中途採用に苦戦する企業が増えている中、採用費や工数を削減でき、かつマッチングの精度が高い採用手法として、リファラル採用や再雇用に注目が集まっています。
ただ、リファラル採用も再雇用も、制度を用意するだけでは不十分。社員や退職者への認知度がなく、実際は機能していないケースも少なくありません。
そこで12月17日に開催されたオンラインセミナー「低コストでマッチング精度の高い採用を実現するには?『リファラル採用』と『再雇用』を成功に導くポイント」の一部をご紹介。
リファラル採用も再雇用も、長期休暇が促進のチャンスです。社員や退職者への認知を広めるために、即実行可能な施策とは?
リファラル採用を促進する3つのステップ
——リフカム・小田さんはリファラル採用、ハッカズーク・實重さんは再雇用の専門家です。自社の社員に制度を認知してもらい、候補者に声をかけてもらうにはどうしたらいいでしょう?
小田:段階としては3つあって、第1段階は「制度についてメールとオフラインでの周知」。
メールで制度について通知をするのはもちろんですが、開封率を集計すると、実はメールを読んでいない人の方が多いケースが少なくありません。
そこで重要なのが、全社会議などのオフラインの場で、経営や管理職など、上の立場の人から「リファラル採用を頑張ろう」と声がけをしてもらうこと。その後にメールを配信するのが理想的です。
第2段階は「定期的なメール配信」。
社員からよくある質問をQ&Aとしてまとめたり、社内で実施した懇親会の様子をレポートとして報告したり、リファラルで入社した人がいるのであればインタビューを紹介したりと、随時コンテンツを送ることをオススメしています。
そして第3段階が「モノとして配布すること」です。
例えばサイバーエージェント社では、コロナ禍以前に定期開催していた懇親会目的のピザパーティーの際、ピザの上にリファラル採用について説明されたチラシを置いていたそうです。
マネーフォワード社の場合は、全社員にカードを配布していると伺ったことがあります。転職を検討している友人に渡してもらうよう依頼をしているのですが、受け取った人がカードのQRコードを読み取ると、同社の人事へのカジュアル面談の動線になっている。気軽にキャリア相談ができるようになっています。
他に飲食系企業ですと、ポスターが効果的です。バックヤードに貼っておくことで認知につなげる狙いですね。そういった工夫を各社行っています。
實重:社員が友人に声をかける上で、何がモチベーションになるんですか?
小田:企業のカルチャーによって異なりますね。インセンティブがモチベーションになる場合もありますが、全ての企業に当てはまるわけではありません。
例えばビズリーチ社は全社表彰の際、営業成績が良い人よりも栄誉ある賞として「リファラル採用を一番頑張った人」を南社長が表彰するカルチャーがあるそうです。
そういった名誉がモチベーションになる方もいれば、シンプルに「悩んでいる人がいたら声をかけたい」「相手のためになりたい」がモチベーションになる方もいますよね。
實重:たしかに。「全社表彰は逆に嫌」みたいな人もいそうですね。
小田:そうなんです。これに関してはさまざまな事例があります。まずは自社の社員がどういう傾向を持っているのか、把握することが重要ですね。
再雇用の認知を広める2つの方法
——候補者に声をかけてもらうために何をしたらいいのか。再雇用はどうですか?
實重:再雇用の対象である退職者への認知を広めるには、大きく2つの方法があります。
1つ目はオンライン上での告知です。これから再雇用を開始するのであればプレスリリースを打ったり、中途採用ページに退職者の応募を受け付けていることを明記したりといったことですね。
2つ目は口コミで、社員に向けて「退職者と交流する時に再雇用制度があることを伝えてね」と声がけをすること。顔が広い退職者に対して、同様の依頼をするのも効果的です。
——なるほど。
實重:いずれにせよ大切なのは、「なぜ再雇用をやるのか」を社員の方にきちんと伝えること。なぜなら、再雇用は誤解されやすいからです。
例えば「退職してもいいということだから、会社は社員の退職を促したいのか」と疑問を持つ社員の方が出てきてしまったり、「戻ってこれるのであれば辞めてもいいや」と勘違いされてしまったりするケースがあります。
だからこそ、「こういう背景で再入社を歓迎している」「退職者全員を再度受け入れるわけではない」「こういう人に再入社をしてほしい」といった、再雇用に取り組む背景を丁寧に説明する必要がある。
再入社事例がすでにあるのであれば、「なぜ再び働こうと思ったのか」をインタビューし、それをメッセージとして伝えるなど、良い制度だと認識してもらえると理想的です。
小田:僕が前職のリクルートを辞める時のエピソードで覚えているのが、退職面談の時に言われた「いつでも戻ってきてね。実際に〇〇さんは別の会社に行ってから再びリクルートに戻ってきたんだよ」という言葉でした。そういう意味ではマネジャーの巻き込みも重要ですか?
實重:めちゃくちゃ大事です。再雇用の場合は、大前提として社員の方の「辞め方/送り出し方」が大きなポイントになります。例えば小田さんが退職面談で「お前に今までどれだけ投資してきたと思ってるんだ」と言われていたら、今抱いている前職への想いはきっと変わりますよね。
退職に至るまでの一連のプロセスを「オフボーディング」と言っているのですが、退職者も送り出す側も「辞めた後の関係性をどう続けるのか」を意識することが第一歩だと思います。
長期休暇前だからこそ効果的!リファラル採用&再雇用の促進施策
——年末年始だからこそできるリファラル採用・再雇用の促進施策を、事例とともに教えてください。
小田:当社の調査によると、リファラル採用が最も活性化する時期は1月中旬です。今年はコロナ禍ですが、例年の12月〜1月初旬にかけては忘年会と新年会のシーズン。普段会わない人との接点が急増するのが年末年始ですので、リファラル採用の大チャンスです。
小田:今年はコロナ禍ですから、忘年会や新年会の注意喚起をする企業も多いと思います。その際に「感染症対策をしっかり行った上で久々の友人と会ったりオンライン飲み会をしたりといった機会があって、もしも転職を考えている方がいるのであれば、人事がカジュアル面談の形でキャリア相談に乗ります」と伝えておくことがポイントです。
もしくは会社で行う納会などの際に、一言その旨を告知するのもいいですね。それだけで全然変わると思います。
そういう動きをした上で、「年末にお話したリファラル採用の件、どうですか?」と年始にリマインドを送れると理想的。即効性のある施策ですので、ぜひお試しいただければと思います。
實重:再雇用も、ポイントはリファラル採用とほぼ同じです。普段会わない人と接点を持つタイミングである年末年始は、普段よりも社員が退職者と会う機会が多い時期でもあります。
その際、今年はコロナ禍で各社大変な想いをしたからこそ、「会社の状況はどう?」という質問が絶対に退職者から出てくると思うんですよ。だからこそ頭の片隅にリファラル採用を置いてもらい、さらにはその対象に退職者が含まれることを認識してもらうことが大切です。
社員の方の中には、退職者は採用の対象外だと思い込んでいる人もいると思いますから、ぜひ「退職者もウェルカム」というメッセージを会社として社員に伝えていただきたいですね。
——年末年始に限らず、長期休暇前後に効果がありそうな施策ですね。本日はどうもありがとうございました!
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