
2002年7月17日生まれ。2019年7月「ミスマガジン2019」でグランプリに輝く。映画『悪夢ちゃん The 夢ovie』や特撮テレビドラマ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』などに出演。
Shibu3 projectにはグループ発足時から〜2021年3月まで在籍し、リーダーを務めた。
三好佑季さん(写真右):モデル、女優、歌手。
2004年9月16日生まれ。特撮テレビドラマ『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』やCM、ファッションショー「TGC Teen 2022」などに出演。
2021年よりShibu3 projectに在籍し、現在はリーダーを務める。
2023年3月に卒業。
昨今、雇用の流動化が進み、自社の退職者である「アルムナイ」との関係構築によって、「再入社」や「採用ブランディング」、「ビジネス連携」など様々な価値につなげている企業が増えてきましたが、アルムナイとの関係構築が重視されるのは企業だけではありません。
アイドルグループでもアルムナイ(卒業生)がライブに出演するなどして現役メンバーとの交流が見られ、卒業生のファンが再注目するきっかけにもなっています。
そこで今回は、アイドルグループ「Shibu3 project」(通称:シブサン)のアルムナイと現役メンバーにインタビューを実施。シブサンは、芸能事務所プラチナムプロダクションに所属する小学生から高校生までのメンバーで結成されるガールズグループで、シブサンには、ピンク、ブルー、グリーン、イエローに分けられたクラスや、高校を卒業するタイミングでグループからも卒業するというオリジナルの制度が設けられています。
とくにここ1、2年で、アルムナイとのつながりが濃くなってきたというシブサン。アルムナイと現役メンバーとの関係や可能性について、同グループのアルムナイ・豊田ルナさんと、現役メンバー・三好佑季さんにお話を伺いました。
※本記事の取材は2023年3月8日に行い、その時点の内容で作成しています
Contents
振り付けや卒業ライブへの参加から始まったアルムナイとのつながり

ーーお2人が「Shibu3 project」に加入しようと思ったきっかけは何ですか?
豊田さん)私は、シブサンがちょうど発足した当時、事務所に移籍してきたばっかりで、何をしようかなって考えていた時期で、とりあえず新しいことをやってみようかなと。もともと自分がアイドルになるとは思っていなかったんですけど、とりあえずやってみようと思って始めたのがきっかけでした。
三好さん)私も最初はアイドルの活動をするって、自分でも思ってなかったんです。でも、今後を見据えて、自分の活動の幅を広げたりとか、そういう経験のためにもやりたいなって思って入りました。
ーー豊田さんは卒業後も、振り付けを手がけたり、卒業生ライブに出演されたりして現役メンバーとのつながりがありますよね。シブサンがアルムナイとつながるようになったのはいつからでしょうか?
豊田さん)ここまで濃いつながりが始まったのは、私が卒業してからなので、ここ1、2年くらいですね。グループ全体では小学生から高校生まで幅広い年齢層の子たちがいるので、ずっと仲良く活動はしていますし、レッスンとかで会う機会もあるんですけど、やっぱり卒業しちゃうとつながりが薄れちゃうことはありました。
でも、卒業後も振り付けやレッスンをさせていただく機会ができたことで、そういうつながりができて、より濃くなっていったと感じます。それをきっかけにして、今ではアルムナイも含めてみんな仲が良いですね。
ーー豊田さんが振り付けなどをされるようになったきっかけを教えてください。
豊田さん)1番最初に振り付けをすることになったのは「DON’T LOOK BACK!!!」という曲だったんですけど、それも突然、軽い感じのノリで「今度この曲出すんだけど、振り付けしてみる?」みたいな(笑)。
でも振り付けはやってみたいことだったし、そういう形でグループに貢献できるなら、すごくいい機会だなと思ったので「やらせてください」って。それ以来、新曲が出るたびに任せていただくことが増えてきました。
ーー豊田さん以外にもそういった振り付けをされている方はいますか?
豊田さん)私の代で一緒に卒業した子が1人やっています。かわいくてリズミカルな振り付けが得意な子です。構成を考える時には「ここのフォーメーションどうかな?」っていう相談を一緒にしたりもしますね。
未経験で振り付けに挑戦。アルムナイだからこそ現役メンバーのファンからも受け入れられ喜ばれる
ーー豊田さんはこれまでに振り付けを手がけた経験はあったのでしょうか?
豊田さん)ありませんでした(笑)。だから引き受けたはいいものの、どうしたらいいんだろうみたいな感じで…。色々教えてもらったり、自分で調べたりしながら作りました。曲の歌詞から考えていったり、最近だとSNSのショート動画をきっかけに真似してくださる方も多いのでファンの方も覚えやすいものにしたりすることも。
あとは曲ごとに毎回、ポーズを作るようにしてます。ファンの方にも「このポーズといえばこの曲だよね」ってわかっていただけたらライブでも盛り上がるかなと。
振り付けのほかに、ライブの構成もつけるんですが、メンバーみんなのかわいい一面を引き出すものにしたいですし、みんなそれぞれ個性を持っているので、最近はちょっと新しいこともやってみようと心がけています。「シブサンって、こういうこともできるんだ」みたいな一面を込めたものにしたいなって。
ーー三好さんは、先輩の豊田さんがつけてくれる振り付けについてどう感じていますか?
三好さん)まず、先輩から直接振り付けを教えてもらうっていうことも最近からなので、新鮮な気持ちです。
(豊田さんが)考えてくださる振り付けは一つひとつにしっかりと意味があるんです!振り付け動画を見るだけじゃわからないようなことは直接教えてもらえて、「ここって細かいふりだけど、こういう想いが込められてるんだ」って、意味がわかると「納得!」ってなるんですよ。
私自身、そういう振り付けが好きですし、ファンの方も「意味があるから覚えやすい」って言ってくださるのをよく聞きます。私たちのことを本当に考えてくれて振りをつけてくださるんだなっていうのが伝わって、ありがたいです。
豊田さん)ありがとうございます(笑)、こちらこそ(笑)。
ーーそんな豊田さんは、三好さんにとってどんな先輩ですか?
豊田さん)実は、もともと一緒に活動してた期間はないんですよね。
三好さん)ちょうど卒業された後すぐに私が入ったので、現役メンバーとして同じステージに立ったことはないんです。ライブの時に、数曲だけ一緒に出たことはあったんですけど、がっつりっていうのはありませんでした。
でも本当に、(豊田さんは)シブサンの原点にして頂点!本当にこれはメンバーみんなの共通認識でもあります(笑)。
豊田さん)やばい(笑)。

