アルムナイが語る「横浜銀行を卒業後のキャリア」とは。パネルディスカッションの様子をレポート

株式会社横浜銀行(以下、横浜銀行)は、2023年2月にアルムナイネットワークの運営を開始。同年7月のアルムナイ交流会に続き、11月7日に『アルムナイパネルディスカッション「横浜銀行を卒業後のキャリア」』を開催しました。

モデレーターとパネラーは横浜銀行東京支店に集い、視聴者のアルムナイはオンラインで参加しました。

パネルディスカッションでは、3名のアルムナイから“横浜銀行から次のキャリアを選択した理由”や“今でも活きている横浜銀行時代の経験や培ったスキル”、“外に出て思う横浜銀行”について語られました。


女性の写真のコラージュ

低い精度で自動的に生成された説明

※過去に株式会社横浜銀行、浜銀ファイナンス株式会社、浜銀TT証券株式会社、株式会社浜銀総合研究所に在籍していた方専用のネットワークです

登壇者

遠藤 主税さん(保険代理店運営会社、事業開発)

鷲尾 光博さん(銀行、投資担当)

・大谷 洸仁さん(ITコンサルティング会社、PMOコンサルタント)

・モデレーター西岡 萌香さん(横浜銀行・人財部、アルムナイ事務局)

テーマ1.横浜銀行を含むこれまでのキャリア

西岡さん:本日は「横浜銀行を卒業後のキャリア」をテーマに、アルムナイパネルディスカッションをお届けします。

この時間を通じて、パネラーおよび視聴いただいているアルムナイの皆さんにとってのキャリアに関する気づきや学びが得られる場となれば幸いです。

また、我々横浜銀行人財部としても、今後の人財開発の参考にもさせていただきたいと考えています。本日はよろしくお願いします。

まず一つ目のテーマです。皆さんの横浜銀行時代から現在までのご経歴を教えていただけますか。

遠藤さん:私は1995年に横浜銀行に入行し、銀行事務を経て法人渉外として6年程勤めました。ある時、ITにチャレンジしたい気持ちになり、当時勢いのあったITベンチャー企業に飛び込みました。そこで早朝から深夜まで働く日々を数年過ごし、一定の力が付いたところで野村総合研究所に転職しました。その後、業務コンサルやITコンサルを経て、現在は、以前一緒に働いていた仲間の縁で、総合保険代理店運営会社で勤務しています。

西岡さん:遠藤さんは様々なご経験を積んでいらっしゃるのですね。それぞれ、どういうタイミングやきっかけで転職されてきたのでしょうか。

遠藤さん:大体6~7年経つと仕事を一通り覚えますよね。その後、深めようと思う人と、違うことをやりたいと思う人がいると思うのですが、私はどちらかと言うとその後者なのだと思います。次のステップ、また次のステップに、とキャリアを積んできましたが、今は現職の中で深みを目指していきたいと思っています。

鷲尾さん:私は2008年に横浜銀行に入社し、2年程営業店で事務や法人渉外を経験しました。学生時代からマーケットの仕事を志していたのですが、その希望が叶い、入社3年目で市場営業部に異動しました。そこから退職するまでの12年間、私は遠藤さんとは逆で、一つの専門性を深める日々を過ごしました。

初めはスワップや為替取引などの事務業務に始まり、その後は有価証券や社債・EFTなどのトレーディング業務、海外の外部機関への出向を経て、新しいアセットへの投資など、幅広い業務を経験しました。

その後いろいろな経験を経て、転職する決断に至りました。現在は別の金融機関で働いて1年半になりますが、横浜銀行時代に経験のあるCLOという証券化商品の運用を担当しています。

大谷さん:私は2010年に銀行に入行し、初めの10年程は営業店で主に法人渉外を担当していました。どうしたらもっとお客さまの役に立てるのか、と考えたときに、もっと自身のスキルを磨く必要があると思い、日本政策投資銀行への出向ポストに応募・出向し、企業分析を1年半程学ばせていただきました。その後、営業戦略部に戻り、法人渉外の戦略部分の企画などを担当していました。

