学生の7割が「元社員の退職後のキャリア」に関心!新卒採用×アルムナイの可能性

終身雇用の時代ではなくなった今、学生の就職活動も「転職を前提とした企業選び」に変わりつつあります。

そのような中、学生への新たな訴求ポイントや魅力付けとして注目したいのが、「アルムナイ」の存在です。

アルムナイとは

アルムナイ(Alumni)は「卒業生」を意味し、もともとは大学の卒業生を指す言葉として使われていました。

そこから転じて、人事領域では「企業の卒業生」「退職者」「OB/OG」を表します。

>>「アルムナイ」について詳しく知りたい方はこちら

なぜ新卒採用にアルムナイなのか?

人生100年時代といわれ、働き方や雇用、組織の在り方が大きく変わる中、学生の意識にも変化が生じています。

アルムナイ研究所の調査では、『入社を希望する、もしくは入社予定の企業の「元従業員の退職後のキャリア」への関心』について、約7割の学生が「ある」と回答。

『大学生・大学院生の「企業の退職者」への関心』調査結果より

関心がある理由として最も多かったのは「その会社での経験によって、その後のキャリアがどう広がるのか知りたいから(43.1%)」。次いで「自分も将来的には転職を視野に入れているから(39.1%)」と続きます。

こうした結果からも、学生が2社目以降を視野に入れて就職活動をしていることが見て取れます。

だからこそ、実際に自社を退職して次のステップに進み、活躍しているアルムナイの存在は、学生への魅力付けにつながります。

事実、「元従業員の退職後のキャリアが魅力的だった場合の志望度の変化」を尋ねると、半数以上が「上がる」と回答しています。

新卒採用×アルムナイの可能性

こうした学生が抱く「元社員のキャリアへの関心」を、実際の新卒採用でどのように生かせばいいのでしょうか? その可能性を探ってみましょう。

1. 自社サイトにアルムナイの情報を掲載

採用ブランディングの一環として、学生の7割が関心を寄せる「元従業員の退職後のキャリア」をアピール。

企業のアルムナイの取り組みで最も有名なのはマッキンゼーですが、同社のWebページにはアルムナイのインタビュー記事が掲載されており、アルムナイのその後のキャリアをチェックすることが可能です。

こうした動きは日本にも広がりつつあり、NTTデータや本田技研工業は元社員との対談記事を公開しています。

OB・OGと語るNTTデータ(NTTデータウェブサイトより)
[特別対談] 元Honda社員と語るHondaのフィロソフィー(本田技研工業ウェブサイトより)

他にセプテーニは、採用ページにアルムナイの退職後のキャリアや年収の変化を掲載。在籍中だけでなく、さらにその先のキャリアまでイメージしやすくなっています。

2. アルムナイが登壇する採用イベントの実施

アルムナイ研究所の調査では、「元従業員が登場する採用説明会や採用イベントがあったら参加したいか」という質問に対し、8割弱の学生が「参加したい」と回答。

聞きたい内容として、「会社の実態」「退職理由」「その会社に対する正直な評価」など、忖度のない、第三者からの客観的でリアルな意見を求める声が多くありました。

・やめた今だから言えるぶっちゃけ話を聞きたい

・その会社に入社する前と後でのギャップについて聞きたい

・ライバル会社と比較して、改めてどの点が優れている・劣っているか聞きたい

・外から見たその会社の善し悪し

・その会社で働いてみて思ったことを、素直を話してほしい

・その会社で得たものが退職後どのように活かされているのか

・退職や転職のきっかけや、その会社で掲げていた自身の目標は実現できたのか

『大学生・大学院生の「企業の退職者」への関心』調査結果より

また、優秀校の理系学生2名が登壇したウェビナーでは、相対的に比較した上での評価だからこそ信頼できるという意見も。

特に新卒で入った人の場合、自社への相対評価はできないじゃないですか。「いろいろな業務に携われる」と思っていたとしても、他社と比べてどうかはわからない。

でも、退職して次の会社に入れば、相対的に一社目がどうだったのかがわかりますよね。そう考えると、その会社の環境や魅力への説得力は増すように思います。

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実際に2019年12月には学生向けメディア『HOPE by NewsPicks』主催の大規模イベントで、大手企業のアルムナイが参加するワークショップも行われています。

新卒採用×アルムナイ企業事例

実際に新卒採用の過程でアルムナイの存在をアピールすることにより、学生の動機付けに成功する企業も。

アクセンチュア

新卒でアクセンチュアに入社した2名にインタビュー。「退職後に元社員がどんなキャリアを歩んでいるのか」が、就職先を決める際のポイントになったのだとか。

僕は他の企業からも内定はいただいていましたが、内定承諾前の懇親会での社長の言葉が入社の決め手になりました。「アクセンチュアを自己実現のプラットフォームとして使ってほしい」「アクセンチュアを踏み台にして社会で活躍してほしい」といった内容で、こんなに社員の挑戦の後押しをしてくれる会社は他にないなと。

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臨海

進学塾『臨海セミナー』を運営する株式会社臨海は、2020年9月にアルムナイネットワーク『Rinkaiアルムナイ』を発足。採用の場面でもプラスの効果を感じているそうです。

小島:私は採用担当として新卒、中途の双方を見ていますが、アルムナイの取り組みを紹介する中で「最初の入り口として当社で力をつけて、出口は別でもいい」という話をしています。反応は100%良いですね。

特に学生の場合、就職活動を人生の一大決心と考える人も多いので、「定年まで骨を埋める覚悟で来なくてもいいんだよ」というメッセージになっているのを感じます。将来的に起業を考えている学生に対して「当社で教室長を経験したら?」と以前から話していましたが、そこへの説得力も増しました。

特に今の学生は最初の会社に一生勤めようとは思っていないですから、「退職者とのつながりまで考えている会社なのか」と思ってもらえること自体が響いている気がします。

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新卒採用でアルムナイに力を貸してもらうためには?

新卒採用でアルムナイに力を貸してもらうためには、アルムナイと交流を持ち、関係性を築く必要があります。

アルムナイ研究所の調査では「元従業員と交流がある会社」に対し、「印象が良い」と答えた人が約6割。「印象が悪い」と回答した人が1割にも満たないことを考えると、アルムナイとつながること自体がプラスに働くと言えそうです。

また、アルムナイとつながるメリットは新卒採用だけにとどまりません。

採用ブランディングの効果は中途採用も同じ。交流を通じてアルムナイの心象が良くなれば、クチコミ内容の改善や、再雇用の促進にもつながります。

他にも、自社をよく知る外部人材であるアルムナイは、副業や業務委託での協業のしやすさも随一。ビジネス連携、オープンイノベーションのパートナーにも最適です。

パーソル総合研究所の調査結果によると、アルムナイと企業、アルムナイ同士の取引総額は年間1兆1500億円以上。アルムナイと企業の取引に絞っても、およそ4400億円と試算されています。

アルムナイ経済圏は1兆円以上!企業が退職者との関係構築に取り組むべき3つの理由」より

多方面にメリットが大きいアルムナイとの関係構築ですが、本格的に取り組んでいる企業はまだそれほど多くありません。

だからこそ差別化のチャンス。他社に先駆けて、アルムナイ施策を検討してみてはいかがでしょう?

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