「Shibu3 project」ならではの、“線としてのつながり”
ーー「Shibu3 project」のライブでは、アルムナイも登場します。それは他のアイドルグループから見ても頻繁にあることではないと思うのですが、ファンの方の反応はいかがですか?
豊田さん)私がシブサンにいた時代を知ってる方はもちろん、卒業後から知ってくださったファンの方もライブに足を運んでいただき、いつも喜んでいただいています。ファンの方の中には、私がアイドル活動をしていた時代を知らない方が半分ぐらいいらっしゃるので、私が歌って踊ってる姿を見られるのは、逆に新鮮というか、いつもと違う一面が見れてすごい嬉しいですっていう声が多いですし、私のファンの方には現役メンバーも好きになっていただき、その後も足を運んでくださる方も多いので、古巣に恩返しができたなと思っています。
三好さん)私のファンの方の中には私きっかけでシブサンを知ってくれた方もいて、逆に先輩方のステージを見たことないので、先輩方と一緒に出演しているのを見て「いい先輩だね」や「先輩の振りとってもよかった」といった言葉をかけてもらうことが多いです!
豊田さん)そもそもシブサンは、グループを離れるっていうこと自体が脱退ではなくて高校卒業とともに「卒業」という形なので、卒業後もずっと線のようにつながりがあるというのも、シブサンならではかなと思いますし、そのつながりが活きる場がステージ以外にもほんとにたくさんありますね。そういうあったかい、“みんなで作る場所”、“みんなでいるホーム”のようなものが、シブサンかなって思います。
やり残したことを後輩に託す。後輩との関わりが私をさらに成長させる。

ーー豊田さんは現在アルムナイとして「Shibu3 project」に携わっていますが、シブサンへの想いは卒業当時と今とで変化はありますか?
豊田さん)私は発足当時からずっと在籍していたので、卒業した時はほんとに寂しかったです。一緒に卒業するメンバーは8人いたんですけど、その中で1番最初のお披露目からステージに立ってるのは私しかいなかったので、ちょっとくるものがありました。当時は「やっと終わった」っていう気持ちと、「もう終わっちゃうのか」っていう気持ちが戦っていましたね…。
ただ正直、自分がやり残したこともないわけではなかったので、卒業して現役メンバーと関わるようになってからは、おこがましいかもしれないですけど、そういうのをみんなに託そうと。振り付けでも「こういうのやってみたかったな」っていうのをみんなに託そうとか、「こういう風にやってほしいな」っていうのを「お願い!」ってする時もあります。
それに、卒業したからこそ見える景色もあるというか、メンバーの頃よりも視野が広がったことによって、表現の仕方の工夫などもメンバーに伝えられるようになり、メンバーと関わることで私自身も成長できているなと実感していますし、そういう意味では関わり方やみんなに懸ける想いが、在籍時よりも強くなったかなって思いますね。私自身もシブサンアルムナイとして、そしてグループの一員として、一緒にがんばりたいなっていう気持ちがすごく強いです。
ーー三好さんはもうすぐ卒業を控えていますが、シブサンでの活動を振り返ってみて、今の心境はどうですか?
三好さん)グループに加入するまでは自分より年下の子と接することがなかったので、先輩側の気持ちがあんまりわかってなかったなと思います。でもシブサンに入って、今では私がグループで最年長なので、メンバーやグループ全体のことをしっかりと考えないとなって意識が変わりました。
残りの公演はあと2回になってしまって、カレンダーを見たりすると、もうどんどん実感が湧いてきて、すごい寂しいんですけど、シブサンは卒業してからもそのプツンと関係が切れちゃうわけではないので。いつでも帰ってこれるような、あたたかい場所のような存在なので、安心して卒業できます。
これからは演技のお仕事もしたいですが、最近はモデルの活動もしてるので、もっと活動の幅を広げられるように色々な経験を積みたいなって思ってます。
ここ数年でシブサンは、大きいフェスやメディアに出演する機会も増えているので、この波にのってもっと加速させてほしいなって、いつも思っています!
Shibu3 projectは、“なんでもできる場所”・“大家族のような存在”