先ほどの遠藤さんの言葉を借りると、私は“深めたい派”なのかもしれませんが、営業戦略部で企業分析や戦略を担当する中で、“口で言うだけでなく実際に事業を動かせる人になりたい”と思い、現在のコンサルティング会社に転職しました。


西岡さん:皆さん、“広げる、深める”と、それぞれの軸でキャリアを築いていらっしゃるのですね。

テーマ2.横浜銀行を離れることを決めた理由

西岡さん:2つ目のテーマに移ります。ずばり、皆さんが横浜銀行を離れることを決めた理由は何だったのでしょうか。

鷲尾さん:私は、マーケットの運用の仕事を極めたいという理由です。

横浜銀行では12年同じ部門にいたこともあり、年を重ねる毎に“次はどこの部署に行きたいのか”、という問いかけがだんだん強まっていくんですよね。

ただ、私の世代は70歳ぐらいまで働くと思うと、まだ仕事をする時間はあと50年ぐらいある訳ですよね。そう考えると、まだ私は十数年で折り返し地点を過ぎていない。まだまだ自分のやっている仕事、マーケットの運用の仕事を極めて行きたいという気持ちがあり異動したくなかったんです。

会社都合で異動するぐらいなら自分で外の世界に出て、自分で居場所を見つけて、そこでキャリアを深めていくという選択肢が合っても良いのでは、と思い、転職に踏み切りました。

大谷さん:私は、1つ目はワークライフバランスです。当時、私も妻もお互い帰りが遅いという状況だったので、もう少し自宅から近い職場や、在宅勤務で子供といる時間を作りたいと思いました。子供が小さい時期はすぐに終わってしまう、とよく言いますし、今までのキャリアを一度横に置いて考えたいと思いました。

もう2つ目は、先ほどのキャリアのところでも少し話しましたが、企業分析や戦略を深める中で、“外部から提案するのではなく、自分自身で事業を経験したい”という想いが強くなったことです。この先、50、60歳になり、どこかのタイミングで事業会社で働くことを考えると、今のうちに一度、事業を回す経験・スキルを積みたいと思い、転職を決意しました。

遠藤さん:私は28歳で横浜銀行を退社したのですが、営業店で法人渉外を務める中で感じた閉塞感が大きかったように思います。日々、同じことの繰り返しに感じてしまうような業務があったり、上司とのコミュニケーションが上手く行かなかったりと、小さなことが少しずつ積もってしまって。

今振り返ると、繰り返しでつまらないと感じていた業務は、組織としても事業の継続性としても重要な業務だと思いますし、上司とのコミュニケーションもそこだけに閉ざさずに、もっと広い視点を持って色々な人に相談すれば変わっていたかな、とは思います。

またその時、世の中はITバブル真っ只中だったんですよね。ちょうどそれらのタイミングが重なり、次のフィールドにチャレンジしよう、と転職を決めました。

西岡さん:皆さん色々な思いで横浜銀行から次のキャリアを選択されたのですね。

テーマ3.現職に活かせている横浜銀行時代の経験・スキル

西岡さん:今でも活かせている、横浜銀行時代に培った経験やスキルがあれば教えてください。

大谷さん:私は現在、PMOとしてプロジェクト全体の進行管理を担当しているのですが、プロジェクト関係者との調整力やコミュニケーション力が欠かせません。そこについては、横浜銀行で70社、80社と、多くの企業を担当しながら、常に“どうやったら相手の心をつかめるか”と考え、担当企業の皆さんと良好な関係を築いてきた経験が活きていますね。PMOは未経験からのチャレンジでしたが、そのベースがあって助けられている部分は大きいです。

あとは、銀行事務もやっていてよかったと思います。PMOとしてプロジェクトを遅延なく計画どおりに進行管理する上で、銀行事務での “固く予測する”という経験が活きていると思います。実際に現職で“さすが銀行にいた方ですね”、と言われたこともあります。

