アルムナイ制度とは?大企業が注目する令和式「即戦力」

本記事では、退職者が企業とつながり新しい関係を作り上げる「アルムナイ」という言葉や制度について、詳しく解説していきます。

 そもそも「アルムナイ」とは?

「アルムナイ」=「企業の現役世代の退職者」

アルムナイとは英語で「卒業生」を意味する言葉です。もともとは学校の卒業生を指していましたが、現在は「企業の現役世代の退職者」として使われるシーンが多くなっています。

アルムナイネットワーク・アルムナイ制度とは?

「アルムナイネットワーク」というのは、企業が自社の退職者と、あるいは退職者同士がつながりを持てるようなネットワークのことです。

学校の場合も、卒業生とのつながりがあれば卒業生が講師として授業をしてくれたり、オープンキャンパスに来てくれたり、卒業生自身の支援をできたりします。つながりを持ち続けられるスキームがあれば卒業生同士によるコミュニケーションが自然と生まれ、卒業生同士が助け合い活躍することで、大学の価値そのものも高まります。

それと同じように、アルムナイネットワークは企業が退職者とのつながりを持つことで、企業と退職者、両方の価値につながるwin-winな関係を作ろうとする考え方です。

アルムナイ制度はアルムナイネットワークによって生まれる利点の一つで、一度退職したメンバーをもう一度社内に受け入れる、「カムバック採用」のようなものです。

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卒業生を意味するOBやOGとはどう違うのか?

「アルムナイ」という言葉の意味そのものは、OBやOGとさほど変わりません。ただ、「Old」という言葉には、「昔、所属していた人また関わっていた人」というイメージが生じます。

アルムナイという言葉が意味するのは、永続的に退職者と企業はつながり続けるべきであるという意識が根底にあります。

アルムナイ制度が広まってきた歴史と背景

雇用の流動化に伴い、採用手法として注目を浴びるアルムナイ

アルムナイが注目されはじめたのはここ2~3年のことですが、アクセンチュアやリクルートなどの大手企業では、数十年前からアルムナイネットワークやアルムナイ制度を導入しています。逆に言えば、これまでアルムナイというものは「人材の流動性が高く、優秀な人が集まるような人材輩出企業の取り組み」という認識でした。

それが、近年は雇用の流動化に伴い、転職がキャリアの一つの選択肢として見なされるようになってきたことで、一般的な日本企業もアルムナイに注目するようになってきました。中途採用者や副業、フリーランスの活用と同様に、「いかに優秀な人材を確保するか」という視点で、アルムナイネットワークという「外部ネットワーク」が導入されはじめているのです。

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「退職者×企業」が生み出すさまざまなメリット

アルムナイ普及の背景にはさまざまなメリットがあります。アルムナイコミュニティを作ることにより元社員が副業や業務委託といった形で企業と再びつながり、活躍することも可能です。

また、アルムナイネットワークによって「企業の退職者のその後のキャリア」に関する透明性が生まれ、アルムナイの退職後の活躍が、そのまま自社の採用ブランディングにつながるメリットもあります。アルムナイによる講演などを通して会社で培ったスキルが退職後にどう生かされているのかを社員に伝えれば、エンゲージメントの向上も見込めるでしょう。

<成功例やメリット>
■退職者を副業や業務委託で採用
■採用ブランディングの向上
■エンゲージメントの向上と離職率低下
■退職者とのオープンイノベーション型の協業

「一度企業を離れた第三者」という視点を持つネットワークの存在が企業のさまざまな利益につながるからこそ、アルムナイは注目を浴びているのです。

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アルムナイ文化を醸成する手法

従来アルムナイ文化はさまざまな形で存在していました。ここではこれまで採られてきた手法と、それぞれの課題について説明します。

FacebookやLinkedInなどSNSの活用

SNSを活用したアルムナイネットワークは、有志のアルムナイによって作られることが多いです。アルムナイが、「アルムナイ同士でつながりたい」といってスタートしています。すでに多くの人が使っているツールを用いることで始めやすい反面、同じ会社でもいくつものFacebookグループが生まれるケースも多いです。

企業がアルムナイと繋がるツールとして使う際のデメリットは「企業の公式」という雰囲気にはならないことと、セキュリティ面の不安があることです。また、Facebook自体はオープンな世界なので、そこに自分の職歴や現職の情報を載せるのは抵抗がある人や、そもそもSNS離れしていて参加しない人もいます。そうなると、企業側がアルムナイの名簿を作れないのがデメリットです。

また、実はアルムナイ同士が交流をするきっかけをつくるには、「前職が同じ」ということ以外に例えば現職がエンジニアである、あるいは製造業にいるなど、もう一つ別の共通項が重要です。名簿がないとコミュニケーションが生まれづらくなり、グループが形骸化しがちです。

メルマガやニュースレターの配信

企業からアルムナイに対してメルマガやニュースレターといった形で情報発信する方法もあります。簡単に始められる施策ですし、企業としてアルムナイに伝えたい内容を確実に配信できるのがメリットです。

配信内容として多いのは、社内報を抜粋した情報や企業の新しい取り組み、社内で活躍している人材の紹介などです。例えば新規事業に取り組みたくて退職した人に対して企業側から「新規事業をスタートした」という情報を発信し、会社の変化を知ってもらうようなイメージです。

ただし、メルマガやニュースレターではアルムナイ同士の横のつながりは生まれず、企業からの一方的な情報配信となります。そのため、前職企業に興味のある人ごく一部の人しか登録してくれない、あるいは読んでくれないという状況になりがちなのがデメリットです。

自社でアルムナイ専用Webサイトを構築

自社のWebサイトを作ってアルムナイに活用してもらう方法もありますが、多大なリソースが必要となるため、実施している企業はごく少数です。

アルムナイはこれまでの人事領域のスコープ外にある新しい取り組みなので、人事にしろ社内SEにしろ、毎日の業務に追われる中ではなかなかアルムナイのために大きなリソースを割いてWebサイトを構築しようという動きにはなりづらいのです。

アルムナイの専門サービスを利用する

アルムナイの専門サービスも出てきています。ハッカズークが運営しているアルムナイ専門サービスの「オフィシャル・アルムナイ・ドットコム」は、アルムナイ専門サービスとしてはシェアNo.1であり、アルムナイネットワークを構築できるツールです。

企業側から見るとタレントマネジメントシステム、アルムナイ側から見るとアルムナイ同士でSNSのように使うことができます。企業管理者とアルムナイ限定のクローズドな範囲でプロフィールを公開するので安心して現職情報を入力できますし、企業はそれをアルムナイ名簿として管理可能です。

企業はアルムナイを管理しながら自社のアップデート情報を配信したり、求人を出したりすることも可能です。アルムナイ側としてはいきなり再雇用してもらうというよりも、まずは企業ともアルムナイ同士とも緩くつながれる、気軽なネットワークになっています。

ここまでに紹介したようなアルムナイネットワーク構築の手法のいいとこ取りをして、デメリットを解消したようなツールとして、現在は数多くの大手企業が導入しています。以下のリンクから大手企業4社分のアルムナイ専門ツール導入事例を無料ダウンロードできますので、興味のある人事担当者の方はぜひご覧下さい。

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