ーーお2人にとって「Shibu3 project」はどんな存在ですか?
豊田さん)これは現役の時から思ってることなんですけど、なんでもできる場所かなって思います。現役時代にはシブサンとしてステージに立つ以外でも、派生してグループをやったり、個人の仕事に挑戦させていただいたりする機会も多かったですし、卒業後もまた新しい形で貢献することができて、可能性しかないなって思うんです。やりたいと思ったことが叶えられるみたいな場所というか。力になってくれる場所なので、すごいありがたい場所だなって思います。
もちろん自分からどんどん挑戦することもできるんですが、自分からゴーゴーってしなくても、やることが絶対出てくる場所でもあります。それを一つひとつ、なんでもできていく場所だなっていうのが、私の中にありますね。
三好さん)私は、シブサンのスタッフさんのメンバーも含めてみんな家族だなって、大家族みたいだなって感じています。スタッフさんはみなさん優しいですし、常にこのメンバーのことを考えてくださっていて、シブサンの活動以外にも何かに繋げられるようにって考えてくれます。あとはメンバーもみんな優しい子がたくさんいますし、その中でそれぞれ個性があって、ほんとに大家族です。
豊田さん)いつ行っても楽屋がわちゃわちゃしてて、それはすごいいい雰囲気だなって思いながら、親みたいに見てます(笑)。
アルムナイになって初めて経験する教える立場
ーー今後お2人は「Shibu3 project」とどう関わっていきたいですか?
豊田さん)私は引き続き、アルムナイとしてみんなをサポートしていきたいです。みんなにいいステージに立ってほしいし、自分たちも楽しいと思えるステージに立ってほしいし、楽しいと思える曲で、楽しいと思えるパフォーマンスをしてほしいっていう想いがあるので、それを応援していきたいですね。
それから、シブサンを卒業後振り付けを通して初めて教える立場になったので、表現の仕方などスキルを高めていきたいなと思います。今もダンスの先生と一緒に振り付けのレッスンをすることもあるんですけど、現役メンバーから学ぶことがすごく多いです。どうやって伝えたらわかりやすいのかなというのはアルムナイとしてシブサンに関わる以外でも、人として大事なことだと思うので、場所をお借りして学びつつ、現役メンバーと1つのものを作っていく。そして、みんなでもっと大きな夢を叶えられるようにサポートできたらいいなって思います。
三好さん)私は今はまだ現役メンバーなので、アルムナイになってからのことはあまり想像できないんですけど、何かしらでシブサンとのつながりを大切にしていきたいと思ってますし、何か自分ができることがあれば貢献していきたいなって思ってます。

ーー3月19日には卒業ライブが行われますが、お2人の意気込みを教えてください。
三好さん)このライブは私にとってちょうど2年間の集大成になるので、今まで以上に気を引き締めないといけないと思いますし、メンバーみんなの意識も1つにしなきゃいけないと思っています。あと残り1週間ちょっとですが、これからリハも本格的に始まってくるので、リハーサルからメンバーと気持ちを1つにしてがんばります!
豊田さん)私もアルムナイとしてOGステージに立たせていただきます。今回は自分が出る側と、みんなに教える側と、新入生の子たちもいる中で、結構てんやわんやではあるんですけど(笑)、その忙しさを楽しみたいです。
自分のステージでファンのみなさんを楽しませるのはもちろんですし、卒業生の3人に花を添えられるように、いろんな面からがんばって気合を入れていこうと思っています!
まとめ
アイドルグループ卒業後もアルムナイとしてグループに関わることで、自身のキャリアや経験にプラスになっていると話す豊田さん。
卒業後、俯瞰してグループを見ることで、現役時代にはなかった新たな視点が加わり、表現の幅が広がり、現役メンバーに刺激を与えるだけでなく、豊田さん自身の成長にもつながっています。
また、三好さんも、外部の視点も中にいるメンバーの視点も持つアルムナイだからこそ納得感のある指導が受けられ、新しい学びを得られながら、パフォーマンスに臨めるといいます。
また、それぞれのメンバーを応援するファンも活躍するOGをきっかけにグループのことを知り、現役メンバーをきっかけにOGメンバーのことを知ることで双方のファンの幅も広がり増えていきます。
今回の取材を通して、アルムナイと現役メンバーとの関わりは、グループにも双方にも良い影響を与え、お互いを高めあうWin-Winな関係であることがわかりました。
これは決してアイドルグループに限った話ではなく、同じことが企業のアルムナイと現役社員とのつながりでも言えるのではないでしょうか。