遠藤さん:私は3つあります。1つ目は物事の状況や進め方を整理する力です。銀行時代に“分析して稟議書を書き、上司を説得し融資部を巻き込んで、、”という経験を何度も繰り返したことで、物事の状況やゴールに向けた進め方を整理する力が身に付きました。特に私がいた営業店は比較的小規模な店舗だったので、幅広い業務においてそれらを経験させてもらえたことは大きかったですね。

2つ目は整理したものを相手が理解できるよう伝えるコミュニケーション力です。法人渉外担当として様々なお客さまとかかわる中で、相手の業務や理念の理解やそれを踏まえた聴き方・伝え方を学びました。

3つ目は諦めることと諦めないことのバランス感覚です。諦めてはいけないところと捨てるべきところのバランス感覚はすごく鍛えられたと思います。他の機会損失を防ぐために深入りしすぎない、などは、銀行時代に学んだことです。

鷲尾さん:私は、横浜銀行での幅広い商品の運用経験が現職に大いに活きています。私が現在務めている会社は有価証券の運用を本業としているのですが、部署毎に扱う商品が決まっている縦割りの組織になっています。私はCLOを担当しているのですが、同じ部署にいる方はCLO以外の商品知識や運用経験が無い方も多く、その点私は横浜銀行で幅広い商品を扱っていた経験があり、そこは強みとして活かせています。

取引慣行やCLO以外の問題が起きた際には、横浜銀行時代の知識や経験を活かして危機を乗り越えるためのアイディア出しを行ったり部署間の調整を行ったりしています。

大谷さんと同じく、“さすが地方銀行出身だね”と言っていただくこともありました。

西岡さん:皆さん、横浜銀行時代の経験が現職でも活きているのですね。

テーマ4.外に出て想う横浜銀行の良い点、改善すべき点

西岡さん:パネルディスカッションとしては最後の質問です。外に出て改めて想う、横浜銀行の良い点、改善すべき点を教えていただけますか。

遠藤さん:良い点の1つ目は、若手から中堅にかけての育成体制ですね。私はこれまで金融以外にもITやコンサル、ベンチャーから大手まで色々な会社を経験してきましたが、特に横浜銀行の育成体制は優れていると思います。若いうちから仕事を任せてもらえますし、その中でもどこかで守ってくれるのは心強い。だから若手から中堅がしっかり育つのだと思います。

2つ目は、事業の面で神奈川県という豊かな土壌を抱えている点です。横浜に行くと横浜銀行をいたるところで見ますしね。

改善点は、会社として閉ざされていることとスピード感だと思います。情報戦の時代においては、外部と積極的にアライアンスを組み、自社には無いナレッジを吸収していく必要があると思っています。その点、横浜銀行は少しクローズドで、アライアンスのスピード感にも課題感がある印象を持っています。もっと、会社全体としてオープンかつスピード感を持つことで、新しい横浜銀行が見えるのではないかと思います。

西岡さん:組織をオープンにするという観点では、このアルムナイの取り組みもその一つですよね。横浜銀行を離れた皆さんからこのようにご意見をいただけることはとてもありがたいです。

鷲尾さん:私は、横浜銀行の“若手を大切にする文化”は良いところだと思います。正直な話、私は営業店にいた頃は落ちこぼれだったのですが、そんな私に対しても見限ることなく私の話を聞いて市場営業部へのチケットを渡してくれた当時の支店長には感謝の気持ちでいっぱいです。それがあって今の私があると思っています。

行内公募の通達は、 “こんなキャリアがあるのか”、“こんな学べる機会があるのか”と、自身のキャリアに夢を抱くように、いつも胸を躍らせながら見ていたことを覚えています。そういったキャリアのチャンスがあることからも、若手は大事にされているな、と思いますね。

一方で、中堅社員の出向の経験をどこまで活かせているか、という点は疑問符が残ります。もちろん、一部の方はモデルケースとして、高めた専門性をその後の横浜銀行でのキャリアに活かしている方もいるとは思いますが、そこからあぶれてしまった中堅のケアには課題があるように思います。

