムナイの皆さんと一緒に考えていきたいです。

西原:私は14年在籍した会社を辞め、2022年5月にSOMPOホールディングスに中途入社したばかりです。会社を辞めた人間の視点で考えると、会社を離れたことで意外にも寂しく感じる時もあるのだなと思い知りました。「前職は今はどのような感じなのだろう」という想いは、前職の事業に対しても、働いている人たちに対しても、私と同じように前職を辞めた人たちに対してもあります。

個人的につながりがある人はいても、同期や同じ組織だった人などに限られることが一般的なのではないでしょうか。そう考えると、アルムナイネットワークを通じて「あの人と改めて話してみたい」といったニーズが満たせるのは、アルムナイにとってメリットだろうと思います。

そういった辞めた人間の視点から立てた仮説とSOMPOグループのユニークさをすり合わせながら、良いネットワークをつくりたいですね。

尾﨑:アルムナイネットワークが交差点のような場所になるといいですよね。お互いに近くなりすぎず、あくまでそれぞれの道で頑張っている中で、ふとしたときに「どうしているかな」と接点を持つ。そこでお互いの関心やニーズが交わったときに、何か一緒にできるような関係でいられるといいなと思います。

アルムナイへメッセージ

写真右から
西原 隆介さん/人事部 人事チーム 課長代理
尾﨑 愛さん/人事部 人事チーム 主任

尾﨑:最初にアルムナイネットワークの話を聞いた時、率直にいいなと思いました。

私は普段、退職手続きの窓口を担当しているのですが、外の世界でしかできないチャレンジや夢を求めて辞める人の中には、「またご縁があったらSOMPOグループで働きたい」と言ってくれる人もいます。そういう人たちが再度次のステージを選ぶ際の選択肢にSOMPOグループが入るのは、単純にうれしいことです。

私は人事業務に携わり5年になりますが、退職はネガティブなことではなく、一人一人の人生があっての選択なのだと思うようになりました。何かをきっかけに目標や人生の方向性、MYパーパスが変わることは、とても自然なことだと思いますので、自身の価値観や目標に沿って、次のステップに進むことは素晴らしいことです。

とはいえ、過去を振り返るのは未練がましいことではありません。「今のSOMPOグループはどうなっているのだろう」と気にかけていただけるのは、私たちにとってありがたいことです。

これからアルムナイネットワークを通して良い関係性をつくっていけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。外の世界で新しく培った知見を、ぜひ私たちに教えてください。

西原:SOMPOグループはここ2〜3年でパーパスの追及やセルフドリブンなキャリア形成の推進などを主軸とした人材戦略に大きく舵を切ってきました。アルムナイネットワークが新しく始まるのもその一つ。「会社とアルムナイが互いを高め合うためにちょうど良い距離感と関係性を維持し続けること」をポリシーにWin-Winの関係を目指したいと思いますので、ぜひ肩肘張らずにアクセスしていただきたいです。私は入社したばかりでまだまだSOMPOグループの文化を勉強中ですので、アルムナイの皆さんにも教えていただけるとうれしいですね(笑)

個人的に、新しい知見やエピソードを聞くのは本当に面白いことだと思っています。事業や取り組み、人、全てが新鮮で面白くて仕方ありません。アルムナイの皆さんが集まり、ネットワークが大きくなるほどその面白さは増していくだろうと考えると、今後がとても楽しみです。

三浦:SOMPOグループ全体がここ数年、絶えることなくトランスフォーメーションしてきました。文化も事業も、並行して変革をしてきた。そして、この動きは今後も続きます。

もともとSOMPOグループで働き、そして今は外でさまざまな活躍をしているアルムナイの皆さんには、そんな現在のSOMPOグループを応援していただけると大変うれしいです。

我々も価値ある会社を目指す中でどのようなアプローチをしようとしているのか、アルムナイネットワークを通じて情報発信をしていきます。もし共感していただける場合は、一緒に何か面白いことがやれるような場にしていきたいと思っています。

まずはSOMPOホールディングスからスタートしますが、2023年度からはグループ各社に展開していきます。ぜひ積極的に参加していただけると幸いです。