あとは個人的には、定期異動はやめませんか、と切に思います。定期的な異動でジェネラリストを育成することはもちろん大事ですが、同じ部門で中長期的に専門性を高める、スペシャリストを育成する、という道もあれば、また違う横浜銀行の姿が見えてくるのではないかと思います。

大谷さん:鷲尾さんの話の流れで改善点からお話すると、私も出向した身として、出向から戻った後のキャリアは課題に感じますね。

あとは風通しですね。現職では役職に関わらず“さん付け”で呼び合っています。初めはとても驚きましたが、そうすることで年次や役職に関わらずフラットに意見を出しやすくなることもあると感じます。

良い点は、お客さまとの深さや取引の長さだと思います。現職のコンサルだと3か月に1回プロジェクトが変わることもあるのですが、横浜銀行では5、6年、同じお客さまを担当して惜しまれながら担当が変わる、また担当が変わった後も繋がることがあるという世界でした。今振り返ると、それはとても素敵なことだったのだなと思います。

西岡さん:確かに、深く長くお客さまとお付き合いできるのは地銀ならではの良いところかもしれませんね。

風通しのところは、確かに今日この場も、皆さんが現役の行員だったら、恐らく私は皆さんのことを、“さん付け”では呼んでいなかったと思います(笑)。

アルムナイの皆さんへ一言

西岡さん:最後に、視聴いただいているアルムナイの皆さんへ一言いただけますか。

遠藤さん:私は、アルムナイは“同じ会社に所属した仲間”だと思っています。アルムナイネットワークが無ければ今日ご一緒した鷲尾さん、大谷さんとも出会うことは無かったですし、とても貴重な機会だと思います。

視聴いただいている方や、アルムナイネットワークに登録されている方とも、今後繋がり深めて、高校の同級生ではないですが、それぐらいの感覚で仲良くしていければ嬉しいな、と思います。本日はありがとうございました。

鷲尾さん:私は横浜銀行を退職してまだ1年半なので、当時の記憶は鮮明ですし、今いる東京ビルでも働いたことがあり、今日は不思議と実家に帰って来たような感じで過ごしています。遠藤さんから同級生という言葉がありましたが、私にとって横浜銀行は中学や高校よりも長い時間過ごした場所なので、学生時代と比べても関係は強いと思っています。

これまでは退職した後はみんな散り散りになっていましたが、今年2月、日経新聞でアルムナイネットワークができたことを知り、再び繋がりを持つことができました。また今回参加して、改めて非常に過ごしやすい空気感だな、と感じています。

アルムナイコミュニティのアプリ上のやり取りもそうですが、またこうしてアルムナイの皆さんと対面で会って、親交を深めていきたいです。本日はありがとうございました。

大谷さん:私は普段から人の人生の選択やキャリアの話を聞くことが好きで、それで今回も参加させていただいたのですが、今日お二人の話を聞けて参考になりましたし、自分が経験することの無いであろうキャリアを持っているお二人だったので、幅が広がって楽しかったです。

アルムナイネットワークには100人ぐらいの方が登録されていると思いますが、それだけの選択肢が広がっているということだといます。私は、アルムナイネットワークを通じた成果、と言う堅苦しいものではなく、このネットワーク内での情報交換を通じて、そこにいる人の選択肢や考え方が変わったり、広がっていくことが素敵なことだな、と思います。

また他の方がお話される機会があれば、次は視聴者側としても参加してみたいな、と思います。

西岡さん:皆さん素敵なメッセージをありがとうございました。今日は1時間という限られた時間でしたが、ご視聴いただいた皆さんに何か一つでも気づきや学びがあれば幸いです。

今後もアルムナイ事務局では、アルムナイの皆さんにとってより価値ある場を、アルムナイの皆さんと一緒に創っていきたいと思っています。本日はありがとうございました。

ポーズをとる男性たち

自動的に生成された説明

※過去に株式会社横浜銀行、浜銀ファイナンス株式会社、浜銀TT証券株式会社、株式会社浜銀総合研究所に在籍していた方専用のネットワークです